賃貸でも自分で間取りを変えられるといい
団地再生物語 | 2012.6.5
先日実施しました、第3期第5回「団地について」のアンケートには、2,247件ものご回答をいただきました。たくさんのご参加ありがとうございました。
このアンケートのなかで、「間取りを自由にできるとよい(自分で改装できるとよい)」という質問に対して、なんと87%もの人が「そう思う」「ややそう思う」と回答されました。
しかし、自己所有ではない、賃貸の住まいのしつらえを変えることは簡単ではなく、いろいろなハードルがあります。入居中に改装などをしても「原状回復義務」というのもあり、もとの状態に戻して退室しなければなりません。なので、特に壁や天井、床といった大がかりな変更をしたくても、一時的に住む賃貸住宅ではかけられる費用も限られることでしょう。
一般的に、リノベーションの多くの手法としては、まず壁や天井、床などをとってしまいたいと思うものです。もちろん活かせるものは活かしたうえで、壊すことができる壁なのかを調べるには、もとの建築図面を確認する必要がありますし、専門家の知識も必要になりますが、これができるとリノベーションの可能性は一気に広がります。
しかし、壁を壊したり、床を直したりというのは大がかりな工事です。また費用もかなりかかります。この改装費用を全額入居者が負担するのでなく、貸し主が一部を負担する仕組みがあったらいいなと思います。
古い住宅は現在、建設当時とは住まい方も変わってきており、部屋の数を確保するために細かく仕切られている場合が多いため、これを改善する積極的なリノベーションをすることによって、賃貸物件としての価値も上がるとも言えます。
例えば、あらかじめいくつかの想定できる壁の解体の場所などを、貸し主側できめておくのはどうでしょう。床、壁、天井の解体と改装費用は貸し主が負担して、その上で借り主が間取りだけでなく、棚やキッチンなどの住宅設備も選んだり、変更したりすることができれば、賃貸住宅に住む楽しさはずっと増すでしょう。
そうなると、住まいを所有するのではなく、賃貸でリノベーションをしながら住み続けるという人も増えるかもしれません。先のアンケートでも、「設備類、お風呂やキッチンは、もっとグレードの高いものにして欲しい」という質問に対しは、78%もの人が「そう思う」「ややそう思う」と回答されました。住宅設備を自分の選択でできるというのはリノベーションの一番の楽しみです。
さて、こうした仕組みができたとしても、貸し主で負担できる費用には限界もあります。一般に考えられる費用の目安を知っておくといいでしょう。事業収支の範囲内での負担になるでしょう。
リノベーションによってその住居が魅力的になって家賃が月1万あがったとすると1年間で12万の収入増です。10年間で120万の付加価値と考えると、そこのあたりが、貸し主が負担できる範囲でしょう。そこに自分で出す改装費用を足したとしても全体で150万から200万ぐらいという感じです。その費用の中で改装することが可能ならば、古い賃貸マンションの間取りを自分で直すことは、現実的になりそうです。
賃貸であっても愛着のある間取りに暮らす。そんな時代がくるかもしれません。古い賃貸の住宅を直して、自分好みにして住みこなす。皆さんは、こんな住まいのかたち、どう思いますか?