仕事部屋と住まい、ふたつの部屋を借りて住む

団地再生物語 | 2012.4.17

今回は、「ふたつの部屋を借りて住む」ことをテーマに、大阪府にある総持寺団地の間取りをもとに、団地再生のリノベーションをシミュレーションしてみました。

総持寺団地は、1961年に建てられた1700戸規模の大型団地。前回のコラムで少し触れました、「公営住宅標準設計C51型」の設計をすこし変形した間取りです。
4階建てのエレベーターなし。最上階は、階段室をはさんで左右ふたつの住戸だけですから、他の住人が通ることはありません。最上階で、鍵が別々の部屋をふたつ借りきるスタイルになります。

この最上階のふたつの部屋を利用しSOHOをイメージした、「仕事部屋と住まい」の組み合わせを考えてみました。
ひとつの部屋の大きさは45m²、ふたつあわせて90m²、仕事部屋と住まいが隣り合わせなので、パブリックとプライベートを分けながら、それぞれ快適な空間となるよう考えてみました。

もとの間取り

「仕事部屋と住まい」にリノベーション

左の部屋を「住まい」、右を「仕事部屋」としています。
「住まい」の部屋は思い切り大きなバスルームをつくっています。ガラス張りにしてホテルのようなバスルーム。採光もしっかりとれている、明るいバスルームです。風通しもよく、快適な空間になるでしょう。

リビングルームは少し小さめですがここは、リラックスすることだけに集中。仕事や趣味のスペースも「仕事部屋」の方につくってみました。
ダイニングはオープンキッチンにして料理もみんなで楽しめるように考えました。たまには事務所のスタッフと一緒に食事をしたり、友達を招いてパーティーをしたりというのはどうでしょう。

一方「仕事部屋」は、スタッフも常駐できるほどのスペースを確保してみました。一人でまたは夫婦で仕事をしたりする場合でも、このぐらいのスペースがあれば作業場だけでなく打ち合わせができます。スタッフが使うための簡単なシャワー室もつくりました。

働くところと住むところ、近くてもプライベートを確保できる「ふたつの家」を組み合わせて使うというのは快適に違いありません。
団地に住む、団地を再生するかたちのひとつとして、ふたつの部屋を使うこと。きっと可能性はまだまだあるでしょう。両親と隣り合わせ、子供と隣り合わせ、今回のようなSOHOや写真スタジオ、キッチンンスタジオ、アトリエ……住まい方はさまざま。
必要がなくなったら、賃貸ですから気兼ねなくまた戻すこともできるでしょう。家族の成長や、仕事のかたちにあわせて家を選ぶ、こんなことができるのも大型の賃貸住宅の魅力のひとつかもしれません。

次回も引き続き「ふたつの部屋を借りて住む」ことについて考えてみようと思います。皆さんのご意見ご要望をお聞かせください。