耐震補強をしたマンションは、どうですか?

リノベーションなんでも相談室 | 2020.6.16

みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。

今回お答えするご質問は、こちら。
「築年数は40年以上経っているものの、耐震補強をしているマンションを目にしました。このようなマンションを選ぶというのはどうなのでしょうか?」

中古マンションを探していると、耐震補強済みの古いマンションを見つけることがありますよね。あるいは、学校などの公共建築物でも多いのですが、ガチっと補強がされた建物を街で見かけることもあるかもしれません。耐震補強がされているということは、いわゆる旧耐震基準の時代に建てられたものですから、古さ故の不安があるというのもごもっともです。今回は、マンションの耐震補強について解説してまいります。

耐震補強実施までの流れ

耐震補強の基礎を知るために、耐震補強を実施するまでの3つの工程を見てみましょう。まずは(1)耐震診断です。調査により地震に対する強さを数値化し、弱点を見つけ出すところからはじめます。具体的には、マンションの管理組合が設計事務所に調査業務を委託します。設計事務所は、竣工時の図面の確認やコンクリートの採取調査などを行い、各階ごとの地震への強さを数値化します。次に、耐震診断の結果を踏まえて(2)耐震設計が行われます。必要な強度を満たすのはもちろんのこと、外観や使い勝手が著しく悪くならないように留意しながら設計が進められます。耐震スリット・増設壁・鉄骨ブレース・外付けフレーム・バットレスなど、耐震補強の工法は多岐にわたるため、強度や見た目、費用のバランスを考慮した検討がなされます。設計が固まると、ようやく(3)耐震補強工事が実施されます。なかなか大変なプロセスですね。

耐震補強工事を実施するためには、これらの3つの工程を順に進めていきます。自治体からの助成金の都合もあり、耐震診断の翌年に耐震設計、その翌年に耐震補強工事を行うという3年がかりのスケジュールが一般的ですが、設計内容がまとまらないと、工事実施までに時間がかかる場合もあるようです。また、耐震補強を行うためには多額の費用が必要で、例えば50戸程度の中規模マンションでも1億円以上の費用が掛かる場合もあります。安心・安全のために耐震補強はしたいけれども、資金的にそれができないマンションもあるのです。

耐震補強済みマンションの3つの注意点

次に、耐震補強をしたマンションを選ぶ際の3つの注意点をご紹介します。最も重要なポイントといえるのが(1)耐震補強の程度です。耐震補強の実施=現行の耐震基準を満たす、というイメージがあるかもしれませんが、現実には耐震補強をしたけれども、現行の基準を満たすほどは強くしていない、というマンションも存在します。著しく危険な箇所のみに対して補強を行うような場合ですね。そのようなマンションを購入する場合には、住宅ローン控除等の税制優遇を受けることは当然できませんので、ご注意ください。次に確認すべきは(2)財政状況です。先述の通り、耐震補強を実施するためには多くの費用が必要となり、その金額は数千万円から数億円にのぼることもあります。修繕積立金を切り崩したり、借り入れをしたりしてこの費用を賄うわけですから、今後の修繕計画に支障をきたす可能性もあります。修繕積立金の残高・借り入れ金の額・長期的な修繕計画などを見せてもらい、マンションとしての懐事情や将来の計画を確認しましょう。さらに(3)その他の共用設備についてもチェックが必要です。耐震補強工事済みと聞くと安心感がありますが、耐震補強に資金を回したことで、給排水管の更新など、その他の共用設備の修繕が後回しになることも考えられます。もちろん命にかかわる耐震補強から手を付けるというのは賢明な判断だと思いますが、その他の修繕も計画的に実施されているのか、忘れずに確認してみましょう。

耐震補強したマンションはいいマンション?

今回いただいた「耐震補強したマンションは、どうですか?」というご質問にお答えすると、「一定の評価はできるけれども、補強の程度やマンションの財政状況などもきちんと確認する必要がある」ということになります。耐震補強が行われている時点で、住人の意識が高いマンションである可能性が高いけれども、抑えるべき内容はきちんと確認しましょうね、ということです。築40年を超えるようなマンションであれば、共用の給排水管の更新やエレベーターのリニューアル、エントランスの改修など費用のかかる工事が必要になりますので、総合的に情報を集めて判断することが大切です。耐震補強がされていて、修繕もしっかりしているようなマンションであれば、築年数が経っていても安心感がありますね。耐震性の違いについては、前回のコラム「新耐震・旧耐震とは、何ですか?」をご覧ください。

今回は、マンションの耐震補強についてお答えしました。旧耐震基準のマンションの耐震化がなかなか進まない中で、既に耐震補強をしているというのはアドバンテージであることは間違いありませんが、それだけで判断をすることが無いようにお気を付けください。伝えきれない細かな注意点はまだまだありますので、ご興味を持たれた方は無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」のリノベーション講座や相談会にお越しください。

みなさんからのご質問をお待ちしています!/

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