リノベ前のマンションが見つかりません

リノベーションなんでも相談室 | 2022.11.29

ご質問

リノベーション前提で中古マンションを探しているのですが、リノベ前の物件が見つかりません。リノベ済み物件が多いようですが、どうやって未改装物件を見つければよいでしょうか

中古マンションを購入してリノベーションをしたいという方の多くが、リノベ前の物件がなかなか見つからないという問題に直面するものです。中古マンションの流通は増加傾向にあるものの、ひとつの物件を取り合うライバルが多く、物件探しで苦労する方も増えているのでしょう。未改装の物件に出会うために、なにかできることはあるのでしょうか。

今回は、自邸での物件探しで大変な思いを重ねてきた、宅地建物取引士でマンション管理士の”こっしー”が、リノベ前の物件を購入するコツについて、解説してまいります。

なぜリノベ前物件は少ない?

不動産ポータルサイトで物件を探していると、「リノベーションされたこの空間をぜひご覧ください!」というような紹介文を目にすることがあります。一方で、内装がボロボロで、現状のままではとても暮らせそうにない物件というのは、あまり見かけないかもしれません。まずは、その背景について考えていきましょう。

マンションを売却する際、売主としては、相場通りの価格で個人に売る・相場より安い価格で業者に売る、という2つの選択肢が存在します(図1)。とくに急いでおらず、少しでも高く売りたいという売主であれば前者を選ぶでしょうし、手間をかけずに早く売却したいという事情があれば後者を選ぶでしょう。

図1. 売却のふたつの選択肢

図2を見ると、コロナ以降では、図1の★のような業者がリフォーム後に販売している物件の在庫が積みあがっていることがわかります。人との接触を最小限に抑えられる業者への売却を選ぶ売主が増えている、あるいは、この機に新規に買取事業に参入する企業が増えているとうことも考えられます。マンション相場の継続的な上昇を追い風に、時には相場通りの価格で業者が買い取るケースも出てきており、マンション売買の現場でも再販市場の活発さを肌で感じています。

図2. 首都圏売主物件在庫件数((公社)東日本不動産流通機構より)

また、不動産ポータルサイトの情報は、各不動産会社が費用をかけて掲載しているものですので、なるべく費用対効果の高い物件情報を載せたいと考えるのは当然のことです。多くの人にとってわかりやすく、掲載する不動産会社の利益にもつながりやすいのは、すぐに住めるリフォーム済みの物件ですから、ポータルサイト上では未改装物件よりもリフォーム済み物件が目立っているということもあるかもしれません。

リノベ前物件に出会うコツ

業者買取の活性化により未改装物件が見つかりにくくなってはいるものの、もちろん全くないわけではありません。ただし、未改装物件の購入はプロの業者との戦いになりますから相当なスピード感が求められます。ここからは、リノベ前物件に出会い、それを購入するためのコツについてみていきます。

(1)適切なパートナーを選ぶ
リノベーション向きの物件を見つけるために、適当に不動産屋に声をかけてみるというのはよくある失敗例です。リノベーションをしたいという買主の意向をしっかりくみ取ってくれる不動産屋であればよいのですが、「リノベーション希望」という点だけを拾われ、リフォーム済みの物件ばかり紹介されるというのもよく聞く話です。

また、リノベーション前提となると、パートナー選びのハードルがグッとあがります。不動産と建築は似て非なる領域ですから、仲介はできても、建築やリノベーションには明るくない不動産屋が山ほどいます。マンション選びだけでなく、リノベーションについての適切なアドバイスを貰えるパートナーを見つけることからはじめましょう。

(2)フットワーク軽く動く
マンションを購入するぞ!と心が決まったら、いい物件があればいつでも動けるように心の準備をしましょう。もちろん、文字通り”いつでも動ける”ということはないでしょうが、仕事終わりでも、半休を取ってでも、飲み会を断ってでも、優先的に物件購入に向けて動けるように、自分の中での優先順位付けをしましょう。実際、私がいまのマンションを購入した際には、最短日程で進めるため、仕事終わりに内覧し、同日にローンの審査・購入申込みまで、一気に進めていきました。そこまで頑張っても、購入申込みが3件重なっていたため、契約をするまではかなりドキドキしていました。

図3. 自邸購入までの2週間

(3)すぐに意思決定できる準備をする
フットワーク軽く動いても、そこから悩み続けていては、目の前の物件は他の方の手に渡ってしまいます。意思決定を早くするために、事前にできる準備はしっかりと進めておきましょう。まずは、資金計画。予算の決め方や、そもそも家を買うべきかなど、以前のコラムも参考にしてみてください。それから、立地や広さの条件を洗い出し、それぞれの優先順位を明確にしましょう。そこまで準備をした状態で、フットワーク軽く動くことができれば、ライバルの多いリノベ前物件の購入に一歩近づくことができます。

とはいえ、慎重な見極めも

未改装物件を見つけるためには、それを前提としてマンション探しを行えるパートナーを見つけることが大切。見つけた未改装物件を購入するためには、フットワーク軽くスピーディに動くことが必要。とはいえ、マンション購入は大きなお買い物ですから、自分自身で物件の見極めもできるように、耐震性・マンション管理・温熱性能などの最低限の知識は頭に入れておきましょう

「未改装だからお得です!」「旧耐震ですが、管理がよいので問題ありません!」などのリノベーション業界でよく耳にするセールストークは、鵜呑みにしないほうがよいでしょう。確かに未改装の物件はお得かもしれませんが、規模や管理体制などマンション自体のスペックも重要です。マンションの場合、一室のリノベーションで耐震性能を高めることはできませんから、旧耐震の物件を購入するのであればメリット・デメリットについて深く検討するべきです。「旧々耐震とはなんですか?」「買ってはいけないマンションはありますか?」「マンションでも『断熱』は必要ですか?」なども参考にしていただき、インプットを増やしてみてください。

今回は、リノベ前物件を購入するコツについて解説しました。中古マンションが住宅購入の当たり前の選択肢になったことで、いい物件ほど競争が激しい状況となっています。これからリノベーション前提でマンション探しを始める方は、苦労することも多々あるでしょうが、挫けずに動き続けることで理想の住まいづくりに近づけるはずです。

無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、リノベーション前提のマンション探しも含めたワンストップサービスを提供しております。ご興味を持たれた方は、リノベーションセミナーや相談会にお越しください。

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“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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