【MUJI×UR トークイベント】団地でどう暮らす?MUJI×URと男山団地から考える、これからの団地の暮らし(前編)
MUJI×UR団地レポート | 2026.10.28
※このレポートは、2026年9月26日(土)に無印良品グランフロント大阪で行われたトークイベントの模様を採録しています。
松本
本日はお天気が悪い中お越しいただきありがとうございます。今日のトークイベントは「団地でどう暮らす?」というお題のもと、MUJI×URの取り組み、京都府八幡市の男山団地で行っている取り組みをご紹介し、登壇者でクロストークもしていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

1 登壇者紹介
松本
最初に登壇者の自己紹介から始めたいと思います。
まず私ですが、本日ファシリテートさせていただく株式会社MUJI HOUSEの松本と申します。
団地とのなれそめですが、結婚してこどもが生まれたのをきっかけに初めて団地に住みました。そこから団地の魅力にはまりまして、当時私が住んでいた部屋を『団地に住もう! 東京R不動産』という本にも掲載していただきました。
団地好きが高じて2014年にMUJI HOUSEに入社しまして、10年以上URさんの団地のリノベーションの設計をさせていただいております。また、最近は住戸だけでなく共用部のリノベーションにも関わらせていただいています。
よろしくお願いいたします。
藤本
一般社団法人カンデに所属し、地域コーディネーターを務めている藤本と申します。

僕は関西大学の学生だった2020年に、大学の研究プロジェクトがきっかけで男山団地に関わるようになりました。
学生のときには関大×URの住戸リノベーションの設計提案をさせていただいたり、高層棟のピロティを活用した屋外空間の小さな居場所づくりをする社会実験などをやらせていただいたりしました。
あとは、地域拠点の「だんだんテラス」の運営の支援や、団地に住んでいる方の住まい方調査などをやっております。よろしくお願いいたします。
長濱
八幡市役所の市民協働推進課の長濱と申します。

私は2014年に八幡市役所に入庁しまして、この市民協働推進課には2021年に配属になりました。ここで関西大学様やUR都市機構様、一般社団法人カンデ様とUR男山団地をはじめとした男山地域の地域価値向上や魅力向上といった取り組みを、主にソフト面でやらせていただいております。
また、住民の方と協働した防災イベントや多文化共生の取り組みなどを、いろいろな団体さんと行っております。本日はよろしくお願いします。
石原
八幡市役所の健康福祉部の国保医療課の石原といいます。

私は2017年に八幡市役所に入庁しまして、そこから都市整備課に配属されました。今は違う部署にいるのですけれども、都市整備課ではハードの方でUR都市機構さん、関西大学さんと男山団地の地域再生プロジェクトに携わらせていただきました。
私は実家が男山団地で、今もプロジェクトの一環でリノベーションをした男山団地の住戸に住んでいます。今年33歳になりますが、33年間この男山団地にずっと住み続けている者として、住民視点でお伝えできることがあればと思い今日のイベントに参加させていただきました。よろしくお願いいたします。
堀江
UR都市機構西日本支社京奈エリア経営部の堀江と申します。

URには2024年に入社しまして、入社後2年間はUR団地にあるテナントの契約やPR業務を担当しておりました。以前から生まれ育った京都に携わりたいと思っており、その思いが叶って今年度より京奈エリア経営部に異動になりました。
京都と奈良の団地を担当する部署ですが、私はその中でも京都府の男山団地をメインで担当しております。男山団地の魅力をどのように引き出し、地域価値向上につなげることができるかを日々考えております。
前部署で店舗のリーシングを担当していたときも、団地に求められる役割や必要な施策について常日頃考えておりましたので、その経験も生かしながら、八幡市様、関西大学様、一般社団法人カンデ様と一緒に男山地域の活性化に取り組んでいきたいと考えております。よろしくお願いします。
2 MUJI×URとは?
松本
まずはMUJI×URの取り組みを紹介させていただき、その後に男山団地の取り組みをご紹介していただく流れで進めたいと思います。
MUJI×URの取り組みが始まったのは2012年。当時は今よりも団地の高齢化や空き家問題が大きな社会問題になっていました。
その頃にURさんと無印が出会いまして、「若年層の方に団地に住んでもらうにはどうすればいいだろう?」というのを一緒に考えようということでスタートしました。

