家の向きで大きく変わる住まい

コラム | 2012.11.20

←すっかり季節が秋めいてきました。朝出勤時にさぁ今日もがんばるぞーっと測った室温はみんなの熱気のためか、結構高かったです。

家の向きで大きく変わる住まい

今回は、家の配置が真南より、角度が30度振れただけで、日射の取得と遮蔽状況が大きく変わる件についてご報告します。

家の向き、つまり「住まいの配置」は、快適な住まいづくりのとても需要なポイント。
「住まいの配置」とは、敷地に対して部屋や窓、建物をどのように配置していくか、ということです。
これまでお伝えしてきた「日射遮蔽」「日射取得」「通風」も、この「住まいの配置」によって効果が変わってきます。特に新しく家を建てる場合やマンションを購入する際なども、敷地の条件を知り、それに合わせた「住まいの配置」を考えていくことが重要になるのです。

どの方位がポイント?夏と冬で比較してみよう

夏の太陽の光をさえぎる「日射遮蔽」に関して、もっとも注意をしなければならないのは、どの方位だと思いますか?
答えは、太陽高度が低く、日射しが部屋の奥まで入り込んでしまう「東」と「西」です。

それに比べ、太陽の光をコントロールしやすく、暖かい太陽の恩恵を一番効率よく享受できる方角は「南」です。
夏は太陽高度が高いため、突き出た庇(ひさし)や軒(のき)で、日射をさえぎることができ、冬は太陽の高度が低いため、庇や軒をかわして日射しを部屋の奥まで取り込むことができるのです。

では実際に、南側の大きな開口に長い庇で「日射遮蔽」の対策をしている木の家で、東西に角度を30度ほど振った場合に室温がどのように変化するのかをシミュレーションしてみます。
(無印良品の家 木の家「4間半×4間北入り」の標準プラン」を用いて検証しました)

夏(8月下旬)の室温グラフが以下になります。
(※窓を閉め切った状態、エアコンなしでの室温の変化を比べたものです。)

グラフを見ると、「真南」に向けた家(黒線)が、室温が最も低いことが分かります。
一方、「東」「西」に振った配置の場合、低い日射しが庇をかわして建物内に直接日射が入ってしまうため、室温を上げる原因となってしまい、「真南」に向けた家よりも室温が高くなってしまうのです。

「東」と「西」、それぞれの結果をみてみましょう。
「東」に30度向けた家(紫色の線)の最高室温が、3つ中で、最も高くなるという結果がでました。
これは、高気密・高断熱の無印良品の家の場合は特に「保温性能」がよいため、午前中から日射を得て、気温が下がる夕方までの間、熱をため込んでしまうため、トータルとしても室温が最も高くなっているのです。

ここで、「西」に30度向けた家が全体的に一番暑くなるのではないか?と思われた方が多いのではないでしょうか。
実はこの現象、「夏至の日(6月22日頃)は、1年で太陽の南中高度がもっとも高いため最も日射が強く、昼がもっとも長い日なのに、1年で一番暑い日ではない。(1年で一番暑い日は8月の中旬)」ということと原理が似ています。
この現象は、地球を取り巻く大気が、「暖まりにくく、冷めにくい」性質を持っていることにより、日射によって地表がだんだん熱せられ暖まり、それによって地表に接する空気が熱せられるため、時間差でその影響が出ることによるものです。
また、日本は海に囲まれており、海水も暖まりにくく冷めにくいため、太陽の運行より季節が遅れてしまうのです。冬至の日(12月22日頃)が一番寒くない、というのも同じ原理です。
同じように、一般的に西日の方が暑く感じるのは、日射により室内の壁や床に熱が蓄熱されその周辺の空気も温められることにより、実際の室温よりも「体感温度」が上がるからと考えられています。

では次に、冬(2月初旬)の室温グラフをみてみましょう。
(※窓を閉め切った状態、エアコンなしでの室温の変化を比べたものです。)

グラフを見ると、「真南」に向けた家(黒線)の室温が最も高く、「東」「西」に向けて配置した家より、効率よく太陽の日射を取得することができています。
冬の太陽は、南東から南西へと低い場所を動くため、少しでも日射が長く当たる南向きに大きな窓を配置すると、より太陽の暖かい日射しを取得できるというわけです。

これまでのコラム「夏至の日射しと木の家」でもお伝えしたように、夏の日射をさえぎる方法は、庇や軒を出すこと以外にも、植栽の工夫やすだれ・カーテンの設置などがあります。
また、窓を開けて風をうまく通してあげることで、機械や設備のエネルギーに頼らずに、室温を下げることができますが、逆に冬の日射取得に関してはそういうわけにもいきません。

したがって「住まいの配置」を考えるときはまず、冬の暖かい太陽の日射しを最大限に得るために、敷地に対してどのように部屋の位置や窓の位置を配置していくのか考えていくのがポイントです。
その上で「日射遮蔽」を検討していくと、エネルギーに頼らずより快適に暮らせる住まいになります。

ただし実際には、思いどおりの方位に家を向けることは、なかなか難しいかもしれません。敷地が東西に傾いているということも少なくないと思います。
その場合は、ライフスタイルと敷地の条件、色々なことを加味して考えていきます。

例えば、家族みんなが昼間に出かけている家庭であれば、明るく気持ちの良い朝を家族で迎えるため、東側をダイニングとし、大きな窓を設ければ、朝日の差し込む気持ちの良い食卓となります。
また、夏の暑さよりも寒さが苦手な人は、冬の日射しをより多く取り入れるため、西側にリビングを配置し大きな窓を設けてあげると、冬の午後遅い時間でも、明るく日射しが入ってきます。

しかしながらくり返しになりますが、東西に向けるデメリットは、夏の直射日光のコントロールが難しいことです。
これまでご紹介してきた「快適家づくりアイテム」のような「日射遮蔽の工夫」を行うことが快適な家づくりのポイントとなります。

「住まいの配置」による、より快適な「住まい」を考えて行く場合には、建物の配置と太陽高度を知ったうえで、住む方のライフスタイルを合わせて検討していくことが、大切な要素の1つです。
無印良品の家「+AIR」では、建物の向きやライフスタイルも考慮した快適性を数値でシミュレーションを行い、設計・プランのご提案を行っています。ぜひ最寄りのモデルハウスまで、ご相談ください。