団地の見た目を整える
団地再生物語 | 2017.10.24
MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトでは、団地の良さを生かした住戸の内側のリノベーションを行ってきました。暮らしの基本を常にみつめて、それを整えてきました。
プロジェクトの次の展開として、暮らしを整える部分を少し広げてみると、団地の階段室やエントランスといった共用部や建物外観はどうあるべきかという課題が見えてきます。そこは住人が共通して利用するだけでなく、不特定多数の人の目に触れる部分です。
サイン
団地の敷地外から目的の住戸まで行く流れを考えてみます。まず団地の敷地に入ると、たくさんの樹木が大きくなり、豊かな自然が住まいのすぐそばに存在します。公園のような敷地を通りつつ、目的の建物がどこにあるかを探します。建物の外壁に大きな棟番号が付けられていますので、その棟番号を確認して、建物のエントランスにたどり着きます。
そこでは住戸番号がわかるようになっており、生活に必要な集合ポストや掲示板が取り付けられています。そこから共用階段をあがりつつ、玄関ドアのそばにある住戸番号を確認し、目的の住戸に到着します。
一連の流れを見直すと、まず「団地名」があり、そして「棟番号」、「住戸番号」といったサインが大切になることがわかります。そのサインのデザインがバラバラではなく統一されており、わかりやすく目につくようになっていると良さそうです。
外壁
以前のコラム「団地は何色?」でご提案したように、団地の外観を考えることも大切です。団地ではさまざまな暮らしが展開されます。バルコニーを見れば、さまざまな植栽や洗濯物などで色とりどりな風景がそこにはあります。建物の色は、そのさまざまな暮らしを受け入れる器としてどうあるべきかを考えます。また、外には豊かな自然の緑や茶色があり、空は青い。それにも馴染むような色の選択が必要になりそうです。
そのようなことを考えると、団地の外観はさまざまな風景を受け入れる色とし、サインはわかりやすく目立ち、かつ馴染む色にすることでお互いが違和感なく引き合いそうです。
このような外観・サイン計画はどうでしょう。東京都にある館ヶ丘団地です。
バルコニー側は白系とし一部を茶系としています。コントラストがお互いの色を引き立てています。バルコニーを白にすることで、各住戸がさまざまな暮らしをしていてどんな色がそこにあっても違和感がなさそうです。
また、インフォメーションマップ(案内板)から棟番号や室番号まで文字のかたちが統一されています。ポストにも大きく文字が付けられています。玄関前にある室名番号には、玄関を彩るリーフなどを引っ掛けられるようなしつらえになっています。派手さはありませんが、長年経つことでこのサインが住む人の意識に自然に馴染んでいきそうです。
いかがでしょうか。
団地のサインや外観は、機能としては暮らしと関係が薄いですが、暮らしの本質に足される「彩り」として考えていくと暮らしが豊かになりそうです。ただ、今後何十年も愛されるような建物になるには、彩りといっても色や素材を派手に付け加えるのではなく、その場所に自然と寄り添うようなありかたを考える必要がありそうです。
ぜひ、みなさんのご意見をいただければと思います。