MUJI×URの設計者と歩く「藤沢台第3団地・第5団地」

MUJI×UR団地レポート | 2026.7.27

7月、暑さが増し、今年も猛暑になりそうな気配を感じながら、団地の敷地内に特徴的なパブリックアートが自然と存在する「藤沢台第3団地」と、団地の中でも珍しい全棟テラスハウス住戸が並ぶ「藤沢台第5団地」の2つの団地にて、10回目のお散歩レポートは緩やかにスタートしました。

MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトに関わって12年余り、全国70団地ほどでリノベーションに関わってきたMUJI HOUSEの松本と、団地愛好家で電気風呂鑑定士のけんちんさんと、団地に深く関わってきた2人が団地のお散歩の様子をレポートします。

写真左から、団地愛好家/電気風呂鑑定士のけんちんさん。右は、MUJI HOUSE 松本。

今回ご紹介する団地情報<藤沢台第3団地・第5団地>

大阪府富田林市にある「藤沢台」は1970年頃から開発が始まった「金剛東ニュータウン」の一区画で、周辺は藤沢台第1〜第5団地まで分譲と賃貸を合わせた団地群を形成している。UR賃貸は「藤沢台第3団地・第5団地」の2団地で、それぞれが金剛駅からバス利用で約15分ほどの距離に位置しており、第3団地は全住棟が4階建以下の中層階段室型の住棟で、管理戸数は316戸とコンパクトな小規模団地。一方、第5団地は、UR団地の中でも珍しい全住棟がテラスハウスタイプの団地。管理戸数は219戸で、団地というよりも戸建ての街並に近い。どちらの団地も100㎡弱の広い間取りが中心なのも特徴の一つになっている。

松本
今回一緒に団地レポートして頂けるのは、団地愛好家であり、電気風呂鑑定士のけんちんさんです。

けんちん
毎度お世話になります。今回もよろしくお願いします。

松本
よろしくお願いします。この団地ちょっとレポートでは最多登場の2回目ですが、もはや準レギュラーのけんちんさんと勝手に思っています笑。今日も「正装(NO DANCHI, NO LIFEのTシャツ)」でありがとうございます。

けんちん
はい、正装できめてきたのですが、なんと帽子忘れました笑。

松本
ほんと!前半は気にせず、そのままで笑。あとで集会所に取りに戻りましょう。
まずは、楽しみにしていた全棟テラスハウス住戸の「藤沢台第5団地」からスタートです。

松本
結構広い敷地ですね…に対して管理戸数は219戸しかないのはまさに、全棟テラスハウスならではですね。本来なら5階建て住棟で5倍の1,000戸は確保できそう。

けんちん
管理開始の1985年はすでに量より質、多様化するライフスタイルにどう対応するかが問われる時代に入っていました。その中で、この「タウンハウス型」の団地が全国で作られていたのもちょうどこの時代ですね。駅からは少し離れていてバス圏になってしまいますが、大型のショッピングモールや小中学校、病院も近所にあるし、生活には困らないでしょうね。

松本
そんな時代背景があるんですね。早速、お散歩していきたいのですが、すでに目の前に住棟が現れました。ほぼ戸建てですね笑。この建物のシルエットがたまらない…

けんちん
玄関ドアは団地らしい塗装された鉄扉なのが面白い。
チェーンの縦雨樋が萌えポイントですね。

松本
この窓のディテールがめちゃかわいいですね、こんな家があったら住みたい笑。

松本
しばらく進むと、ベンチが見えてきました。コモンスペース的な?

けんちん
タウンハウスあるあるのコモンスペース(共有広場)ですね。

松本
妻側の住戸は側面に玄関が付いてますね。
道路から直接玄関に入れるとか、団地じゃないですね、もはや。

けんちん
こっちの住棟は3階建てですね。間口が少し狭い分、高くしてますね、ほんとにいろんなパターンで住棟を構成してますね。色んなライフスタイルに対応できそう。

松本
暮らしが地面に近いので、敷地内の緑もいつも以上に近く感じるでしょうね。この野草は見たことないですが…なんやろか。

けんちん
Googleレンズ便利ですよ笑。「コバン草」ていうんや。初めて見ました。イネ科だそうで。
初めて見る植物が団地の敷地内ていうのも、自然が豊かな証拠ですね。

松本
こっちは住棟と住棟の間が道になってますね。
こういう裏道っぽいところ、やたら惹かれてしまう…

けんちん
そっちに行ってみましょうか。

松本
この先に見える住棟もまた素敵ですね。大きなルーフバルコニーが付いてますよ。
しかも縁側付き。ちょうど空室みたいなので、ここに座って休憩しましょうか。

けんちん
こんな風に玄関先に面したお庭の縁側でのんびりできる生活がイメージできますね。

UR
あちらの住棟にもちょうど募集中の空室があるので、部屋の中も見学することもできますが行ってみますか?

