Paint It Yourself !

コラム | 2015.6.16

今、「借りて住む」というスタイルが変わりつつあります。
改めて言うまでもなく、「賃貸住宅」というのは、「大家さん」の「持ち物」を借りて住んでいるのですが、長年借りている間に、床や壁を汚したり傷つけてしまったり、壁に写真やカレンダーを貼るのに小さいながらも穴を開けてしまったり、障子を破いたり……。そういうこと、どうしてもありますよね。
その場合、「借りたものを返す」のですから、借りる前の状態に戻してお返しする、というのが当たり前、というわけです。

これは通常、「原状回復義務」と言われ、賃借人は退去する際には、その部屋を借りる前の状態に戻す、又は戻すのに必要な費用を大家さんに支払う(借りる前に、その保証金として「敷金」を収めるのが慣例になっています)ことが、契約書にうたってあるのが普通なのです。

その「普通」が変わりつつあります。
もともと賃貸住宅は、住む人が特定されていませんから、最大公約数的なしつらえになっています。つまり、誰が入居してもそこそこ満足できる、いや少なくとも嫌悪感を抱かせないような、無難な設計になっていることが多いのです。

しかし、私たちのライフスタイルや趣味嗜好はどんどん多様化し、「最大公約数的な無難な家」では飽き足らない人たちが増えてきました。そこに日本全国で820万戸(平成25年度 住宅・土地統計調査)が余っている、という空き家問題も重なり、大家さんが無難な家をつくって貸して、もとどおりにして返してね、という従来の賃貸住宅のかたちでは、たちいかなくなりつつあります。

だからと言って、大家さん自身の趣味で、突飛な設計をしても、それが受け入れられるとは限りません。
そこで、最近賢い大家さんたちが始めているのが、住む人が自分の好みに合わせて自由に設えていいですよー、という賃貸住宅スタイルです。業界的に言うと「原状回復義務免除」の賃貸契約ということになりますが、これが若い人を中心に好評で、徐々に広がりつつあります。

UR団地にもそのような仕組みがあるのをご存知でしょうか。「DIY住宅」と命名されていて、決められたルールの中であれば、壁紙を自分の好みに合わせて変えたり、壁を好きな色に塗ったり、それだけでなく、間仕切りを変更したり、キッチンや床材を変えたりすることまでできる住戸があるのです。MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトでも、このDIY住宅に入居して、フルリノベーションする様子をレポートしていますので、ぜひご覧ください。
住まいレポート「団地をDIYして暮らします。」

この住まいレポートを見て、「すっごい楽しそー」とすぐ思われた方は、DIYの才能大有りです。ぜひ、DIY住宅にトライしてください。でも、「楽しそうだし、自分も部屋をカスタマイズしてみたいけど、ここまではなかなか…」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。ご心配なく。それ普通です(笑)
ドライバー(ネジ回し)さえ上手に使えないのに、カナヅチやましてノコギリ?ムリムリ、と思われる方も多いはず。そんな道具を使わずに、でも部屋を自分の好みに変えてみたい。最大公約数から脱却したい、という場合どうしたら良いだろうと悩んでいる方に、このコラムのタイトル、Paint It Yourself!の提案です。

カナヅチを持ったことのない方でも、「筆」は使ったことがあるのではないでしょうか。そうです、子どもの頃絵の具を使って絵を描いた、あの楽しさそのままに、壁や身の回りのモノを塗ってしまうのです。
上手に塗れるかな?という心配はご無用、人が塗ったムラは気になるかもしれませんが、自分の塗りムラならむしろ愛着が湧くというものです。

また、今は塗料や道具も進化していて、昔のペンキのように取り返しのつかないことになる、ということもありません。無印良品でも、MUJI INFILL+シリーズでは、すごく綺麗に塗れる塗料やハケをセットで、一部の店舗で販売をしています。
これらのセットを使って我らが「三鷹の家大使の住まいレポート」では、あみぃちゃんがご実家の自分の部屋をペイントしまくる奮戦記をレポートしています。
三鷹の家大使の住まいレポート「里帰りDIY編2015」

三鷹の家大使のあみぃちゃんは、人並みはずれて絵心があるとは言え、初めてのトライアルでこの出来です。壁だけでなく、家具などもトータルコーディネートで塗ってしまうのがミソのようですね。

DIY(Do It Yourself)まではいかなくても、PIY(Paint It Yourself)でも十分に自分好みにカスタマイズできそうですね。原状回復義務免除の部屋なら、あなたが塗ったその色合いが気に入って次に借りたいと言う人の行列ができるかもしれません。

いかがでしょうか。まずはDIYの初級編「Paint It Yourself」。皆さんもチャレンジできる部屋に住んでみたいと思いませんか? ご意見をお聞かせください。