これまでのアンケートを振り返って②

地方もいいけど、やっぱり都会に住みたいプロジェクト | 2023.11.1

本プロジェクトでは、2022年11月から約10ヶ月間、マンションリノベーションにフォーカスをして、多くの「やっぱり都会に住みたい」方々とコラムやアンケートを通じてコミュニケーションを行い、都会で理想とする暮らし方や住まいについて、間取りや仕様・そこで使用される建具やパーツといった部分まで、みなさんと一緒に考えてまいりました。
全8回にわたってテーマに応じたアンケートを実施し、延べ15,000名の方にご協力をいただきました。

前回は「暮らし方」や「住まい」についてのアンケート結果をご紹介しましたが、今回は具体的な間取りやリノベーションアイディアについてお伺いし、実際の住戸に採用したものをご紹介いたします。

実際の住戸についてはこちらをご確認ください。

全8回のアンケート概要
●回答総数:回答総数:14,766名
●実施期間:2022年11月30日(水)~2023年8月1日(火)

1.間取りについて

 理想の暮らしはひとつではありません。家族構成や趣味、時代や季節、さらには天気によっても、さまざまな要素が常に変化しています。それなのに住まいが固定されてしまったら窮屈ではないでしょうか。自由に空間をカスタマイズできる暮らしのパーツを採用した間取りについてみなさんのご意見をお聞きしました。

住まいの中心にキッチンを配置する
第7回「今までのアンケートを生かして、実際の間取りを作ってみました」

入居時
住まいの中心にアイランドキッチンを配置しまし、ダイニングキッチンとしています。バルコニー側にリビングと間仕切家具を挟んで寝室があります。また、廊下側にはテレワークスペースを設けています。
主寝室やリビングとダイニングキッチンの間には6枚の引戸を設けて、仕切れるようになっています。光をダイニングキッチンまで入れたいので、半透明の引戸を想定しています。
引戸を大きくひらけば、外を眺めながら料理をすることも可能です。

暮らしのパーツとして、テレワークスペースには「木囲い」、洗面台の上部には、「天井ルーバー」、玄関の上框には「靴収納」を配置しています。

10年後
共用廊下側のテレワークスペースを子供部屋としています。テレワークは主寝室の家具の一部を机として利用できるようにしました。一時的に個室が必要な場合は、リビングとダイニングキッチンの間にある引戸を閉めて、リビングを使っても良さそうです。

この間取りについては共感度70%と高い共感をいただきました。キッチンを中心において、バルコニー側のスペースは暮らしに合わせて用途を変えることができます。また、廊下側は玄関からの動線に洗面所を設置したり、個室にワークスペースを設けるなどスペースを有効に活用しています。この間取りのリノベーション住戸はこちらを参照ください。

ダイニング・リビングに向いて料理ができるキッチン
第8回「今までのアンケートを生かして、実際の間取りを作ってみました。2」

キッチンがリビングダイニングの方に向いており、家族と会話をしながら料理ができるようにしてあります。真ん中にダイニングとリビングがあります。寝室は3つあり、1つワークスペースとなっています。各部屋は背の高い家具で仕切られています。リビングダイニングと寝室は引戸で仕切られていますが、引き戸を開ければ一体的に広々と使うことができます。靴棚は、洗面とキッチンの間の「収納」を想定しています。

暮らしのパーツとして、洗面脱衣室の上部には、「天井ルーバー」、玄関に「木軸棚」を設置しています。「木製ルーバー」の上にはちょっとした小物を置いたり、少し洗濯物を吊るすことも可能です。

こちらも共感度76%と高い共感度でした。ダイニング・リビングに向いて料理ができるキッチンとし、料理をしている人が孤立しない構成であること、ダイニングの左右のスペースは可変性のあるスペースとしています。この間取りのリノベーション住戸はこちらを参照ください。

2.寝室について

寝室の大きさがどこまで必要なのかは、暮らしに大きく左右されそうです。アンケートでは次の4つの寝室の間取りについてみなさんのご意見をお聞きしました。

寝室に必要な役割を見直す
第5回「もし、これがミニマムになったら」

①寝る・・・寝るだけであれば、ベッドとその周辺スペースの2畳があれば良さそうです。カプセルホテルのような状態です。
②寝る+勉強する・・・個室で勉強をするということも含めれば、2.5畳あると良さそうです。 
③寝る+勉強する+収納する・・・個室に洋服などの収納まで必要であれば、3畳あると良さそうです。
④寝る+勉強する+収納する+くつろぐ・・・個室でくつろぐことも考慮すると、3.5畳は必要になりそうです。

こちらは「寝る+勉強する+収納する」がもっとも高く支持されました。その中でも「寝る+収納する」が良いというご意見が多くありましたので、リノベーション住戸では、寝ること+収納の工夫を取り入れた寝室を作りました

