変わる暮らしを受け止められる団地
団地再生物語 | 2020.5.4
4月8日に政府が緊急事態宣言を発出したことで、企業では在宅勤務への切り替えなどの対応が急速に進んでいます。以前から「働き方改革」が提言されていて、残業の制限や休暇をしっかりととることが徐々に広まってきていましたが、今回の状況が落ち着いた後には、さらに働き方が変わっていきそうです。
いままではオフィスが都心に集中しており、オフィスを中心に通勤時間や経済条件を考えて住む場所を決めていました。しかし、テレワークが中心となれば住む場所は通勤から自由になります。毎日通う必要がなく、例えば週1日だけ行くというようになれば、オフィスから1時間以内といったオフィス中心の考え方から、海の近く・山の近く・大きな公園の近く…など、住まいが中心となり、住みたい場所に住むことが出来るかもしれません。また、都会と郊外、郊外と自然など2拠点居住や多拠点居住が進む可能性があります。つまり、いままでの仕事中心の合理的な住まい方から暮らしのモノサシが変わり、住む場所の価値観が大きく変わるかもしれません。
そうなると、都市の機能は都心一極集中型から、さまざまな街へ分散するかたちとなるかもしれません。カフェやレストラン、本屋など生活に必要な店舗・施設が地域に分散します。都会でないと不便であったのが、住まい周辺で過ごすことが出来るコンパクトな暮らしに変わりそうです。徒歩や自転車で移動する暮らしが普通となるかもしれません。
そのときに「団地で暮らす」というのは、魅力的な選択肢になりそうです。住戸に住むというのはもちろんですが、住戸のすぐ近くに公園があり、店舗があり、公共施設があります。郊外にあったとしても問題なさそうです。家で仕事がしにくければ、集会所を現代に合わせてリノベーションすることもありえます。使いたくなるようなデザインにして、多用途に使っても良さそうです。昼間はシェアオフィスでテレワーク出来る場所として、夕方からはイベントスペースとしたり柔軟に対応できると良さそうです。また、以前のコラムでも提案しましたが、家の近くに店舗があれば、個人が趣味の延長で無理のない範囲で起業し、団地の空き店舗で営業することがあるかもしれません。
団地にはこういった街の機能が備わっています。活用されていない場合もありますが、それはこれからリノベーションなどして活用できる余白として考えれば可能性が広がります。
いかがでしょうか。社会情勢が変わるなか、住み方・暮らし方も変わってくるかもしれません。改めて団地の可能性を考えてみることで新しい可能性がでてきそうです。ぜひみなさんのご意見をいただければと思います。