窓の家 No.51

三世代で過ごしたあの旅の暖かさを、そのまま暮らしへ。故郷の海を宿した「窓の家」

窓の家 | 2026.10.6

2022年、コロナ禍で会えなかった宮崎のご両親とお孫さんを、「窓の家」をもとにした宿泊施設で再会させたい――そんな思いから「無印良品の家と、日常をとりもどす旅」プレゼント企画に応募し、選ばれたKさんご夫妻。あの旅から数年、おふたりは自分たちの「窓の家」を建て、埼玉での暮らしを楽しんでいます。

■建物概要
ご住所:埼玉県伊奈町
竣工年月:2026年2月
延床面積:98.53m²(29.81坪)
■ご家族構成
ご夫婦+お子さま1人+猫・デグー

「旅行がきっかけだったんです」

埼玉県伊奈町にある「窓の家」K邸は、閑静な住宅街の一角に建つお宅。真っ白な外壁と、大きな窓から見える庭の緑が印象的です。Kさんご一家は、ご夫妻とお子さまと猫・デグーの3人+4匹家族。
無印良品の家のことは、奥さまが宮崎で暮らしていた学生時代、近所にあったモデルハウスがきっかけで知っていました。結婚後に暮らした横浜でも、たまたま近くに店舗があり、ご長男を妊娠中に見学に訪れたこともあったそうです。

そんなご夫妻の住まいづくりを大きく動かしたのが、2022年に無印良品の家が実施した「日常をとりもどす旅」プレゼント企画でした。コロナ禍で2年以上、宮崎のご両親とお孫さんを対面させられなかった奥さま。「両親に孫との時間を楽しんでもらいたい」という思いが届き、北海道上士幌町にある、窓の家をベースにした宿泊施設への旅をプレゼントされました。
「大きなウッドデッキで外に出て遊んだり、息子が広い場所で楽しそうにしているのを見たりして、やっぱり庭がある方がいいよね、と話すようになりました」
到着してすぐに感じた、暖かさと開放感。結局家の中でゆっくり過ごす時間が一番長かったといいます。三世代で過ごした特別な数日間は、「自分たちも、こんな家で暮らしたい」という思いの原点になりました。

当時の旅の様子はこちらから >

旅から戻った後、住まい探しは庭のある郊外の土地へと方向を変えていきます。他の工務店やハウスメーカーも検討しましたが、展示場を回った帰り道、「無印の家がいいよね」と意見が一致したそうです。

「余計なものを削ぎ落としたシンプルさがありながら、使い勝手が悪いわけではない。実用的で、何年経っても飽きなさそうだと感じました」(奥さま)

「木の家」の開放的な上部空間に惹かれた奥さまと、個室を求めるご主人。「陽の家」の平屋も検討しましたが、リモートワークの増加で個室が必要になったこともあり、「窓の家」に気持ちが向いていきました。決定打になったのは、有明店で手に取ったカタログでした。

「室内にこだわらなくても、窓の外に気に入った景色があれば、それだけで豊かになる。その考え方に納得がいきました」(奥さま)

親族しか買えない土地と、悩み抜いた間取り

土地は、ご主人の地元である埼玉で見つかりました。地場の不動産店で出会った土地は、市街化調整区域内にあり、20年以上その区域に住む親族しか購入できないという条件付き。ご主人のおばあさまが該当し、購入の道が開けました。

最初に目星をつけていた整形地は先に売れてしまい、代わりに選んだのは旗竿地。「竿の部分に車を止めれば、奥の敷地を四角く広々と使える」という提案を受けて決断しました。結果的に周囲からの視線が気にならず、大きな窓にカーテンをつけずに済む暮らしが実現しています。

設計担当者に伝えた要望は、大きなFIX窓、2階に続くスケルトン階段、キッチンと吹き抜けというシンプルな条件だけ。最も悩んだのは窓の位置で、リビングの大きなFIX窓は日当たりを考えながら何度も検討しました。一方で小さな窓の配置は設計担当者に委ね、たまたま電車の走る景色が見える窓ができ、お子さまが大興奮していたそうです。

キッチンはアイランドとペニンシュラの間で悩み、最終的にアイランド型の大きなキッチンに。カウンターは標準より高い90cmにし、ご主人が立ったまま作業しやすいよう工夫しました。
「うちの家の主役なんです。一番場所を取っているくらい」(ご主人)

ご主人の書斎として使われている2階の小部屋は当初4〜6畳を想定していましたが、持て余すと判断し最小限のサイズに。クローゼットを通って入る配置にし、夜間のリモート会議の声が響きにくいよう工夫されています。

故郷の海を運んだ庭

庭には、奥さまのふるさとである宮崎・青島の雰囲気を取り入れました。潮風に強い黒松やサボテンに、ティーツリーやオリーブを組み合わせ、南国と現代的な雰囲気が両立する庭がつくられました。

「埼玉に海はないので、真逆の土地を選んでしまった寂しさもありつつ」と笑う奥さま。お子さまはミントやローズマリーを摘んでおままごとをするなど、庭で新しい遊び方も見つけているそうです。

ウッドデッキは、家に隣接させず庭の奥に配置。「手前にあると奥まで使わなくなる」という考えのもと、庭を歩いて渡っていく設計にしたことで、お子さまが毎朝そこで朝食を食べる、庭全体を楽しむ暮らしが生まれています。

あの旅の暖かさが、息づく暮らし

「一番覚えているのは、暖かさです」
引き渡しが大雪の2月で、エアコン設置前は電気ヒーター一台で過ごしていたにもかかわらず、その後の暖かさの違いに驚いたというご夫妻。
「冬でも薄着で過ごせますし、浴室やトイレまで満遍なく暖かいのは感動でした」(奥さま)

旅先の宿泊施設で過ごした記憶は、間取りの随所に息づいています。吹き抜けからソファに座って月を眺めた記憶から、小さくても吹き抜けは絶対に欲しいと考えたこと。大きなキッチンで料理を楽しんだ記憶から、大きなキッチンを実現したこと。そして、窓の家の象徴ともいえるペンダントランプも、そのまま取り入れています。

床材には無垢材を選びました。
「ソファを置くより、地べたにゴロンと寝転がれる暮らしがいいと思って」(奥さま)
経年変化を楽しみながらメンテナンスしていけるという考え方に惹かれ、家具も少しずつ集めていく方針だそうです。

「下手にSNSに振り回されず、自分たちがどう暮らしたいかをイメージしてから決めた方がいいと思います。『窓の家』は建てて完成というより、暮らしながら100%に近づけていくものだと感じました」(奥さま)

家の外壁の白さから、近隣の方に「カフェやお店だと思われる」ことも多いというご夫妻。あの日、旅先で三世代が過ごした暖かな時間は、今、埼玉の「窓の家」でお子さまと猫と過ごす日々の中に、確かに息づいています。

※掲載写真は取材時のものであり、現在はご採用いただけない仕様もございます