マンションの修繕について教えてください

リノベーションなんでも相談室 | 2021.2.2

みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。

今回お答えするご質問は、こちら。
「マンションは定期的な修繕が必要だということですが、いつごろどのような修繕工事を行うものなのでしょうか」。

おっしゃるように、マンションを健全な状態で維持するためには、定期的な修繕工事が必要不可欠です。周囲に足場が組まれ、メッシュシートがかけられた、大規模修繕工事中のマンションをみなさんも見たことがあるのではないでしょうか。今回は、マンションの修繕ではどのようなことが行われるのか、解説してまいります。

維持管理すれば永く使える、マンション

まずは、マンションにおける定期的な修繕の必要性からお話をはじめましょう。みなさんは軍艦島をご存知でしょうか。長崎県にある無人島で、かつては炭鉱業で栄えていました。働く人々のための集合住宅もたくさんつくられ、1916年に建設された30号棟が日本初の鉄筋コンクリート造の高層集合住宅といわれています。建設から100年以上が経ち、廃墟となって久しい現在でも、一応建物としての体を保っています(図1)。軍艦島の事例からもわかるように、マンションの構造体である鉄筋コンクリートというのは丈夫なものなのです。

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図1. 軍艦島の鉄筋コンクリート造集合住宅

しかしながら、廃墟と化した軍艦島のマンションでは、もちろん暮らしていくことはできません。建物として建ち続けてはいるものの、一切の修繕も行われず朽ちた状態ですから、生活できる状態とはほど遠いわけです。一方で、団地などでは築50年(軍艦島と比べたらだいぶ若いですが)を迎えても問題なく使われ続けているものも存在します。マンションを良質な住まいとして長持ちさせるためには、もともと丈夫な構造体をより長く健全な状態で保ち続け、ライフラインや設備についても必要に応じて更新していく必要があります。修繕工事をきちんと行うか否かが、マンションの行く末を左右するのです。

修繕工事の、主な内容

修繕工事の実施については、それぞれのマンションに任されることとなりますが、国としてもひとつのガイドラインを作成しています。ここでは、国土交通省の「長期修繕計画作成ガイドライン」を参考に、主な修繕工事の内容や実施時期の目安についてご紹介します。

(1)屋上防水
屋上やルーフバルコニーは、マンションの中でも最も雨水が溜まりやすいところになります。これらの防水に問題があると、雨漏りによる生活への影響や建物の劣化といった問題が発生します。10~15年程度での補修が必要になります。

(2)外壁塗装・タイル補修
外壁の塗装やタイルの補修は、マンションの美観だけでなく、建物の劣化を防ぐためにも大切な工事です。タイルの浮きや目地の劣化による雨水の侵入が起こり得るため、屋上同様に壁面においても防水性能が必要になります。10~15年程度での補修が一般的です。

(3)鉄部塗装
廊下や階段の手すり、自転車置場などの鋼製部材の塗装を行います。定期的な塗り直しをしないと塗装がペリペリとはがれ、錆の原因となってしまいます。雨がかかる部分とかからない部分で異なりますが、概ね4~6年程度での塗りなおしが必要となります。

(4)給水設備
古い給水管が使われ続けると、配管内の錆びによる水質の悪化や漏水を招きます。配管の修繕は更生工事と更新工事に分けられ、前者は既存の配管の内側にコーティングを行うなどの延命工事、後者は配管そのものの交換となります。概ね30年程度で更新工事が必要となり、その間の15年目程度で更生工事を行うことが一般的です。そのほか、給水のためのポンプについても8年程度での修理・交換が必要となります。

(5)排水設備
給水設備同様に漏水等のリスクがあるため、15年程度での更生工事、30年程度での更新工事が求められます。

(6)昇降機
定期的な点検に加え、15~20年程度でエレベーターの内装や扉など、本体以外の改修を行います。使用開始から30年程度で本体の交換も必要となります。

(7)機械式駐車場
自走式の駐車場と比べ、メンテナンス費用が掛かるのが機械式駐車場です。自走式の場合は10年に一度程度の修繕が想定されますが、機械式の場合は5年に一度程度の補修を行い、20~25年程度での取り換えが必要となります。

とくに重要な、大規模修繕工事

上記以外にも、電気・通信設備や消防設備、外構やエントランスの改修など、多岐にわたる修繕工事が必要になります。それぞれをバラバラに実施すると効率が悪いため、一般的には12~15年の周期で大規模修繕工事というかたちでまとめて修繕を行います。先にご紹介した国土交通省のガイドラインでは12年周期で記載されていますが、同省の調査結果を見ると表1のようにもう少し長い周期で大規模修繕が実施されていることがわかります。最近では、大規模修繕の周期を18年に延ばすような取り組みも行われており、今後はさらに修繕周期が長くなるかもしれません。

表1. 大規模修繕工事回数と築年数

大規模修繕工事回数 築年数
平均値 中央値
1回目(n=473) 16.3年 14.0年
2回目(n=249) 29.5年 28.0年
3回目(n=151) 40.7年 40.0年

築年数の経ったマンションでは、オートロック化・バリアフリー化など、いまの時代に合わせたバリューアップの工事を行うこともありますし、旧耐震基準のマンションでは、大規模修繕と合わせて耐震補強工事を行う場合もあります。このように、マンションごとに必要な修繕工事の内容を精査し、実施していくことになりますし、修繕工事の内容や周期によって必要となる費用も変わってきます。マンションに住む方、あるいはこれからマンション購入を検討されている方は、ぜひマンションの維持管理についても興味を持ってもらいたいものです。

今回は、マンションの修繕工事について解説しました。しっかりと修繕工事を行えているマンションとそうでないものとの差は、時間が経てば経つほど広がっていきます。マンションを選ぶ際には、修繕の履歴や計画についても確認しておくとよさそうです。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、マンション選びからのワンストップサービスを提供しております。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。

みなさんからのご質問もお待ちしています!/

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