3.洗面台について

「洗面台」をテーマにして、となりに置かれることの多い洗濯機も含めた、いろいろな組み合わせを考え、みなさんのご意見をお聞きしました。

洗面台を廊下に置く
第3回「都会の間取りで、どこに洗面台を置く?」

コロナ禍に入ったころからご要望が増えてきたパターンです。
外から帰ってきて、すぐに手を洗ったり、うがいをしたり出来ます。また、使い道の少ない廊下部分の利用という考えでも有効利用ができるでしょう。さらに、外で着てきたコートをかける収納が隣りにあれば、さらに衛生的に使えそうです。

廊下に洗面台を設けた案ですが、一番共感度が高い案となりました。帰宅してすぐに手を洗ったりうがいをしやすいという部分や、水まわりで気になる通気性を評価するご意見がありました。リノベーション住戸でも廊下に洗面所を設け、上部を利用して収納スペースも設けました。

4.ワークスペースについて

仕事や勉強に集中したい時、広さの限られた部屋でも一人でこもれるスペースを作るため考案された「木囲い」について、みなさんのご意見をお聞きしました。

暮らしのパーツ「木囲い」
第7回「今までのアンケートを生かして、実際の間取りを作ってみました」

木の板で囲われたパーツ、「木囲い」。既存の壁に挿入し、部屋をつなぐことで一室空間をつくることもでき、また個室として仕切ることも可能です。デスクワークや収納など木囲いの中も有効に活用することができます。

「木囲い」についての共感度は約60%でした。アンケート上では実際の活用のイメージができなかった方も多くいらっしゃいましたが、一方で様々な活用アイディアもいただきました。実際のイメージはリノベーション住戸を参照ください。

5.収納について

全8回のアンケートの中でもっとも反響が多かったのが「収納」についてでした。
都会暮らしの限られた面積を広く使うため、暮らしの場面を丁寧に見直して収納を考え、みなさんのご意見をお聞きしました。以下のアイディアは共感度が高かった案として、実際のリノベーション住戸に採用いたしました。

階段の段差を生かす
第7回「今までのアンケートを生かして、実際の間取りを作ってみました」

玄関には靴収納が必要です。以前のアンケートでは、一人平均12足の靴を所有している結果がありました。一方で、玄関に靴が脱ぎっぱなしだと見栄えが良くありません。よく使う靴だけでもすぐに出し入れできる場所にあり、隠せるようにしたいものです。

こちらの案は玄関の段差を利用して、靴を下に入れるアイディアです。段差がある程度あれば、その下の部分に靴を入れることができるかもしれません。よく使う靴だけでも入れられたら便利になりそうです。

共感度は高い結果となりました。玄関に出しがちな靴をスッキリと収納できるアイディアが支持されました。一方で湿気や埃だまりを気にされる意見がありました。高さが下の方にあることで、そのような懸念があるのだと想像します。掃除のしやすさには気をつける必要がありそうです。

壁を生かす
第8回「今までのアンケートを生かして、実際の間取りを作ってみました。2」

壁を収納にするアイディアです。

壁の中身は、木や鉄の下地軸があり、場所によっては電気線や給排水管などが隠れています。一般的にはその下地などを合板や石膏ボードで表面を隠すことになります。その表面をとってみると奥行き4.5cm程度の軸以外何もない部分があるのでその部分を生かすのはどうでしょうか。

こちらも共感度の高い結果となりました。空間の有効利用や、他に影響が出にくいなど合理的なところが評価されたポイントかもしれません。奥行き4.5cmが良い人と足りないという人が分かれました。一方で遮音性を気にされることもあり、トイレの壁にするには注意が必要そうです。

天井を生かす
第8回「今までのアンケートを生かして、実際の間取りを作ってみました。2」

天井も隠れた収納ポイントです。今回は洗面所の収納で考えてみました。洗面所は何かと収納が必要です。ルーバーと呼ばれる細い棒を平行に並べる方法はどうでしょうか。そこにハンガーを引っ掛けることもできますし、ちょっとした小物を置くこともできそうです。

こちらも共感度が高い結果となりました。収納が必要な洗面所の天井を生かした収納です。ハンガーで衣類をかけられる部分の共感が多くありました。使う人の背の高さによっては使いにくくなるというご意見もありました。高さの検討は丁寧に行う必要がありそうです。

いかがでしたでしょうか。丁寧に暮らしを見つめ直し、みなさまからの様々なご意見をお聞きすることで、限られたスペースでも豊かに暮らすことができるリノベーションプランをかたちにすることができました。貴重なご意見をいただきありがとうございました。

完成したリノベーション住戸については、2023年11月10日(金)まで、神奈川県横浜市と大阪府堺市で見学することができます。マンションリノベーションについてご興味のある方は是非足を運んでみてください。

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