松本
ぜひぜひ!行ってみたいです。

UR
こちらになります。

けんちん
この玄関アプローチ、たまりませんね。お邪魔しまーす。

松本
キッチン広いですね。しかも床下収納が…!テラスハウスならではの作りですね、これは!

松本
当たり前ですが、住戸の中に階段も笑。階段マニアとしては萌えますね。
2階の窓からは、PLの塔と給水塔が並んで見えますよ。

けんちん
この広いルーフバルコニーも魅力的ですね。バーベキューとかしたら怒られるかな…
上下階には人はいないので、お隣さんとは仲良くしたいですね笑。

松本
いやー、楽しいお部屋でした。普通に住みたいです笑。お庭付きだし。

けんちん
ここにも、タウンハウスあるあるのコモンスペースがありますね。
団地では珍しく公園がないですが、代わりにちょっとしたコモンスペースがあちこちに点在していて、子供たちはお庭で遊ぶのが前提にされているんでしょうね。

松本
確かに、この地面に近い暮らしができるのは、子供たちにとっても楽しいでしょうね。
完全に歩車分離もされていて、一つの街の中で子育てができる環境に感じました。

松本
それでは次の「藤沢台第3団地」に行ってみましょう。徒歩で10分くらいですね。

松本
さて、「藤沢台第3団地」にやって来ました。給水塔に時計が付いていて街の方を向いているのがランドマーク的な役目になってそうですね。

けんちん
とうとう来てしまいましたね笑。ここはとっておきの団地ですよ。

松本
なんか含みがありますね…、何があるのかは後ほど伏線回収できればです…!笑。

松本
管理戸数は316戸ということで、第3団地も第5団地と同じようにコンパクトな団地ですね。
住棟数も数えると15棟というところです。

けんちん
こちらも第5団地とほぼ同じ時期に建設された団地ですが、従来の中層階段室型に、テラスハウスのような、地面に近い暮らしや、100㎡弱の広い間取りが特徴になっています。
よく見る5階建てではなく、4階建てを中心に3階建てもあり、さらに1階住戸にはバルコニーから直接アクセスできる専用庭も付いています。

松本
中層階段室型の住棟に、テラスハウスのようなスタイルを取り入れているんですね。団地の逆輸入的な考え方ですね。

けんちん
最初に見えてきた住棟は、3階建て。エントランスもかっこいいですね。

松本
外壁修繕されているので、サインも合わせてデザインし直していそうです。間接照明も入ってますし。このエントランスかっこいいですね。

けんちん
集会所のすぐ横には、さっき見えた時計付きの給水塔がありますね。こちらも第5団地と同様にPLの塔と給水塔のダブル鑑賞できますよ。

松本
ほんとですね。こっちの集会所の目の前には大きめの公園があって、良い雰囲気ですね。
第5団地ではこのような遊具がある公園はなかったので、いつもの団地に戻ってきたような感覚になります。大きく育った木の木陰が気持ちよくて、これぞ団地って感じです。

松本
では少し先に進んでみましょうか。

けんちん
この妻側の窓の格子もいいですね。

松本
はい、ちゃんとデザインされていてかわいいです。

UR
こちらの住棟では、募集中のお部屋も見ることができるのでぜひどうぞ。

松本
待ってました!行ってみましょう。

けんちん
階段室からは、隣の「ガーデンハウス藤沢台第2住宅」も見えますね。
テラスハウス型の赤い屋根が特徴的です。

UR
それでは中にどうぞ。

松本
お邪魔しまーす。早速、玄関が特徴的で、この感じはリニューアル住戸ですね。玄関横の一室を玄関とつながる土間収納のようになっていて、ベビーカーを置くのに便利そうです。

UR
はい、元4LDK・97㎡のお部屋を3LDKとして子育て世代向けにリニューアルしています。

けんちん
キッチンも明るくて、広くていいですね。

松本
廊下を挟んで、水回りとつながる家事動線もいい感じです。
これは建設当初の既存の間取りのままな感じがしますね。

けんちん
この窓からの眺めは、さっきのあれですね。

松本
PLの塔と給水塔のダブル鑑賞…!このエリアでは普通なんでしょうかね笑。

松本
こっちの和室には床の間がありますよ。天井には間接照明も。

けんちん
団地でいうと分譲仕様だと床の間があったりしますが、賃貸仕様だと珍しいです。
広さに余裕があるからでしょうね。

松本
一見、97㎡が広過ぎるように感じますが、その分、玄関を広く豊かにしたり、一室を室内干しスペースにすることで、既存の広さのポテンシャルを十分に発揮できているプランでした。