無印とURさんは「何か一点ものの華美なものをつくろう」ではなく、「暮らしのスタンダードを目指そう」というところで、そもそも同じ方向性を向いていたのかなと思います。
最初に「団地の魅力って何だろう?」という議論を行う中で、古いということ、70万戸あること、日当たり・風通しが良いことが魅力として挙げられました。

まず古いことについてですが、一般的に「古い=悪い」というイメージがあると思うんですけど、そうではなく、古いからこそ良いことがあるのではないかと考えました。

それから70万戸というたくさんのストックを活用することで、新しい暮らしのスタンダードをつくれるのではないか?と考えました。そして、風通しや日当たりがいい団地のポテンシャルを生かしていくことにしました。
そこから「こわしすぎず つくりこみすぎない」というコンセプトが生まれました。

それを実現する3つの要素が「生かす」「自由にできる」「変える」です。

「生かす」は団地のポテンシャルをしっかり生かしていくこと。
「自由にできる」は、賃貸であっても住んでいる人が間取りを自由に可変できること。
「変える」は、水回りなどの変えるべきところはしっかり変えるということ。
この3つをしっかり考えてスタートしました。

こちらの左上がよくあるURさんの住戸の写真で、それ以外がAFTERの写真です。
敷居や鴨居、柱というのは築40年50年経たないとこのような味のある飴色にはならないので、古いからこそ出る味わいを壊さずに残す設計を行いました。
みなさんが座っている左手後ろにはMUJI×URの団地のモデルルームがありますので、後で見ていただけたらと思います。
それから、団地はエレベーターなしの5階建てが多く、特に空き部屋が多かった4〜5階を狙ってリノベーションをしています。そうすると、1階2階にご高齢の方が、4階5階に若い方が住むようになり、階段室で世代間交流が生まれたりもしました。

令和7年の時点で78団地70プランをつくってきまして、累計1,500戸をリノベーションしてきました。

ずっと住戸のリノベーションだけをしていましたが、2年くらい前から団地の共用部のリノベーションもしていこうということで「団地まるごとリノベーション」の取り組みも行っています。

これまで「住戸リノベーション」と「情報発信」をやってきたのですが、新たに「共用部リノベーション」と「地域コミュニティ形成」をスタートしたかたちです。
具体的にはこちらの4団地をやっています。

関西では堺市の泉北茶山台二丁団地と枚方市の中宮第3団地で団地まるごとリノベーションを行い、それぞれ団地共用部の広場やプール跡地を使った公園をつくりました。

関東では、千葉市の花見川団地で商店街のリノベーションを、横浜市の港南台で集会所のリノベーションを行いました。

それぞれの団地で「人が滞留できる空間」を整備することがコミュニティ形成につながるのではないかという仮説のもと、プレイスメイキングを行っています。

集会所では内と外が緩やかにつながるようにサッシを改修したり、人が滞留できるようにしたり、プレイヤーさんが活動をしやすくなるように改修を行っています。

この写真が花見川団地の元々の商店街の様子ですが、大きいアーケードがあって、昼間でもちょっと薄暗い感じでした。

これはCGですが、アーケードを取り払った上で、商店街の中央に人が滞留できるストリートファニチャーを配置することにしました。
花見川団地は千葉県の中でも最大級の広さを持つ団地で、離れた棟に暮らす住民の方は商店街に来るだけでも一苦労という感じでした。そこで、元々商店街は自転車通行を禁止していたんですけど、多くの人が商店街にこられるように自転車と歩行者が共存できる方法を考え、アスファルトに白線を引くことにしました。

あとは、「公園のような商店街」をコンセプトの一つに掲げていたので、商店街の中に緑の広場をつくったりもしました。

また、アーケードを撤去したことで空が広くなり、特徴的な給水塔や木々が見えてきて、公園のような雰囲気ができたように思います。
商店街にストリートファニチャーを設置したことで自然に人が集まったり、こどもたちが遊び始めたり。そんな光景を目にするようになりました。ベンチのそばに植えた緑がこれから成長して木陰をつくってくれたらいいなと思っています。
あとはサインの整備や、公衆トイレの整備も行いました。


