知らないことだらけ「家の耐震性能」

住まいのかたち | 2014.8.1

「永く使える、変えられる」の意味
当たり前かもしれませんが、家を建てるというのは大変な作業です。
決断しなければならないことが山ほどあります。まず資金計画(予算)、建てる場所(土地)を決めなければなりません。しかしそれらは、「どんな家にするか」のイメージができていないと、決められるものではありません。

「どんな家にするか」とは表面的には、間取りや外観デザイン、インテリアやキッチンなどの設備部材等をどういうものにするか、ということですが、その先にあるものは、常に「暮らしやすさ」であるべきです。しかし、人それぞれ暮らしのかたちは違いますし、今考える「暮らしやすさ」もずっと同じではありません。何が自分にとって暮らしやすいことなのか、将来の自分の暮らしはどうなるのか、自分でもわかっていないことも多いようです。だから、家づくりは難しいのではないでしょうか。

無印良品の家の基本コンセプトは、「永く使える、変えられる」ですが、これは、「暮らしの変化に合わせて間取りが変えられる家こそ、永く使える家になる」ということを表しています。
この考えに基づき、無印良品の家はシンプルな箱を用意し、間取りはつくりこまない、という家のかたちを追求してきました。間取りをつくりこまないことで、それぞれの「暮らしやすさ」に柔軟に対応できるようにすることが永く使える家づくりにつながる、という考え方です。

変わってはいけないこと
一方で、家を永く使うにあたって、普遍的に誰にとっても必要で、絶対に変わってはいけないことがあります。その一つが、「安全性」です。
地震や台風などから身を守る安全な家であるためには「頑丈」であることが求められます。この「頑丈さ」は、「暮らしやすさ」のように、人によって異なることもなければ、時の経過によって変わってよいものでもありません。
特に日本は、地震の多い国ですから、新しく建てる家は法律によって定められた「耐震基準」(1981年以降に改定された基準を特に「新耐震基準」と言います)以上の頑丈さを持って建てることが義務付けられています。いえ、たとえ法律で義務付けられていなくても、南海トラフ地震や首都直下地震等が30年以内に発生する確率が70%程度と発表されている今、自分と家族を大地震から守るために、頑丈な家を建てたいという思いは、至極当然なことと言ってよいでしょう。

目に見えない「性能」は人任せ?
ところが、間取りやデザイン、素材など、目に見えるものは自分で決めたいと思う方も、目に見えない「性能」については専門家に任せきりにする傾向があるようです。特に「耐震性能」については、「法律で義務付けられているから、大丈夫だろう」とそれ以上は確認しないままになっているのではないでしょうか。

しかし、目に見えない性能こそ、住まい手がその意味・内容を理解し、確認する必要があるはずです。

例えば、建築基準法の耐震基準は、「建築物や土木構造物を設計する際に、それらの構造物が最低限度の耐震能力を持っていることを保証し、建築を許可する基準」であり、あくまで「最低限度」であることや、日本の住宅を欧米並みに永く使えるようにする目的で平成21年に認定制度が設けられた「長期優良住宅」の必須条件として、この「耐震基準の1.25倍」の耐震性能を持つことが定められていることなどをご存じない方も多いのではないでしょうか。

無印良品の家では、1棟1棟 に構造計算を実施し、「耐震基準の1.25倍」の耐震性能を確保していますが、新築住宅全体で見ると、建築基準法以上の耐震性能を確保するケースはまだまだ少なく、「耐震性能」への意識はなかなか浸透していないようです。原因は、つくり手の啓蒙不足、住まい手の知識不足ということかもしれません。

「国土強靭化基本計画」とは
一方で、この6月に防災に強い国づくりを目指した「国土強靭化基本計画」が閣議決定され、2020年までに住宅の「耐震率」を95%まで上げることが目標として掲げられました。現在の日本では、新耐震基準を満たしていない住宅はおよそ1,250万戸、そのうち木造戸建住宅は1,000万戸あるといわれています。また、民間でも全国の工務店ネットワークを中心に「耐震住宅100%」を目指すプロジェクトもはじまりました。私たちもこのプロジェクトに協力し、少しでも耐震性への興味と理解を深めるお手伝いができればと考えています。
また、「建築基準法の1.25倍の耐震性能」とは、どう意味をもっているか、そしてその耐震性能はどうやれば達成できるのかなど、まずは、家の耐震性能の基本的な知識を知っていただくために、「耐震住宅トークセッション」を東京、名古屋、大阪で開催することに致しました。ぜひご参加ください。

目に見えない家の耐震性能について、みなさんはどのようにお考えでしょうか。
ぜひご意見をお聞かせください。

政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会の長期評価による

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