気になっているマンションがあります
リノベーションなんでも相談室 | 2024.5.8
いまの住まいの近くに、購入してリノベーションしたいと思えるマンションがあります。気になっているマンションがある場合、どのように購入に向けて動けばよいのでしょうか
長いこと同じ地域で暮らしていると、「このマンションが売りに出たら買いたいなあ」と思えるものが二つ三つあることも珍しくありません。しかしながら、「買いたいなあ」とぼんやりと考えているだけでは住宅購入にたどり着くことはできませんから、来るべきマンション購入に向けた準備が必要となります。具体的に気になる物件がある場合には、どのように動けばよいものなのでしょうか。
今回は、自身も実家近くのよく知ったマンションを即決で購入した、マンション管理士で宅地建物取引士の”こっしー”が、気になるマンションがある場合の作法について解説してまいります。
いま売りに出ているなら、すぐにリノベの相談を。
今回のご質問のように、具体的に気になる物件があるときには、幾度とないチャンスをものにするための心構えや購入に向けた準備が大切です。特に、いま、気になる物件が売りに出ていて、それをリノベーションしてから住みたいと考えているのであれば、すぐにリノベーションについての相談機会を持つことをおすすめしています。
一般的には、ポータルサイト等で気になる物件を見つけた場合は、「まずは物件を見てから考えよう」と、不動産会社に問い合わせて内覧を行うケースが多いでしょう。すぐに見に行くというスピード感のある動きは素晴らしい一方で、内覧の後にリノベーションについての検討を始めるというのは少々遅すぎるといえるかもしれません。「このマンションを買いたい」と思わせるような魅力的な物件であれば、売り出しから成約まではさほど時間がかからない可能性が高く、のんびり検討している間に他の人に買われてしまうリスクが高まってしまうのです。実例になりますが、私が都内でマンションを購入した際にも、私が購入申込書を提出した翌日と3日後にも別の申込みが入っていました(図1)。
不動産の営業マンにリノベーションについても相談できれば話が早いのですが、残念ながら、マンション売買(不動産)とリノベーション(建築)は、似ているようでまったく別の領域になります。不動産の営業マンにリノベーションについての質問をしても、要領を得ない回答しか返ってこない場合がほとんどですから、気になる物件が売りに出ている場合は、なるべく早いタイミングでリノベーション会社にも問い合わせをしてみてください。その後の動き方はケースバイケースで、一緒に内覧をすることもあれば、内覧前または内覧後に密なお打合せを行うこともあるでしょう。いずれにしても、気になる物件でやりたいことができるのか、どれくらいの費用がかかるのか、などの疑問がクリアになりますし、リノベーションも含めた住宅ローン審査もスムーズに行うことができるはずです。
売出し物件がなければ、準備を整える。
気になるマンションの売出し物件がいま現在はない、という場合には、購入に向けた準備を焦らずひとつずつ進めていきましょう。残酷なお話になりますが、そもそも気になるマンションが自分の予算内で買えるものなのか、本当に待つ価値のあるものなのかなど、冷静な目線での判断も必要になります。下記に、具体的に気になるマンションがある場合の準備についてまとめてみます。
準備(1)自分自身の予算を知る
客観的なアドバイスを踏まえて資金計画を立てることの重要性については、本コラムでも何度か解説しています(「住宅ローンを組むための準備はありますか?」「やってはいけない予算の決め方はありますか?」など)。ご自身の収入・支出の見通しを整理し、価値観をお金という尺度で可視化することで、家庭ごとの住宅購入予算が見えてきます。お金の相談は少々面倒ではありますが、まずはここから始めましょう。
準備(2)気になるマンションの相場を知る
つぎに、気になっているマンションの相場についても検討してみましょう。広さや階数、方位やリフォームの有無によって金額のバラツキはあるものの、おおよその金額感を把握することはできますから、不動産営業マンやリノベーション会社の方に、過去の成約事例も踏まえた相場観について質問してみてください。長期間に渡り同じマンションをウォッチしている人ほど、「以前はもっと安かった。いつか下がるはずだ」と希望的観測に基づいた判断をしてしまいがちですから、お気を付けくださいね。
準備(3)予算と相場に乖離があれば、条件を見直す
ご自身の予算とマンションの相場を照らし合わせ、それらがうまく合致するのであれば問題ないでしょう。しかし、実際には、予算よりも相場が若干高いということも珍しくなく、その場合には条件の見直しが必要になります。たとえば、1階なら買える、北向きなら買える、といった具合に必然的に決まってくる条件もありますし、リノベーションの工夫によって10平米狭い部屋も検討してみようという見直しもあるかもしれません。以前のコラム「家族3人、50㎡台で暮らせるでしょうか?」でも触れたように、寝室のサイズを見直すなどリノベーションだからできるさまざまな工夫があるのです(図2)。
準備(4)条件が整ったら、すぐに購入できる状態をつくる
気に入っているマンションで、「低層階の西向き60㎡なら買える」などの具体的な条件の整理ができたら、次はご自身がすぐに家を買える状態となるように準備をしましょう。具体的には、予算の上限に近い金額で住宅ローンの仮審査を通し、住宅ローンが問題なく借りられる状態であることを示せるとよいでしょう。また、マンション購入時には、売買契約時の手付金がまとまった現金として必要になりますから、現預金として動かせるお金を用意しておけると安心です。
別のマンションでもいいかもしれない。
ここまでは、気に入っているマンションを競争に負けずに購入するための動き方を解説してまいりましたが、もしかすると、いま気に入っているマンションにこだわらなくてもいい、という考え方もあるかもしれません。どうしてもそのマンションがいいという明確な理由があれば別ですが、「駅の反対側のマンションであれば希望の広さで買える」「隣駅のマンションなら駅近で眺望もよい」というように、視点を変えれば可能性が広がることもあります。マンション選びもリノベーションも、豊かな暮らしを送るための手段のひとつにすぎないのですから、ご自身の理想の暮らしや価値観と向き合って検討を進めてみてください。
今回は、気になるマンションがある場合の動き方について解説しました。気になるマンションがいま売りに出ているようであれば、チャンスを逃すことがないよう、とにかく早くリノベーションの相談をしてみてください。売出し中の物件がなければ、予算と相場を照らし合わせるという作業を行いつつ、暮らしの希望を整理するところからはじめてみましょう。いずれにしても、リノベーションを検討するのであれば、お早めにリノベーション会社に話を聞いてみてくださいね。
無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、気になる物件がある方でもない方でも、資金計画やマンション探し、リノベーションの設計施工までワンストップでサービスを提供しております。ご興味を持たれた方は、リノベーションセミナーや相談会にお越しください。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。