マンションの得する買い方はありますか?
リノベーションなんでも相談室 | 2022.9.6
マンションは大きな買い物なので、少しでもうまく買いたいと思っています。マンションの得する買い方はあるのでしょうか
マンション購入は普段のお買い物とは桁が違いますから、なるべく損をしたくない、できれば得したい、とお考えになる方も多いのかもしれません。とはいえ、ワケあり物件は避けたいでしょうから、単純に安いものを買えばいいということでもありません。マンションの得する買い方は、あるものなのでしょうか。
今回は、マンション購入で損しないため、得をするために知っておくべきことについて、自身も2度のマンション購入経験を持つ、宅地建物取引士でマンション管理士の”こっしー”が解説してまいります。
割安な物件には期待しない
マンションを相場よりも安く買う方法があれば、それはひとつの得する買い方といえるかもしれません。ところが、一般の方がマンションを安く買うというのは困難ですから、「割安物件を買おう!」と意気込んだところで、かえって本当によい物件を逃してしまうという結果につながりかねません。
実際、相場より低い金額でマンションの売買がなされているという事実はあるのですが、その多くは一般の売主から不動産業者が買い取るという取引になります。秘密裏に売却したい、早期に現金化したい、面倒なことはご免だ、など多少相場より安くても早く売却したいという売主の意向があれば、買い取りを行う不動産業者がサッと買っていくのです。図1の通り、買取再販市場は拡大しており、売り物件の情報が出れば、各社が我先にと購入に向けて動いている状況です。
もちろん、相続や離婚がらみなどの理由で、若干安く感じるものが一般の市場に流通することもありますが、希望の立地・広さ・予算に合致するようなものが都合よく出てくるというものでもありません。ポータルサイトなどで「お、割安だな」と感じる物件を目にすることがあったとしても、その多くは、借地権・旧耐震・違法建築・事故物件などネガティブな要素を含んでおり、特段割安というわけではないのです。自分が住むためのマンション探しにおいては、「割安な物件を買って得しよう!」という考えは持たない方が賢明でしょう。
損しないマンションの選び方
割安狙い以外の得する買い方もあるのですが、まずは欲張らず、損しにくい買い方というところから考えていきましょう。相場通りの金額で買う、ということを前提としたうえで、以下のようなポイントを抑えておけば、長期的に価値が下がりにくい(=損しにくい)マンションを選べるようになります。
(1)規模の大きなマンションを選ぶ
20戸より50戸。50戸より100戸。100戸より200戸。マンションにとって大規模であることは正義です。修繕のための費用が貯まりやすい、マンション運営が間違った方に流れにくいなどの維持管理面でのメリットだけでなく、売却時に値崩れしにくいという資産的なメリットもあるのです。大規模なマンションは必然的に売買履歴も増え、確固たる相場ができあがりますから、売る方も買う方も仲介会社もその相場に基づいた売買ができ、価格が安定しやすいのです。
(2)築30年前後のマンションを選ぶ
不動産相場全体の動きを無視すれば、新築時が最も価格が高く、築年数の経過とともに価格が下がり、あるタイミングで価格が下げ止まる、というのがマンション価格の推移となります。この下げ止まるタイミングが、築25~30年程度となっておりますから、築30年前後のマンションは新しすぎず古すぎず、ちょうど良い年代といえそうです。以前のコラム「リノベーション向きの築年数はありますか?」もあわせてご覧ください。
(3)管理状態のよいマンションを選ぶ
マンション管理の重要性については、「管理を買え、は本当でしょうか?」など、過去のコラムの中でも繰り返しお伝えしてきました。築年数が経ったものが激増する今後のマンション市場においては、古くてもきちんと手入れがなされているものは価値を保ち、それができないものは相対的に価値が下がるということになるでしょう。管理状態を正しく判断する重要性が増しています。
コンパクトなお部屋で、得をする
最後にひとつ、マンションの得する買い方をご紹介します。割安な物件を待つのは貴重な時間の無駄遣いですが、この方法であれば確かに得をすることができます。その方法とは、コンパクトなお部屋を選ぶということです。シンプルな方法ですが、その効果は想像以上です。
たとえば、家族3~4人で暮らすなら70平米は必要だ、というイメージをお持ちの方も多いかもしれません。それが60平米で十分だということになったらどうでしょう。東京23区の中古マンションの成約平米単価は約98万円ですから、10平米小さくできれば、約980万円も得することになるのです。さらに、図3のように52平米でも十分だ、ということになれば、当初の想定よりも1,700万円以上費用を抑えることができます。寝室の大きさを見直したり、廊下をなくしたり、可変性を持たせたりと、リノベーションでできる工夫がたくさんあります。
人によって暮らし方や物の持ち方が異なりますから、誰でもコンパクトな住まいを選べるわけではありません。それでも、自分の暮らしに必要なサイズ感を見直し、リノベーションで効率のよい空間をつくることによって、想定より少しでもコンパクトな住まいづくりができれば、その分は得したことになるのです。
今回は、マンションの得する買い方について解説しました。残念ながら、割安物件を買う裏技があるわけではありませんが、コンパクトな住まいづくりによって誰でも得することができます。限られた空間を最大限活かすためにリノベーションで工夫できることはたくさんありますから、以前のコラム「家族3人、50m²台で暮らせるでしょうか?」もあわせて読んでみてください。
無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、お部屋のポテンシャルを最大限生かせる空間づくりを大切にしております。物件探しから設計施工まで一貫してサポートしておりますので、ご興味を持たれた方は、リノベーションセミナーや相談会にお越しください。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。