□　11月10日。えっ、もう11月なの。

趣味は？ と聞かれたら、迷わず「団地！」と答えてしまう今日このごろ。
いままで、東京・光が丘のトーリーさん、堺市のむらさきさん、森ノ宮のキナリちゃんが住む団地に遊びに行った。じぶんの家と似た間取りでも、くらし方がぜんぜん違うからおもしろいね。
今はすっかり秋だけど、まだもう少し暑かったときに、じつはもうひとつ団地を見に行ってたんだっけ。今日の日記はそのことを思い出しながら。携帯の中の写真を見返すと、蝉の声が聴こえてくるみたい。ええとあれは確か、8月の末のこと。

わたしは無印良品で働いてるんだけど、やまぶきさんは同じお店のスタッフさん。息子さんとふたり暮らしで、しろちゃんと一緒に遊びに行った8月は団地に引っ越したてのときだったな。
「うち引っ越したばっかりで、ほんとに何もないんですよ！」と笑いながら出迎えてくれたやまぶきさん。深い緑の玄関が絵本の世界みたいでかわいい。
やっぱりスタッフだね、部屋には無印良品の商品がたくさんあった。白い鳩時計は5時になったらポッポと鳴くよ。
やまぶきさんの冷蔵庫には息子さんの時間割が貼ってあって、なんか懐かしい気持ちになった。

ものが少なくてすっきりしているから、畳の良さとか、壁の色の味がよくわかる。わたしの団地は白く塗られている壁が多いけど、こういう砂壁も懐かしさがあって木の家具が映えるからとても好き。
やまぶきさんの大好きなアーティストのCDやグッズは、頑丈ボックスに大切にしまっているんだって。

「キッチンの作業台とか、靴箱とか、欲しいなあと思っててもなかなかえらべなくって。間に合わせじゃなくて、ちゃんと気に入ったちょうど良いものがほしいから、今はないままくらしてるんですよ」
ちゃぶ台をみんなで囲んで、冷たいお茶を飲みながらおうちの話をした。やまぶきさんも息子くんも、靴が好きで増えちゃうから収納に困ってるんだって。
「そっかー。でもあの廊下にだったら、あおちゃんちの玄関と同じスチールユニットシェルフが置けるかも……」
と、おもむろに立ってそこらじゅうをメジャーで測り始めるしろちゃん。さすが無印良品のインテリアアドバイザー、遊びにきたときも抜かりなかった。

「キッチンにも、ちょうど良さそうなシェルフがあるよ」とにっこり笑うしろちゃんに、「ほんとですか！？」と、やまぶきさんが目を輝かせてた。
「無印良品の家具だったらいいなって思ってたんです。でもどれを買えばいいか迷ってて……。インテリアアドバイザーのしろさんに相談できるなら、安心だな」
キッチンの作業台と靴箱を部屋に置いたころにまた遊びに来るねって約束して、バイバイしたんだっけ。また遊びに行きたいな。

□　11月12日。秋はごはんがおいしいや。

仕事の休憩時間に、やまぶきさんとばったり会ったから「あれからどうですか？」って聞いてみた。
そしたらうれしそうに、たくさん写真を見せてくれた。
「これ、あおさんと同じ靴箱なんですよね！ たくさん入るし、見やすいしで、息子も私もとっても気に入りました」って、目をキラキラさせてたやまぶきさん。
キッチンの台は、スチールユニットシェルフにキャスターをつけたんだって！
コロコロ可動式だから、作業台に使うときはシンクのそばまで持ってきて、使わないときは隅に置いておける。やまぶきさん、うれしそうだったな。息子さんに撮ってもらったっていう写真から、喜びがひしひし伝わってきた。
「うち、毎日ごはんはちゃぶ台で息子と食べるからダイニングテーブルはいらないんだけど、料理するときの台が欲しいなって思ってて。もうほんと、うちにぴったりなんですよ！」
その人のくらしに合った答えを見つけられればいいんだね。
そしてやっぱり食べることがくらしの中心にあるんだなあ。あたらしいくらしを始めるときこそ食べることを大切にしたらいいんだね。やまぶきさんの喜んだ顔が忘れられないな。人はだれかに喜んでもらえることがいちばんしあわせ。
しろちゃんに「やまぶきさん喜んでたよ」って報告したら、満足そうに頷いてた。わたしの友達は頼りになるなあ。

鳩時計・大