UR
では、またお散歩に戻りましょう。

けんちん
この道はさっきの部屋から見えた「ガーデンハウス藤沢台第2住宅」と「藤沢台第3住宅」の間の広い緑道ですが、「金剛りぼんどおり」と呼ばれていてニュータウン内の周辺の団地同士を車道で途切れることなく、歩行者専用道路でつながっています。

松本
ニュータウンならではの「歩車分離」ですね。

松本
緑道の途中に夏祭り用の分電盤がありますよ。夏にはきっとこの「金剛りぼんどおり」で賑わうんでしょうね。

けんちん
さて、いよいよ近づいてきましたね、メインイベントです笑。

松本
これは…!なんですか…!オブジェというか、なんか怖いです笑
ほぼ原寸大のこどものオブジェ?歩いている小学生とほぼ同じサイズですね。
子供がいないからオブジェで…ということでもなさそうですね。
これにはどういう意味がこめられているんでしょうか…

けんちん
これは、大阪出身の彫刻家の松本鐵太郎(まつもと てつたろう)さんの作品で、ここに設置された経緯は分からないですが、団地の一部として溶け込んでいる珍しいパブリックアートになっています。

松本
なるほど、これまで石やコンクリート製の謎のオブジェは見たことがありますが、ここまではっきりと等身大の、しかも手に触れる日常動線上に設置されているのは初めて見ました。ちょっと感動しますね。

松本
読み解くと、おそらく「かくれんぼ」か「だるまさんが転んだ」で遊んでいる子供たちでしょうか。勝手な想像ですが、元気に遊んでいる子供たちの声がいつまでも聞こえてきそうな感覚になります。これからもここで子供たちを見守ってほしい、そんなところでしょうか。

けんちん
集会所の方に戻る途中にも、もう一つ作品を見ることができます。

松本
ぜひ見てみたいです!

けんちん
この通り沿いにあるガタガタのモルタルのヘリですが、これも特徴的ですね。
なんでこんなガタガタしているんでしょうか。

松本
これが作品ではないんですね笑。
高さによっては、ベンチにもなりそうですが、ストリートファニチャーとしてみたら結構面白いですよ。人によって使い方は様々でしょうね。

けんちん
なるほど、そういう捉え方もあるんですね。
あっ見えてきましたよー笑

松本
おー。先ほどのガタガタのヘリの上に女の子が鎮座していますね。
しかもハトが頭の上に笑。

つまり、こうやってこのヘリの使い方を示してくれているかもしれませんね…。

けんちん
そう思うと、このガタガタのヘリも遊具にも見えてきますね。

松本
最後に、改めて「藤沢台第3団地・第5団地」いかがでしたでしょうか。もはや私の方が初めて来た団地で、今回もけんちんさんに解説してもらってばかりでしたね笑。
本当に毎度、ありがとうございます!

けんちん
いえいえ、楽しんでもらえてよかったです。「藤沢台第3団地」では、「金剛りぼんどおり」のようにニュータウンならではの歩車分離の思想と、先ほど見て頂いたオブジェのような飛び道具もありながら笑、全てが溶け込み、団地らしい住みよい屋外空間を感じることができたと思います。
一方、「藤沢台第5団地」では、全棟テラスハウス住戸という、時代に合わせて団地の新しいライフスタイルを試みるという、URさんの飽くなき探究心のようなものを随所に見ることができました。

松本
そうですね。賃貸でもいろんな暮らし方の選択肢があるんだなーと、改めてURさんの懐の深さを感じることができました。
また次回も、けんちんさんの解説独り占めでお願いします!笑

けんちん
笑、ぜひまた、呼んでください!

<ゲストプロフィール>
けんちん
団地愛好家 / 電気風呂鑑定士

1980年生まれ。会社勤めをしつつ、団地をカルチャーと捉えて団地界隈以外にもその魅力を発信する。団地のなかでも特に好きな市街地住宅タイプを解説するブックレット『ゲタバキ団地観覧会』(八画出版部)も出版。「団地をARTに」を合言葉に、団地啓蒙活動にいそしむ団地愛好家集団「チーム4.5畳」メンバーでもある。