
マンション選びの決め手がわかりません
リノベーションなんでも相談室 | 2025.1.21
リノベーション前提でいくつかマンションの内覧をしたのですが、なかなか購入の決断ができません。みなさんはなにを決め手にマンション選びをしているのでしょうか
世の中にはたくさんのマンションがありますから、その中からひとつだけを選ぶというのは簡単ではありません。見に行ったどのマンションも悪くはないのだけれど、いざ購入するか否かの決断をする場面になると、どのように選んでよいのかがわからないという方も多いのかもしれません。なにを決め手にマンションを選べばよいものなのでしょうか。
今回は、自身も3度の中古マンション購入を経験してきた、マンション管理士で宅地建物取引士の”こっしー”が、マンションを選びの決め手について解説してまいります。
100%満足するものはない
不動産業界でよく言われることではあるのですが、まず理解しなければならないのは、100%満足する物件はないのだ、ということです。住まいにかけられるお金には限界がありますから、要望を取捨選択しながらちょうどよい落としどころを探ることになるのです。実際、国土交通省が発表した「令和5年度 住宅市場動向調査」を見ても、中古マンション購入者が「妥協したもの」として、価格・間取り・立地が上位を占めており、マンション選びの苦悩が透けて見える気がします。
中古マンションにおいては、新築マンションや新築戸建を選ぶ場合と比べると妥協したと感じるものが少ないという傾向も図1から読み取れますが、それでもなにかしらの妥協をしたという方は多いようです。私自身は3度の中古マンション購入を経験していますが、1件目は広さを、2件目は価格を、3件目は駅距離を当初の想定よりも緩和するという条件の調整を行いました。間取りについてはリノベーションをすることで満足度を高めることができましたが、その他の条件については全て理想通りとはいかないものなのです。
決め手をつくるための準備を行う
100%の満足を得られない前提でマンションを選ぶ必要がありますから、自分自身の判断軸をつくらなければ、マンション選びの「決め手」を見つけることもできません。新築・築浅・築古・リフォーム済みなどさまざまな選択肢がある中で、希望条件を整理し、一本の軸を通すことがマンション選びの第一歩となるのです。
判断軸をつくるためには、固められる条件から順番に決めていく必要がありますが、まず明確にすべきは予算になります。予算がぶれていると、「もうちょっと物件価格を上げたらいいものが見つかるかもしれない」という気持ちになり、どのような物件を見ても決め手に欠けるように感じてしまいがちです。以前のコラム「予算の決め方がわかりません」や「やってはいけない予算の決め方はありますか?」でも触れているように、自分が住宅購入にかけるべき適正額を明らかにするところから始めてみてください。
つぎに、家族の人数や年齢、持ち物の量などを踏まえて、自分にとって必要な広さを検討します。リノベーションをするのであれば、想定よりも5〜10平米コンパクトなところでも快適に住めることも多いので、物件探しを始める前にリノベーション会社に具体的な相談をしてみるのもおすすめです。たとえば、4人家族でも工夫次第で52平米のお部屋で快適に暮らせるかもしれません(図2)。
予算と広さが見えてくれば、必然的に候補となる立地が決まってきます。交通アクセスや駅前の雰囲気など街に求めるものは人それぞれですから、マンションの内覧や街歩きをしていただき、住みたいと感じるかどうかを判断してみてください。
ここまで順を追って進めていると判断軸ができくるはずですので、候補となっているマンション自体に魅力を感じられるかという観点でも考えてみましょう。共用部の雰囲気や周辺環境などを主観的に判断するとともに、マンション規模や今後の修繕状況・費用負担の見立てなどはプロに相談して然るべきアドバイスをもらってください。マンションの管理については「小規模マンションの注意点を教えてください」や「長期修繕計画とは、なんですか?」などもあわせてご覧ください。
住んで得られる体験を想像する
そこまでしても、候補となったどのマンションも魅力的で迷ってしまうということもあるかもしれません。そのような時には、一旦「マンションを買う」ということを忘れて、「5年後・10年後にどんな暮らしをしているだろうか」ということに想いを馳せてみましょう。目の前の大きな買い物に目が向きすぎると視野が狭くなってしまいますから、住まいづくりによって得られる体験・経験を具体的に想像してみてください。平日の朝や仕事から帰ってからの過ごし方、週末の夕方にはどんな風にくつろぐのか、外食に行くならどこに行こうか、など暮らしのシーンをなるべく鮮明に想像してみるとよいでしょう。視点を未来に持っていくことで、自分自身を俯瞰することができ、マンション選びの決め手がおのずと見えてくるのではないでしょうか。
今回は、マンション選びの決め手について解説しました。自分自身の「決め手」を明確にするためには、たくさんのマンションを見るよりも、順を追って条件を整理する方が結局は近道となります。判断軸ができた状態でマンションを見ることで、買う/買わないのジャッジは格段にやりやすくなるはずですから、面倒だと思わずにぜひご自身と向き合ってみてください。もしかすると、思いもよらない場所が気に入るかもしれませんよ。
無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、コンセプト整理、資金計画、物件探しなど、住宅購入の検討初期段階からワンストップで住まいづくりのお手伝いをしております。ご興味を持たれた方は、リノベーションセミナーや相談会にお越しください。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。