関西のマンション市場について教えてください
リノベーションなんでも相談室 | 2023.9.20
関西圏での中古マンション購入を検討しているのですが、関西のマンション市場はどのような状況なのでしょうか
首都圏に次いでマンション流通が活発なのが、大阪府を中心とする関西圏です。このコラムでは、主に首都圏のデータを参照しながら解説をしてきましたが、関西圏の状況も気になるところです。中古へのシフトが進んでいる首都圏と比べて、関西圏ならではの特徴があるものなのでしょうか。
今回は、東京・大阪で計3度の中古マンション購入経験を持つ、宅地建物取引士でマンション管理士の”こっしー”が、関西圏のマンション市場について解説してまいります。
中古の割安感が残る、関西圏
はじめに、2022年の首都圏と関西圏のマンションの流通状況について確認してみましょう。新築マンションについては(株)不動産経済研究所の「マンション市場動向」、中古マンションについては(公社)東日本不動産流通機構および(公社)近畿圏不動産流通機構の市況レポートをもとにまとめてみます。新築マンションについては、表1のとおり、関西圏の供給戸数が1.8万戸弱で、首都圏に比べて60%程度の供給数となっています。直近ではコンパクトマンションの分譲が多いのか、平均面積が首都圏以下となっているのは意外なところかもしれません。
中古マンションについては、表2にまとめました。成約戸数は首都圏の半分以下ですから、首都圏と比べると、やや中古マンションの存在感が薄いようにも思えます。また、表1も合わせて考えると、首都圏では平米単価の新築比が約70%、関西圏では約50%ということになりますから、関西圏の方が中古の割安感が目立つ印象です。これから中古マンションの人気が高まり、価格がジリジリあがっていくというシナリオもあり得るかもしれません。
まもなく中古が逆転か?
表1および表2では、直近の数字として2022年のデータを参照しましたが、もう少し時間軸を長く取って見てみましょう。図1は、新築マンション供給戸数と中古マンション成約戸数の推移を示しています。過去のコラムでもご紹介しているように、首都圏では2016年以降、中古マンション>新築マンションの状況が続いていますが、関西圏では、2020年に一度中古が逆転したものの、その後は再び新築の供給戸数が上回る状態になっています。それでも、新築マンションの供給は減少し、中古マンションの成約は増加している傾向が見て取れますから、関西圏でも中古が主役になる日は近そうですね。
関西圏のマンションの価格についてはどうでしょうか。首都圏では2013年から新築・中古ともにマンション価格が急上昇し、中古マンションについては2013年比で1.7倍近い平米単価になっています。図2を見ると、首都圏同様に新築・中古ともに2013年以降に価格高騰が続いていることがわかります。2022年時点の平米単価の2013年比は、新築で1.54倍、中古で1.57倍となっており、価格高騰の程度についても首都圏と大差がないようです。
コロナ禍での在庫状況についても確認してみます(図3)。こちらも首都圏と似たトレンドになっていますね。2020年4月に緊急事態宣言が発出され、売り物件の数が最大で約20%程度減少しています。そこから在庫物件の回復が起こり、いまではコロナ前の在庫数を超える状況となっていますが、おそらく首都圏同様にリフォーム済み物件が積みあがっているのでしょう。
中古マンションを選ぶ力が必要です。
ひと通りのデータを見比べてみましたが、第2の大都市圏である関西圏のマンション市場は、供給数・価格・在庫状況の推移については、首都圏と似ている部分が多くありました。一方で、首都圏と比べて中古のお得感がより鮮明にあらわれていますから、まさにこれから中古マンションのシェアが拡大しようとしている状況なのかもしれません。マンションの買い手にとっては、中古マンションを正しく選ぶ力が問われる時代がやってきたというところでしょうか。マンション選びには地域性があるわけではないので、過去のコラムを参考に、安全に暮らせる持続可能性のあるマンションをお選びください。
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今回は、関西圏のマンション市場について解説しました。価格帯こそ差があるものの、全体のトレンドとしては首都圏と近い動きとなっているようです。既に流通数では新築と中古が拮抗する市場になっていますから、今後の中古マンションの躍進が楽しみで仕方ありません。
無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、関西圏の一部でもサービスの提供を開始しました。ご自宅マンションのリノベーションだけでなく、中古マンション探しからのお手伝いもしておりますので、ご興味を持たれた方は、リノベーションセミナーや相談会にお越しください。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。