独身でも住宅ローンは組めますか?

リノベーションなんでも相談室 | 2024.7.30

ご質問

中古マンションを購入してリノベーションをしてみたいのですが、独身だと住宅ローンが組みにくいと聞いたことがあります。独身でも住宅ローンを借りることはできるのでしょうか

家を買うのは結婚してからだ、というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、最近ではひとり暮らしのためのリノベーションのご相談を多くいただくようになりました。リノベーションで叶えたいことがたくさんある一方で、本当にマンションを買えるのか、買ってよいのかと大きな不安を抱えている方も多いようです。独身でも問題なく住宅ローンは組めるものなのでしょうか。

今回は、ひとり暮らしの住宅購入も多数お手伝いしてきた、ファイナンシャルプランナーで宅地建物取引士の”こっしー”が、独身で住宅ローンを組む際の注意点について解説してまいります。

独身でも、住宅ローンは組めます。

最新の住宅市場動向を見てみると、単身でのマンション購入は、もはや珍しいものではないことがわかります(図1)。特に中古マンション(既存集合住宅)においては、購入者の16.6%がひとり暮らし世帯となっており、戸建や新築マンションと比べてもその割合が大きくなっています。また、過去の同調査(2018年度)を見ると、三大都市圏の中古マンション購入者のうち、ひとり暮らし世帯が占める割合は11.9%でしたから、ここ数年で単身での中古マンション購入が加速しているようです。

図1. 1世帯あたりの居住人数の比較

このような背景もあり、一概に「独身だから」という理由で審査が否決になるケースは少なくなっています。もちろん金融機関によっては審査が通りにくい、あるいは、審査の土台にすら乗らないという場合もありますが、多くの金融機関では独身でも住宅ローンを組むことはできます。国土交通省がまとめた住宅ローンの実態調査においても、審査の際に家族構成を考慮する金融機関は34.9%にとどまっており、家族構成はそれほど重視されていないことがわかります。

図2. 融資を行う際に考慮する項目

独身で住宅ローンを組む際の注意点

独身でも住宅ローンを組めることはわかりましたが、もちろん誰でも好きなだけお金を借りられるわけではありません。具体的に住宅ローンを検討する際にはどのような点に気を付けるべきなのでしょうか。ここからは、独身でローンを組む際の注意点について考えてみます。

注意点(1)審査の土台に乗る金融機関を選ぶ
一部の銀行では、独身では審査の土台にさえ乗らないということもありますから、検討している銀行が単身者も対応しているか否かについては予め確認しておくとよいでしょう。単身NGという記載が無くても、寝室が2つ以上必要など、間取についての条件が定められていることもありますのでお気をつけください。

注意点(2)30平米未満のマンションは選ばない
あまりにも狭いお部屋では住宅ローンを借りることができません。たとえば【フラット35】では、30平米以上(マンションの場合)が対象となりますから、30平米を最低限の専有面積と考えましょう。民間の金融機関ではもう少し広さを求められることが多いので、できれば40平米以上の専有面積があるお部屋を選びたいところです。

注意点(3)無理のない返済計画を立てる
独身であっても、年収や勤続年数に問題が無ければ、想像以上に多額のローンを借りることができます。「借りられる額 ≠ 返せる額」は誰にでも当てはまる考え方ですが、独身で住宅を購入する場合には、よりシビアに「返せる額」について検討するとよいでしょう。自分自身の収入だけが頼りになりますから、生涯の収入については悲観的に想定した方が安心です。一方で、子どもの教育資金が不要であれば自分のために使えるお金は増えますから、支出の面では余裕が生まれるかもしれません。プロのファイナンシャルプランナーさんに相談するなどして、最適な資金計画を立てるとよいでしょう。

注意点(4)住宅ローンが借りやすい状態に整える
独身に限ったことではないのですが、住宅ローンを借りる場合には、他の借入状況や返済履歴などの信用情報が照会されます。たとえば共働きのご夫婦であれば、旦那様の信用情報に問題があった場合には奥様名義で借りるなどのバックアップ策が考えられますが、独身での借入れの場合はそうはいきません。心配な方は、以前のコラム「住宅ローンを組むための準備はありますか?」なども参照していただき、住宅ローンを借りるための準備を整えてみてください。

マンション選びにも、気を付ける。

独身でマンションを買う場合、20~30平米の単身用住戸ばかりの、いわゆるコンパクトマンションを選ぶ方もいるかもしれません。もちろん、一概にそのようなマンションがよくないというつもりはないのですが、長期的に良好な維持管理がなされるかという点においては不安が残ります。自己居住目的ではなく投資のために所有している人の割合も高くなるでしょうから、マンション全体の修繕や管理には興味が薄い区分所有者が増えてしまうおそれがあるのです。そのほかのマンション選びのポイントについては、以下の記事などを参考にしてみてくださいね。

マンションの得する買い方はありますか?
買ってはいけないマンションはありますか?
管理を買え、は本当でしょうか?
築50年のマンションを買ってもよいでしょうか?

今回は、独身で住宅ローンを組む際の注意点について解説しました。独身だから特別に審査が厳しくなるということはないので、金融機関や物件の選定、予算の設定などをきちんと進めれば、思いのほかスムーズに住まいづくりができるはずです。マンションという大きなお買い物で不安もあるかもしれませんが、素敵な暮らしの実現に向けて、資金計画から順序立てて進めてみてください。

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“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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