中古マンション価格は下がりますか?
リノベーションなんでも相談室 | 2022.1.25
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。
今回お答えするご質問は、こちら。
「新築マンション、中古マンションともに価格の高騰が続いていると聞きました。マンション購入を考えているのですが、この先中古マンション価格は下がることはあるのでしょうか」。
新築マンション価格はバブル期以来の高値水準、中古マンションもそれにつられるように価格が高騰しています。現在の価格は高すぎるのか、今後は下がっていくものなのか、マンション購入を検討する方にとっては気になるところです。今回は、これからのマンション価格について解説してまいります。
長期的には、下がる可能性も
まずは、長期的なマンション価格の展望について考えてみましょう。30~40年スパンで見ると、中古マンションを含めた不動産価格は緩やかに下落していく可能性があると考えています。もちろん、30年も先のことを正確に予測することは難しいのですが、既に見えている未来もありますから、それを参考にしてみましょう。
不動産価格に連動するところとしては、人口減少が大きなトピックになります。国立社会保障・人口問題研究所が発表している人口推計(図1)によれば、いまから約40年後の2060年には、人口は2010年比32.3%減の8,674万人になると見込まれています。人口や人口密度と地価に強い相関関係があることが知られていますから、人口減少に伴い不動産市場全体としては価格が下がることは十分に考えられます。
一方で、人口減少の速度や程度は地域によって異なることも示唆されています。たとえば、東京都においては、2060年時点の人口が1,173万人と推定されています(図2)。2010年の人口が1,316万人ですから、2010年比の減少率は10.87%となり、日本全体の減少率と比べると小さくなることが想定されています。また、日本の人口は2008年には既にピークを迎えましたが、東京都区部の人口がピークを迎えるのは2030年であり、2060年時点の人口も2005年時点程度になる見込みです。
これらを考えると、日本全体でいえば、中古マンション価格は下落する可能性が高いと考えられますが、価格が大きく下落する地域、緩やかに下落する地域、あまり下落しない地域に分かれることになりそうです。中古マンション需要が減らない大都市圏と、都市部に人口が吸い取られる地方圏とのコントラストが、より一層顕著になるのではないでしょうか。
短期的には、下がらない可能性が高い
短期的な目線ではどうでしょうか。マンション購入を検討する方からすれば、今年買うのがいいのか、来年がいいのか、というのが悩みどころなのだと思います。あくまで未来の事ですので個人的な意見ですが、今後2~3年という短い期間で考えたときには、中古マンション価格は下がらない可能性が高いと思われます。端的にいえば、価格が下がる理由が少ないからです。
2020年春以降のコロナ禍において、賃貸から持家へシフトしたいという需要が増す一方で、持家から持家への買い替えは控えられ、供給が少ない状態が続いています(図3)。マンションを売りたい人が爆発的に増えることがなければ、マンション価格の下落圧力にはならないでしょう。
そのほかにも、金融緩和政策の継続と、それに伴う住宅ローンの低金利水準の維持、資材価格の高騰、職人不足と人件費の高騰など、価格を押し上げる要素の方が優勢な状況となっています。「いまのマンション価格はバブルだ」と、1990年バブルと比較する方もいるかもしれませんが、図4を見ると、1990年バブルの際にはたった5年でマンション価格が倍以上になるという異常事態であったことが見て取れます。経済・政策の背景も異なりますから、いまの市況と同列に語るものではありませんね。
マンション購入時に気を付けること
家という大きな買い物をするからには、少しでも安く・お得に買いたい、と考える人もいるかもしれませんが、じつは、その考え方はとても危険です。以前のコラム「マンションの買いどきはいつですか?」でも触れましたが、住宅購入において大切なのは”自分自身にとっての買いどき”です。もしも10年待つことによって、現在の価格より500万円安く買えたとして、毎月4.2万円以上の家賃を払っていればトータルで損になりますし、10年後には住宅ローンの借入条件も悪くなってしまうかもしれません。自分が住むためのマンション購入であれば、市況よりも自分自身の買いどきに目を向けましょう。
もちろん、大きな買い物であることは間違いありませんから、価値の下がりにくいものを選ぶ、という考え方はとても重要です。建物のスペックでいえば、耐震基準や管理状態について意識を向けるとよいでしょう。とくにマンションの管理については、2022年4月から、国の「管理計画認定制度」や(一社)マンション管理業協会の「マンション管理適正評価制度」もスタートするなど、その重要度が増してきました。
今回は、マンション価格は下がるのか、というテーマについて解説しました。働き方や移動手段の変化によって、長期的な見立ては大外れ!ということもあるかもしれません。一方で、どのような未来が来ても困らないような住まいを選ぶということも大切だといえそうです。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、資産価値の高いマンション選びからワンストップでサービスを提供しています。ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。
持家のある方でリノベーションをお考えの方には、1月30日(日)まで大相談会を開催しています。
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“こっしー”プロフィール
無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。