家族で暮らすマンションは、何平米あれば十分ですか?
リノベーションなんでも相談室 | 2026.7.7
家族4人での暮らしを想定して、マンションを購入しようと考えています。予算的にあまり広いお部屋は買えないと思うのですが、どれくらいの広さがあれば快適に暮らせるのでしょうか
マンション探しをはじめると、「ファミリーなら70平米必要だ」「大容量の収納があった方がよい」など、広さや間取りに関するさまざまな情報を目にします。もちろん広いお部屋は魅力的ですが、マンション価格が高騰するなかでは、希望の立地や予算とも相談しながら広さを決定する必要があります。家族で暮らすためには、実際どれくらいの広さがあれば十分なのでしょうか。
今回は、3人暮らしで54平米、4人で71平米、5人で88平米と住み替えている、マンション管理士で宅地建物取引士の“こっしー”が、家族での暮らしに必要な広さについて解説してまいります。
国が示す「広さの目安」がなくなった
住宅の面積については、これまで国としても一定の基準を示していました。国が5年ごとに見直す「住生活基本計画」において、「最低居住面積水準」と「誘導居住面積水準」が規定され、これらがひとつの目安となっていました(図 1)。ところが、昨今のライフスタイルや住まい方の変化を受けて、2026年3月に閣議決定された新しい「住生活基本計画」では、いずれの居住面積水準も削除されたのです。

図1の居住面積水準を見ると、4人家族で暮らす場合、最低50平米・都市型で95平米・一般型で125平米が求められていることがわかります。4人で暮らすなら、たしかに50平米以上は欲しいけれど、かといってマンションで95平米を確保するのは難しそうだな、というのが私の率直な感想です。マンション価格が高騰し、暮らし方も変化するなかでコンパクトな暮らしは当たり前になってきましたから、4人家族95平米という目安にはもはやあまり意味がなくなっているのかもしれません。
もちろん、国として小さな住まいを求めているものではありませんが、「何人家族なら何平米」という画一的な考え方だけでは、現在の多様な暮らし方を捉えきれなくなったということなのでしょう。家族構成や働き方など各家庭の事情を踏まえた住まいの持ち方をしてください、というメッセージだと受け取り、自分たちの暮らし方を見直すきっかけにしてみてください。
広い50平米、狭い70平米
今回のご質問は「4人家族で暮らすのに何平米あれば十分か」というものですが、これまでのお話も踏まえてお答えすると「家庭ごとに十分な面積は異なります」ということになります。とはいえ、それではお話が進みませんから、もう少し踏み込んで考えてみようと思います。
十分な広さを決めるのは、なにも専有面積だけではありません。お部屋のかたち、間取り、収納量など、さまざまな要素が重なって、同じ面積でも広く感じるものもあれば狭く感じることもあるのです。たとえば、70平米3LDKのお部屋があるとして、寝室の広さがそれぞれ6畳の場合と、それぞれ4畳の場合を考えます。両者における寝室の合計面積は、前者は6畳×3部屋で18畳、後者は4畳×3部屋で12畳、その差は6畳(≒10平米)ですから、寝室は「寝る」「仕舞う」の機能を満たせばよいと割り切れば、後者の方がより広々と暮らせる空間になりそうです。
図2には、よく見かける70平米・3LDKの間取りを示しています。玄関を開けると、まずは長い廊下が出迎えます。そこから寝室やトイレ・洗面室にアクセスすることになりますから、無駄な空間とまではいいませんが、廊下部分は決してくつろげる場所ではないことは間違いありません。リビングに面して和室が配置されていますが、ふすまで仕切られていたり、段差があったりするために、リビングと和室にまたがるように家具を置くことも難しく、なんだか窮屈な印象を持つ方も少なくないでしょう。

一方で、50平米台でも広々と使える間取りもあります。図3は無印良品のリノベーション グランフロント大阪ショールームの間取りなのですが、55平米という決して大きくはない空間ながら、開放的なLDKを確保できています。将来的に主寝室と2つの子ども部屋が必要になった際にも、家具や引き戸で工夫することで、十分な空間をつくれるのです。間取りをよく見ると、図2と異なり、ほとんど廊下がないこともお分かりいただけるかと思います。数字で表せる面積では、必ずしも空間の広さや開放感を示すことはできないのです。

限られた空間を有効に使うコツ
広いお部屋を購入できればそれに越したことはないかもしれませんが、現実的には立地・予算・広さのバランスをとった結果、少しコンパクトなお部屋を選ぶ方も多いようです。
最後に、そのような場合でもできるだけ広々・快適に暮らすためのコツをご紹介いたします。
(1)寝室のサイズを見直す
先ほどのお話のとおり、寝室をコンパクトにすることで、その他の空間にゆとりを持たせることができます。以前のコラム「家族3人、50m²台で暮らせるでしょうか?」でもご紹介したように、寝室の役割を整理してみると、3畳くらいあれば十分だという印象を受けます。思ったよりも、寝室は小さくてもよいのかもしれません(図4)。

(2)いま必要なものと、将来必要になるものを整理する
いまと5年後・10年後では、暮らし方が変わっているかもしれません。今回のような4人暮らしのケースであれば、最初はひとつの寝室でみんなで寝て、そのうち子ども部屋が欲しくなり、最終的には夫婦ふたりでの暮らしになる、というのが一般的な想定でしょうか。そう考えると子ども部屋は「一時的に必要なもの」とも考えられますから、リビングの一部を限られた期間だけベッドスペースとして利用するという考え方もありそうです(図5)。

(3)兼ねられるものを考える
たとえば、廊下をつくるにしても、廊下と収納を兼ねてみたり、廊下と洗面室を兼ねてみたり、要素の重なりを増やすことで、面積を有効に使うこともできます。背の低いダイニングテーブルのセットを利用するなどして、ダイニングでもゆったりとくつろげるのであれば、それとは別でリビングを設ける必要もなくなるかもしれません。
(4)ものの持ち方を再考する
まずは、無駄なものは持たないように、持ち物を整理することを考えてみましょう。当たり前のことですが、要らないものは手放すというのが大切です。そのうえで、クリーニング店の季節衣類の預かりサービスやクラウドストレージサービスを使ってみるなどして、部屋にしまっておくものを減らすということも考えてみてはいかがでしょうか。
(5)住み替えも視野に入れて検討する
すこし毛色が異なる話になりますが、ライフスタイルやライフステージの変化に合わせて、そもそも住み替えてしまう、という発想もあります。スムーズな住み替えのためには、マンションを選ぶ際の目利きも必要になりますが、私も含めて家族の変化に合わせて住み替える方は一定数いらっしゃいます。こちらについては、以前のコラム「リノベしたマンションから別の家に住み替える人もいるのでしょうか?」なども参考にしてみてください。
今回は、家族での暮らしに必要な広さについて解説しました。家での過ごし方やものの持ち方など、暮らし方はご家庭によって異なりますから、必要な広さを定義することはできません。ただ、「なんとなく70平米くらいは必要かな」とお考えの方がいらっしゃるようであれば、今回のお話を参考にしていただき、自分たちにとって本当に必要な空間について考えてみてください。思ったよりも小さな面積でも快適に暮らせますから、ご不安があれば住まいのプロにも相談してみてください。
無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、家族で気持ちよく暮らすためのマンション選びから設計・施工・アフターサポートまで、一気通貫でサービスを提供しております。ご興味をお持ちの方は、リノベーションセミナーや相談会、見学会にぜひお越しください。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。



