地震に強い家づくり|無印良品の家がこだわる「構造計算」って何?
住まいのかたち | 2022.3.11
今日は11年前の東日本大震災の日、忘れてはならない日ですね。
今や住まいづくりを考えるうえでは欠かせない性能が「耐震性能」です。
今回のコラムでは、「無印良品の家」の耐震性能について、わかりやすく解説していきます。
ーー無印良品の家は「永く使える」ことが特長とのことですが、耐震性はどうですか?
「無印良品の家」は、快適・安全に、永く住める家づくりのため、さまざまな研究結果や技術を取り入れて、地震に強い家づくりを目指しています。
木という軽くて強い素材を使い、日本の気候風土に合った「木造軸組工法(在来工法)」は、長年の実績と歴史があるために、建築基準法の耐震基準でも、「およそこのくらいで大丈夫でしょう」という規定になっています。
しかし、より明るく、風通しも良く、暮らしのかたちの変化にも対応できるように、なるべく壁の少ない開放的な空間を目指すとき、あいまいな経験と勘だけで耐震性を担保するのは危険と考えたからです。
ーーなるほど。その「地震に強い家づくり」って具体的には、どんな工夫がされているのですか?
まず、材料へのこだわり。強度実験で品質が保証された集成材(しゅうせいざい)を採用し、骨太の柱梁を構築しています。
ーー集成材? 通常の木材とどう違うのですか?
はい、丸太から切り出した自然な状態の木材は無垢材と呼ばれ、ひとつひとつの木材が持つ豊かな表情を楽しむことができますが、強度にばらつきがあり、経年劣化により狂いが生じやすいため、柱と梁の資材としては不安が残ります。
一方、集成材(しゅうせいざい)とは、木を短冊状に挽き、木の繊維の方向に沿って並行に重ね、強力な接着剤で接着させたもの。乾燥収縮が少なく、強度性能を明確に表示できる木材なのです(こちらの記事でも詳しく解説しています)。
この高強度の集成材でつくられた柱と梁を、丈夫な金物でしっかりと接合するSE構法を採用しています。
ーーエスイーコウホウ?…それは一体何ですか?
通常の木造軸組工法は、柱だけでなく、筋交いや合板で補強された構造壁で建物を支えているため、一定以上の壁がないと地震に強い建物になりません。
SE構法では、強靭に組まれた柱と梁で建築を支えるため、壁の少ない開放的な空間を実現しながら高耐震構造とすることができるのです。
建物を骨組み全体で支えるので、柱や壁の数が少なくても、強度は従来の木造住宅よりも高くなります。多数の壁を建物の支えとする必要がないので、壁を取り払った開放感のある大空間や、大きな窓、吹き抜けで一体となった一室空間をつくることができます。
ーー柱の数が少ないのに耐震性が上がる? 本当にそんなことが可能なのですか?
はい、「無印良品の家」のSE構法は、地震や災害に対して変形・倒壊しないかを科学的に検証された接続金物や集成材を使用し、1棟1棟構造計算することで、強度を明確化した設計プランをご提案しています。
この構造計算は、ビルなどの大規模な建物の場合に義務付けられているものですが、「無印良品の家」では、2階建て以下の木造住宅でも構造強度の計算を実施しているのです。
ーー構造強度を計算? 具体的にはどんなことを検証するのですか?
構造計算には、主に6つの視点があります。
柱や床などの構造材、屋根、壁、家具などの重さに耐えられる家かどうかを確認します。
2. 地震に耐えられるか
大きな揺れに耐えられるかを確認します。軽い家よりも重い家の方が横揺れの影響を大きく受けます。
3. 風に耐えられるか
強風が吹いた際、建物の傾きが0.3度以内に収まるかどうかを検証します。
4. 建物の傾き
構造を支える柱がどれぐらい変形するかを確認します。
5. 平面的バランス
建物の強度が落ちないよう、壁の配置が悪くないか、吹き抜けの大きさが適切かを確認します。
6. 上下階のバランス
2階建て以上の建物において、各階ごとの強度にばらつきがないかを確認します。
ーーなるほど、いろいろな視点で、家の強度を検証するんですね。
そうなんです。家だけでなく、基礎についても構造計算し、その安全性を科学的に確認しています。
さらに、お住まいになる地域の環境や、ライフスタイルによっても必要な強度は変わってくるので、それぞれの家の構造計算は欠かせません。
ーー居住地やライフスタイルと家の強度に関係があるんですか?
たとえば、豪雪エリアに家を建てる場合、屋根の上に1mの雪が積もった場合、象5頭分(18t)の重さが家にかかりますから、その分の強度が必要です。
ーー象が5頭! そんなに重いんですね。
また、グランドピアノをお部屋に置く場合は、グランドピアノ1台約300kgの重さに耐えうるかどうかをシミュレーションし、安全性を事前に確認します。ですが、一般的な木造住宅の場合、このような構造計算がされていないことも多いのです。
ーー客観的なデータで安全性を事前に確認することは、とても大切なのですね。
はい、建築基準法は最低限の基準を示しているだけで、地震や災害に強い家づくりは自己責任、というのが国のスタンスです。
「無印良品の家」では、大切なご家族や財産を守るために「構造計算」は必須と考えて、一棟ごとに構造計算で証明しています。
地震に強い家づくりのご相談は、モデルハウスにて受付中
これから家づくりをご検討される方は、ぜひ一度、お近くのモデルハウスにて開催中の「家づくり相談会」へお越しください。業界トップレベルを誇る「無印良品の家」の耐震性能について、住宅専門スタッフより詳しくご説明させていただきます。
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