不快温度を探して(真夏)

快適温度の暮らし方 | 2011.8.30

←今日(8月中旬)の海岸の温湿度。風があるから日陰は快適。

不快温度を探して(真夏)

チームいま何度?は、あらゆる視点で住まいの温度と湿度をはかります。
前回の「不快温度を探して(初夏)」では、梅雨のはじめ「最も不快」と感じた「マイワースト温湿度」を探してみました。

この結果を受けて、外の温度と室内の温度、風の関係について、そして閉めきった部屋から窓を開けたとき、部屋の温湿度がどう変化するのか、「チームいま何度?」としては、もう一歩踏み込んで「体感」する必要がある、と考えました。
私たちは、なるべくエアコンに頼らずに暮らしたい、と考えています。そんな私たちにとって、夏に部屋の中が暑くて不快なときに窓を開けたら、どう改善されるかは、大切な問題だからです。
そこで、以下のような実験をすることにしました。

・日中、部屋の窓を閉め切って外出、日没後の19:00の室内外の温湿度を測定、窓を開ける。
・窓を開けて30分後の19:30に、室内外の温湿度を測定。
・引き続き21:00まで、窓を開け続ける。この時の室内外の温湿度を測定。

今回はそのレポートをお届けします。
梅雨明け、急激に夏日となった7月上旬の週末の2日、関東圏で計測してみました。
外の気温はベランダ・バルコニーで、部屋の気温は部屋の中央で、いずれも同じ温湿度計で測っています。

ポイントは「外の気温」と「部屋の気温」と「風」

まずは、「窓を開けて風を入れても暑かった」グループから。

S邸 T邸
窓を閉め切っていた19:00、
外よりも部屋のほうが温度が高かったか?
×
(4.4℃低かった)
×
(1.4℃低かった)
窓を開けた19:30、
外よりも部屋のほうが温度が高かったか?
×
(0.6℃低かった)

(0.8℃しか高くなかった)
窓を開ける前と後、
部屋の温度が下がったか?
×
(1.2℃上がった)

(0.8℃しか下がらなかった)
21:00まで窓を開け続け
部屋の温度が下がったか?

(0.4℃しか下がらなかった)

(0.5℃しか下がらなかった)
S邸 [マンションの1階・中部屋・築28年・自称:暑がり]

19:00
部屋を閉め切っていたが、部屋に入った瞬間は涼しい。が、すぐに暑い印象を覚える。
19:30
不快感急上昇。妻から不評。子供もやや不機嫌。
21:00
多少は空気の流れを感じるものの、快適とは程遠い。外気温の方が低く、ヘコむ。

T邸 [マンションの7階・角部屋・最上階・築30年・自称:暑がりでも寒がりでもない]

19:00
閉めきっていたリビングとベランダの温湿度差がなくてびっくり。体感もそんな感じ。
19:30
またも、リビングとベランダの温湿度差がない。風が吹かないので蒸し暑い。
21:00
窓全開。風が吹いたり吹かなかったり、だったので、サーキュレーターもフル回転。風は常に吹いていてくれないとつらかった。はやくクーラー入れたかった。
食事、お風呂、子供の寝かしつけなど、この時間は活動的になるので特に暑く感じる。

この「窓を開けて風を入れても暑かった」グループの特徴は・・・

・外の温度よりも、部屋の中のほが、温度が低かった。
・なので、窓を開けても温かい空気が入ってきていて、涼しくならない。
・そもそも当日、風があまり入ってこなかった。

S邸のマンションは、両隣に部屋がある中部屋で、1階で地面に面していることもあり、外気温の影響に左右されにくい特徴があります。
またS邸は、部屋の窓を閉め切って外出するまでエアコンをつけていました。マンションの断熱性能が高いため、このエアコンの冷気が保たれていたこともあるかもしれません。

続いて、「窓を開けて風を入れたら涼しくなった」グループから。

N邸 K邸
窓を閉め切っていた19:00、
外よりも部屋のほうが温度が高かったか?

(4.7℃高かった)

(3.0℃高かった)
窓を開けた19:30、
外よりも部屋のほうが温度が高かったか?

(3.2℃高かった)

(2.3℃高かった)
窓を開ける前と後、
部屋の温度が下がったか?

(2.0℃下がった)

(1.4℃下がった)
21:00まで窓を開け続け
部屋の温度が下がったか?

(2.0℃下がった)

(2.1℃下がった)
N邸 [マンションの4階・角部屋・最上階・築24年・自称:冷え性の暑がり]

19:00
家に入ると、むわっとした空気を感じた。この日は19時ともなると、外の方が涼しいと感じた。
19:30
湿度が高く感じたが、風が抜けるので、風が気持ちよく通る場所にじっと座っていれば問題なかった。
21:00
外気温も28℃を切っていたので、涼しい風が窓から入ってくる、という感じで、心地よかった。
問題は、網戸の状態にしないと風が入ってこないので(カーテンをしてしまうと風が入らない)、ブラインドに付け変えたくなった。(外からの視線をさえぎるようにカーテンを開けるのがちょっと苦しい)。思ったより涼しいので、このまま朝までエアコンなしで過ごした。

K邸 [木造・戸建て・築30年・自称:暑がりでも寒がりでもない]

19:00
陽も落ちて外はだいぶ涼しかった。帰ってきて、部屋の空気はもわっとしていて暑かった。じきに汗だくになる。
19:30
前後(南北)の窓だけでなく、横(東西)の窓も開けたら、カーテンが動くほど風がどんどん入った。空気も暑くない。
21:00
開けっ放しで風の通りがよくて、涼しく感じた。汗も出てこなかった。

この「窓を開けて風を入れたら涼しくなった」グループの特徴は・・・

・外の温度よりも、部屋の中のほうが、温度が高かった。
・なので、窓を開けると、冷たい空気が入ってきていて、涼しい。
・とても風通しの良い立地、間取りだった。

今回の実験のすべてご紹介していませんが、部屋や日時を変えた10タイプの部屋のうち、7タイプは「窓を開けて風を入れたら涼しくなった」グループになります。
つまり、夏に部屋の中が暑くて不快なときに、窓を開けて風を入れたら、暑さ、不快さが改善される、ということです。
また、単に「窓を開ける」のではなく、「風を通す」ことを意識して、それぞれの部屋の窓をいくつか開けて実験しています。

今回わかったこと

・外よりも部屋の温度が高いと感じたら、窓をあけると快適になる。
・マンションの中部屋などの住まいの断熱性能や条件は、かなり部屋の快適に影響しそうだ。
・窓を開け、風を通すコツは、対角線上の窓を2つ開けること。

まとめ「エアコンのスイッチを入れる前に、まず窓を開けてみませんか?」

今回の検証でわかった通り、窓を開けた時に、室温が下がるか、風が入ってくるかは、部屋内外のその時の状況により、変化します。
だからこそ、難しい理屈抜きで、まず、窓を開けてみませんか?
窓を開けてみて、涼しい空気が入ってくるようなら、そのまま開けておく。
かえって不快になるようだったら、すぐに閉めて、それからエアコンをつけても良いのではないでしょうか。

それを繰り返すことで、「今日の気候なら、こことあそこの窓を夕方開けると、風が抜ける・・・」という経験値が付いてくるかも知れません。
便利なエアコンに頼る生活を続けていく中で、季節を感じるための「暮らしの知恵」を、私達はいつの間にかどこかに置いてきてしまったのかもしれません。

窓の開け閉めと、快不快、いかがでしたか。
帰宅後は窓を開け、部屋の空気を入れ替えてからエアコンを入れてみよう。を実践してみた方、ぜひ体感・感想をお寄せください。