リノベーションでも住宅ローンが組めますか?

リノベーションなんでも相談室 | 2020.7.28

みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。

今回お答えするご質問は、こちら。
「中古マンション購入にあわせてリノベーションを検討しています。リノベーション費用も住宅ローンに組み込めるのでしょうか。」

住宅ローンについてのご質問ですね。
マンションを購入する際には住宅ローンを組む方が多いのですが、そもそも中古だとどうなの? リノベーションの部分も借りられるの? というのは気になるところですよね。
今回は、マンション購入とリノベーションをあわせて借りる「リノベ一本化ローン」について解説してまいります。

はい、借りられます

まずご質問に答えてしまいましょう。
中古マンション購入にあわせてリノベーションの費用も住宅ローンに組み込むことは、もちろん、できます。しかも、それによって金利が高くなる訳でもないし、借りられる期間が短くなる訳でもありません。一般的な住宅ローン同様に、長期間・低金利でお金を借りることができます。この数年で中古マンションのリノベーションがここまで普及した背景のひとつには、リノベ一本化ローンの存在があるのかもしれませんね。

リノベ一本化ローンの3つのポイント

都市銀行・地方銀行・信用金庫など、いまでは多くの銀行がリノベ一本化ローンを扱っています。
通常の住宅ローンと同様に、金融機関によって金利などの借り入れ条件が異なりますが、ここでは、リノベ一本化ローン特有のチェックポイントについてご紹介します。

1:リノベーション費用の上限額
ここはとくに要注意です。金融機関によっては、リノベーション費用は一律で1,000万円までと規定しているところもあれば、物件価格の30%までというように、物件価格に応じて、ローンに組み込めるリノベーション費用が変動する場合もあります。もっとも、マンション価格とリノベーション費用の合計が借り入れ可能枠に収まれば問題はなく、とくに上限は定めていないという金融機関も多数存在しますので、大規模な工事をご検討している方もご安心ください。

2:お金を借りるタイミング
中古マンション購入とリノベーションをあわせて行う場合、まずマンション代金を売主様へ支払い、次にリノベーション費用を設計施工業者へ支払うというように、大きなお金の動きが2回発生します。
金融機関によって、この2つをマンション購入時にまとめて貸し出す「一括融資」を行うところと、2回に分けて貸し出す「分割融資」を行うところに分かれます。どちらもひとつの住宅ローンとして借りるという点は同じですが、借りるタイミングが異なるという事ですね。
気をつけたいのは、家賃と住宅ローンとの二重払い問題です。分割融資の場合、1回目の貸し出しから2回目までの間、つまりリノベーション工事期間中は支払いを軽減できる仕組みを持つ金融機関もありますが、一括融資の場合はリノベーション費用も含めた全額の返済が、マンション購入時からスタートします。二重払いになると家計が苦しいという方は、一括融資は避けたほうがよいかもしれません。

3:性能向上による金利優遇
【フラット35】という商品をご存知でしょうか。住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)が提供している、固定金利型の住宅ローンです。
このなかに、中古住宅購入と性能向上リフォームに特化した 【フラット35】リノベ という面白い商品があります。
詳細は省きますが、例えば中古マンション購入とあわせて、省エネ性能を十分に高めるリノベーションを行うと、最大10年間、0.5%の金利優遇を受けることができます。2020年7月時点では借入期間35年、9割融資の標準的な金利が1.3%ですから、固定金利にもかかわらず当初10年間は0.8%の金利で借りられることになります。

リノベ一本化ローン、注意点も

多くの金融機関で、リノベ一本化ローンが使えるというお話をしましたが、ネット銀行についてはリノベ一本化ローンに対応してるところは数行に限られます。対応しているところでも、一括融資や、二重払い期間の軽減措置のない分割融資など、手元資金に余裕が無い方には使いにくいかもしれません。また、どんな物件でも有利な条件で借りられる訳ではありません。
以前のコラム「新耐震・旧耐震とは、何ですか?」でも触れたとおり、旧耐震の物件は今後ますます借り入れ条件が厳しくなる可能性があることは、頭の片隅に置いておくとよさそうです。
最後に、リノベ一本化ローンに限ったことではないのですが、借りられるだけ借りれば良いというものではありませんから、こちらのコラム「借りられるだけ借りていいのでしょうか?」も参考にしてみてください。
他の誰でもない、自分にとっての適正な予算を見つけることが重要です。

今回は、中古マンション購入資金とリノベーション費用をあわせて借りる、リノベ一本化ローンについて解説いたしました。
リノベ一本化ローンの普及によって、中古マンション×リノベーションという住まいの持ち方は、グッと現実的になったようです。

無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、資金計画からのご相談も承っております。自分にあったローンの組み方や適正な資金計画などが気になる方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。

みなさんからのご質問をお待ちしています!/

リノベーションなんでも相談室

“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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