団地リノベについて教えてください

コラム | 2021.7.20

みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。

今回お答えするご質問は、こちら。
「住宅購入を検討するなかで、団地のリノベーションも視野に入れています。価格や環境面での魅力はあるものの、古さ故の不安もあります。団地をリノベーションするというのはどうなのでしょうか」。

おっしゃる通り、広い敷地にゆったりと建物が建てられた団地は、一般的なマンションとは異なる魅力がありますよね。一方で、築40~50年を迎えるものも多く、暮らしやすさや将来性について不安を持たれる方もいらっしゃいます。今回は、団地のリノベーションについて解説してまいります。

団地は、意外と合理的

そもそも団地とは、ひとつの敷地内に土地などを共有した複数の建物が建てられたもの、というのがざっくりとした説明になります。ですから、高層の建物の集合体としての団地も存在しますが、今回は中低層でエレベーターなしといった、みなさんのイメージ通りの”団地”にフォーカスしてお話を進めます。

また、ひとことで団地といっても、公営の賃貸団地、公団の賃貸団地(MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトはここが対象になります)、住宅供給公社や公団によって分譲された団地など、さまざまな形態が存在します。ご自身でリノベーションを行うとなると、分譲の団地が対象ということになりますね。

まずは、団地それ自体や団地を購入するということの魅力について考えてみましょう。

(1)ゆとりのある敷地
大きな敷地に低層の建物が間隔をあけて並んでいる、というのが団地の基本構成です。ゆったりとした建物の配置となっているため、こどもたちが安心して遊べる中庭があったり、1階のお部屋でも日当たりを確保できたりと、一般的なマンションでは難しいことも、団地ならばかなえてくれます。

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図1. ゆったりした配置の団地

(2)販売価格が安い
多くの団地では、周辺の中古マンションと比べると価格が割安になります。もちろん、築年数が経っている、エレベーターがない、間取や設備が古臭いなどのデメリットを踏まえての価格ですが、住まいにかける費用を押さえようという方にとっては、理にかなった選択肢かもしれません。間取や設備についてはリノベーションで一新することもできますね。

(3)ランニングコストが安い
大規模・中低層・エレベーターがない・余計な共用施設がない・平置き駐車場などの団地の特長のおかげで、管理費や修繕積立金といった毎月の支払いを抑えることができます。もちろん団地ごとに差がありますが、分譲の団地においては、ランニングコストが安くても建物の修繕や配管更新、サッシや玄関ドアの更新などの必要な修繕工事を行えている場合も多いのです。

(4)耐震性能が高い場合が多い
こちらも団地ごとに差がありますが、壁式構造でつくられた中層階団室型の団地は、耐震性に優れていることが多いのも特長のひとつです。築40年以上経っているものでも、現行の耐震基準を満たす場合があり、耐震基準適合証明書を発行できる団地であれば、住宅ローン控除や登録免許税の減税といった税制優遇を受けられることもあります(面積等の諸条件があります)。

実は難しい、団地リノベーション

上記のように魅力的な団地を、リノベーションによって再生するということには価値がありそうです。ところが、団地のリノベーションにはさまざまな難しさもありますから、ここからは団地リノベーションを行う際に注意すべき点について見てまいりましょう。

(1)壊せない壁が存在する
多くの団地は壁式構造でつくられており、リノベーションでは壊せない壁が出てきます。設計を行う際には、いかに躯体壁を活かすかが工夫のポイントになります。壊せない壁があると間取の自由度は下がるように思えますが、一方で図2のように団地ならではのラフなデザインを実現することもできます。

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図2. 団地の躯体壁を活かした設計

(2)水まわりの移動がしにくい
団地の場合、一般的なマンションと比べて水まわりの移動に制限がある場合が多くなります。たとえば、お風呂がコンクリート躯体で囲まれていてサイズアップや移動ができない、キッチンの排水経路の都合でアイランド型にできない、あるいは、規約で水まわりの移動を制限されるという場合もあります。

(3)天井高が低い
最近のマンションでは天井高が2.4~2.5m程度あることが多いのですが、築年数の経った団地の場合、天井高が2.3m程度やそれを下まわるものもあります。ただし、梁が無い、窓が多いという団地の特長のおかげで、間取次第では圧迫感のない空間づくりができます。

(4)アスベスト使用の懸念がある
築年数の経った団地では、天井の仕上げに壁紙ではなく吹付材が使用されている場合があります。この吹付材にはアスベストが含有されている可能性があり、検査の結果アスベストの含有が判明した場合には、専門業者による撤去をおすすめします。面積にもよりますが、撤去には200~300万円という大きな費用が必要になりますので、団地購入の際にはそれも踏まえた資金計画が必要です。

(5)断熱性能が低い
団地を購入して暮らす場合には、断熱性能の向上をおこなうことをおすすめします。コンクリートに直接壁紙を貼って仕上げた、暑さ・寒さ・結露に弱いつくりの団地も多く、古さ故の性能の低さはリノベーションで補ってあげるとよいでしょう。

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図3. 無断熱も多い団地の壁面

(6)電気・ガス容量が小さい
団地によっては電気容量が最大30Aであったり、200Vの電源が使えなかったりと、新しいマンションと比べてインフラが弱いものもあります。IHクッキングヒーターや大容量のエアコン、床暖房などは使用できない場合も多いので、購入前に確認してみてください。

制約があるからこそ魅力もある、団地リノベーション

「団地をリノベーションするというのはどうなのでしょうか」というご質問にお答えすると、団地の暮らしが気に入るのであれば、ぜひ団地リノベーションをしてみてください。いろいろと団地リノベーションの懸念や制約を書き連ねてしまいましたが、制約があるからこそ仕上がった後の満足感・充実感は高いものになるのではないでしょうか。もちろん、団地を選ぶ際にも管理状態耐震性については意識を向ける必要がありますので、そのあたりは以前のコラムも参考にしてみてください。

今回は、団地の魅力や制約について解説しました。団地に興味がある方は、MUJI×URの賃貸住宅で団地暮らしを体験してみるのもよいかもしれません。また、「MUJI INFILL 0」でリノベーションした完成品の団地もご用意しています。そのほか、リノベーションセミナーや相談会、見学会も開催しておりますので、ご興味を持たれた方はぜひご参加ください。

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