団地の玄関まわりを考える

団地再生物語 | 2018.4.10

今回は、団地の玄関まわりについて考えてみたいと思います。
「玄関」は、もともと仏教用語で「奥深い仏道への入口」という意味でした。鎌倉時代に、寺を建立した際に命名したのがはじまりとされています。現在のように、一般住宅の入口を玄関と呼ぶようになったのは、江戸時代以降のことです。

昔の玄関は、家の格式を象徴するものとしてお客様を迎え、家族は内玄関から出入りしていました。そのころの家は、お客様をもてなすことを大切に考えてつくられており、客間も南側の良い場所にありました。
現代になってから玄関は、お客様を迎えるためだけに立派にせず、機能的な役割が主となっています。団地の玄関でも一般的には機能的で最小限のスペースとなっていることが多いです。

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これは一般的なマンションの玄関の間取りです。

必要最小限の広さで、靴を脱げるスペースがあり、靴や傘が仕舞える収納を設けています。
窓が無いので暗くなりそうです。玄関と廊下でつながるリビングとを分ける扉を半透明にする、などで玄関を明るくできると良さそうです。
MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクトでは半透明ふすまを利用して明るい間取りを提案しています。

また、団地やマンションの場合、共用廊下側に窓があり、その窓に面する部分が寝室になることがあります。窓があることで明るいのですが、プライバシーを考えると課題がありそうです。
そこで今回は、「小さい」、「暗い」、「プライバシー」といった玄関の課題を解決する間取りを3つ考えてみました。

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玄関+土間収納タイプ

玄関に土間収納をプラスすることで、靴や傘だけでなく、自転車やアウトドア用品など外で使用するものをたくさん収納できるようになります。そのような趣味がある方にとって重宝するでしょう。
また、ベビーカーの置き場所にもなり、スムーズに出入りができそうです。

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玄関+セカンドリビングタイプ

団地やマンションでは、玄関は共用廊下に一番近くなりますので、LDKのようなプライベート空間とは分けて、パブリックな空間として使えそうです。
広い玄関とすることで、お客様をもてなすことができるセカンドリビング空間ができました。
また、メインのLDKとは別のリビングとしてちょっと集中したい時のワークスペースとしても使えそうです。

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玄関+SOHOタイプ

リビングとは別な空間となっているので、SOHOの様にちょっとした仕事をすることができるスペースとして良さそうです。共用廊下側に窓があってもSOHOであれば問題なさそうです。

いかがでしょうか。団地やマンションの玄関まわりの課題を考えてみました。玄関は内と外とをつなぐ空間としての役割がありますが、その使い方を少しだけ変えることで新しい暮らしをつくることができるかもしれません。
みなさんのご意見をお待ちしております。