コミュニティづくりに関しては、商店街の空き店舗を利用して、商店街の店主の方や住民の方、ここを中心に活動している方に来ていただき、商店街を盛り上げていくための取り組みを話し合うワークショップを毎月のように開催しました。

それから、キッチンカーをやっている方を呼んでイベントをしたり、特産品づくりということで商店街バーガーを作ったりしました。


商店街の中にパン屋さん、青果屋さん、お肉屋さんがあるので、トレイを持ってそれらのお店を回るとハンバーガーがつくれるというイベントです。
これはメディアなどでも取り上げていただきました。
あとは花見川ブレンドコーヒーというコーヒーづくりもしました。

それから花見川団地周辺のお散歩ロードを考えて地域資源を見て回っていただいたり、近くの花見川沿いのコースを走るサイクリストを商店街に呼び込むためのイベントを行ったりもしました。

さらに、空き店舗を利用してこどもたちが集まれる場をつくったり、近隣の学生さんを巻き込みながらDIYをやったりもしました。

このあたりは無印とURさんで先陣を切って行い、徐々に地元のプレイヤーさんに引き継いでいきました。

このようにして、ハードと共にコミュニティもつくる手法を取っていました。
次に、横浜市の港南台かもめ団地で行った集会所のリノベーションのご紹介です。

団地の真ん中にありポテンシャルを感じていたんですけど、建物は「THE昭和」という感じの集会所でした。

中庭には竹やぶがあったり建物内に段差があったりしたんですけど、先ほどの花見川団地と同じように、住民さんと共に集会所をどうしていくかを話し合う「かもめ会議」というワークショップを行いました。



集会所のそばにはプールもあり、コロナ禍以降は閉鎖されていたんですが、MUJI×URの取り組みがスタートしてからもう一度使ってみましょうということで、自治会さんと一緒に復活させました。

子育て世代の方がたくさん集まり、「ずっとこういうのができるのを待っていたんです」というコメントをいただきました。「我々がやらなくても住民の方がやりたいと思ったらやれるんですよ」とお伝えしながら、徐々に子育て世代の住民の方々にプールの運営を移行しているところです。
集会所のリノベーションについてですが、まず入口でスリッパに履き替えるのをやめて、靴のまま入るオペレーションに変えました。


そうするとそのまま中庭に通り抜けでき、内と外を境界なくつなげることにも寄与できます。
中庭も人が滞留できる気持ちいい空間にしたかったので、ウッドデッキをつくりました。

内部の段差の解消はできなかったんですけど、スロープをつくって高齢の方もベビーカーを押している方も入りやすくしています。

あと集会所って予約しないと入れないところが多いですけど、ここのラウンジは予約しなくても入れるオペレーションにしました。

そうしたところ「ここでコーヒーを淹れて提供してもいいですか?」という方が現れまして、毎週木曜にここのカウンターでコーヒーを提供していただいています。
あと、これはURさんのいろいろな団地の集会所でもされていますが、シェアキッチンをつくりました。

あと和室ですね。和室をなくすか残すかは住民さんと話し合い、最終的に残すことにしました。子育て世代の方はお子さんをここで遊ばせながら交流ができるので、残して良かったなあと思っています。

完成後にはイベントも行い、新しい集会所が徐々に住民の方々に浸透していっているのかなと感じているところです。

次に、泉北茶山台二丁団地のご紹介です。こちらでも集会所を改修させていただきまして、今は地元のプレイヤーさんの活動の場になっています。

それから、茶山台には土俵の跡地があります。これ自体かなり珍しいそうなのですけれども、土俵の大屋根が非常に魅力に感じました。

近年は夏が非常に暑いですけど、この大屋根の下にいると涼しいので、ここがこどもたちが遊ぶ場になったらいいなということで、屋根を残しながら周りを公園にしました。

以上がMUJI×URの紹介になります。
ではここから男山団地の紹介をしていただきたいと思います。



