団地でコンパクトキッチンのコンパクトライフ
団地再生物語 | 2018.7.17
以前のコラム「もしも、もう一部屋あったら」、「団地にインナーバルコニーをつくる」では、面積約82m²の4LDKの大きめの部屋に着目して、いまの住まいに「もう一部屋あったら」ということを考えましたが、今回は逆にコンパクトな暮らしを考えてみたいと思います。
団地やマンションの1戸あたりの必要面積は、家族数で目安をつけてみると、1人暮らしであれば20~40m²、2人暮らしであれば30~50m²、3人暮らしであれば40~60m²、4人暮らしであれば60~80m²くらいでしょうか。限られた面積ですので、できる限り有効に使いたいと思いますので、今回は「可動する」ことに着目したいと思います。
一般的に建築物や付属物(キッチン、お風呂、トイレなど)は移動することができません。つまり一度決めてしまえば、キッチンはキッチン、トイレはトイレというように、ずっと同じ場所で使うことになります。
それに対して、家具は移動できるものが多くあります。テーブル、ソファ、スツール、ベッド、などなど…、家族数や暮らし方の変化で買い換え・買い足しなどをして、移動することができます。
昔の日本の家は、床が畳の部屋が多くありました。畳の部屋では寝るところや食べるところ、くつろぐところを兼ねて使っていました。畳の部屋に置かれる家具が布団であれば寝室に、ちゃぶ台であればダイニングに変化していました。現代の家では、ベッドやソファーなどが置かれることにより、部屋の使い方はある程度は固定されているといえます。
同じように、建築に家具のような「可動」の考え方を取り入れるとどうでしようか。といっても簡単ではありません。キッチンやトイレには水や電気、ガスなどがつながっています。これを家具と一緒に動かすのは難しいものです。
今回は、キッチンとテーブルにしぼって考えてみたいと思います。
キッチンに跳ね上げ式のテーブルがついていて、使うときだけ跳ね上げたらどうでしょうか。
下の図を見てください。約37m²で2人暮らしを想定しています。
寝室は1つに、LDKがあります。一般的なキッチンにダイニングテーブルを置くと、リビングが狭くなってしまいそうです。そこで、食事のときはキッチン前にテーブルを跳ね上げて使い、食事が終わったらテーブルを下げてしまいます。そうすることでリビングが広がり、広々と使えそうです。テーブル分だけでも広がれば、一人分の居場所を新たにつくることができ、暮らしは変わりそうです。
もちろん、和室にはベッドを置かず、布団にすることでリビングを延長して広々と使うこともできそうな間取りです。
このように、使うときだけ出して、使わないときはしまうという考え方はいかがでしょうか。
コンパクトライフをするのに、暮らしの仕方を丁寧に整理していくことで、暮らしの可能性はまだまだありそうです。
みなさんのご意見をおまちしております。