第4期13回「住宅付き店舗での暮らし」の間取りについて
第4期 2017年〜 | 2022.6.28
「住宅付き店舗での暮らし」の間取りについて(アンケート結果)
前回実施した「住宅付き店舗での暮らし」アンケート結果をみると、「小商いをしたい」や「起業したい」と答えた方は半数以下でしたが、一方で、「趣味の空間が欲しい」と答えた方は70%以上となっており、「商店街に住むこと」=「お店を出す」や「起業する」だけではなく、「郊外の商店街に住むこと」には、もっと新しい可能性がたくさんありそうです。そこで「住宅付き店舗での暮らし」をテーマにして、一つの住戸を例に間取りを4種類作成し、みなさんのご意見をお聞きしました。
●回答総数:1,636名
●実施期間:2022年5月31日(火)~6月7日(火)
回答者のプロフィール
こちらの間取りをベースにし、前回のアンケート結果の内容をもとに、1階テナント部分の間取りを考えてみました。2階住居は、50㎡弱ある2LDKの間取りで、ファミリーでもシェアハウスの住まいでも可能な広さとなっています。
[Aプラン]副業小商:
会社員をしながら、土日だけカフェを開く「週末カフェ」
少し前の時代の考え方だと「自分のお店を出す」=「脱サラをして覚悟を決めて起業をする」そんなイメージがありましたが、現代においては副業として、また趣味の延長として、自分のお店を出すということも可能なのではないでしょうか。たとえば、カフェをしたいという夢があったとしたら、それは「団地商店街の店舗付き住戸」であれば、その夢をかなえることもできそうです。無理をせず、平日は会社で働き、土日だけの「週末カフェ」を自分の住まいの1階で営業を行う。そんな自分の夢を商店街でかなえてみてはいかがでしょうか。
[Aプラン]の共感度
[Aプラン]へのコメント
(鹿児島県/30代/その他技術職系)
(大阪府/30代/一般事務・企画・経営関連職系)
(大阪府/40代/専門サービス職系)
(和歌山県/40代/専門職系)
(長崎県/50代/専門サービス職系)
(大阪府/40代/販売・サービス職系)
(京都府/50代/一般事務・企画・経営関連職系)
(神奈川県/50代/建築・土木関連技術職系)
(東京都/40代/一般事務・企画・経営関連職系)
(栃木県/50代/公共サービス関連職)
(東京都/40代/販売・サービス職系)
(東京都/50代/販売・サービス職系)
この設問を経て、「将来カフェを出店したい」。そんな夢をたくさんの方が考えていることが改めてわかりました。そして、将来ではなく、住みながら週末だけなら今からでもできますよね? の問いに対して、このプランが理想的と回答していただけた方もたくさんいました。もちろんこのプランは一例でしかありませんので、副業や趣味の延長と考えると、もっと席数を減らしてゆったり余裕を持った営業ができるプランもあると思います。また、壁一面本棚にしてBOOKカフェをしたい、地域のコミュニティの場として運営したいというご意見もありました。
[Bプラン]地域貢献:
会社員をしながら、平日でも運営できる
「会員制ランドリー&コワーキングスペース」
巷では、コインランドリー施設がコミュニティの場として注目され、カフェを併設したようなコインランドリーも数多く存在していますが、団地という市場である一定のニーズを常に得ることができるのであれば、Aプランと同様ですが、常にお店にいる必要がないコインランドリーは、副業としても最適ではないでしょうか。さらに会員制にすることで、セキュリティの問題も担保しながら、お客さん自らシェアキッチンを利用してお茶を入れて、待ち時間を過ごしても良さそうです。またコワーキングスペースとしても利用することで、ランドリーだけにとどまらず、あまった空間を使った運営ができる仕組みづくりを考えても良さそうです。
[Bプラン]の共感度
[Bプラン]へのコメント
(神奈川県/30代/クリエイティブ職系)
(東京都/30代/商工自営業・フリーランス・SOHO)
(埼玉県/40代/公共サービス関連職(公務員・団体職員など))
(大阪府/40代/販売・サービス職系)
(東京都/40代/専業主婦・主夫)
(愛知県/50代/一般事務・企画・経営関連職系)
(埼玉県/50代/専門サービス職系)
(大阪府/50代/一般事務・企画・経営関連職系)
(東京都/50代/アルバイト・パート・フリーター)
(大阪府/50代/専業主婦・主夫)
(京都府/40代/クリエイティブ職系)
(大阪府/40代/アルバイト・パート・フリーター)
この設問に対しては、コインランドリーなので、無人で営業できることにメリットを感じる方がたくさんいました。コワーキングスペースで待っているあいだに作業(仕事)ができるのは効率的や、会員制なら安心、などのご意見もたくさんいただきました。一方で、利用者が必ずきれいに使用してくれるわけではないので無人でのシェアキッチンは心配や、仕事をするには洗濯機の音が気になりそう、などのご意見もいただきました。巷で流行りのコインランドリーとコワーキングスペースの組み合せは少し欲張り過ぎた感じはありますが、副業ならではの平日にシャッターを閉めているだけなら、無人でも毎日運営できる業態の仕組みづくりが今後の可能性を感じました。
[Cプラン]スタートUP:
ネットSHOP運営をメインに在庫倉庫とShowroomを兼ねる
「ガレージブランドショップ」
Aプラン、Bプランでは、副業や趣味の延長の提案になっていますが、もちろん起業したい人やお店を持ちたい人にとっても最適な物件であることには変わりません。たとえば、ECサイトを運営して自分のブランドで開業したい人にとっては、都心では家賃が高すぎて商品在庫用に広いスペースを確保するのは難しいです。そこで、自分の自宅の1階に50㎡弱あるスペースを確保できることは大きなメリットになるのではないでしょうか。さらに普通の在庫倉庫としてだけではなく、商店街に開けていることで、リアル店舗スペースも併設することができそうです。実際にその場で売れなくてもショールームとして機能できれば、あとはECサイトを運営するだけで成り立ちそうです。
[Cプラン]の共感度
[Cプラン]へのコメント
(三重県/20代/専門サービス職系)
(神奈川県/40代/IT関連技術職系)
(千葉県/40代/専業主婦・主夫)
(大阪府/40代/建築・土木関連技術職系)
(長崎県/40代/専門サービス職系)
(神奈川県/40代/専門サービス職系)
(神奈川県/40代/その他)
(静岡県/50代/仕事はしていない)
(長野県/50代/商工自営業・フリーランス・SOHO)
(奈良県/50代/販売・サービス職系)
(北海道/50代/クリエイティブ職系)
(山口県/50代/商工自営業・フリーランス・SOHO)
(埼玉県/60代以上/専業主婦・主夫)
(福島県/30代/アルバイト・パート・フリーター)
(鹿児島県/30代/一般事務・企画・経営関連職系)
(東京都/40代/専業主婦・主夫)
共感いただいた方のなかで、いちばん若年層からの支持が多かったのがCプランでした。いまっぽいなどのご意見もあり、「お店を出す=ものを売る場所ではない」という、現代の商いにあったプランだったようです。一方で、ショールームを兼ねた販売兼倉庫みたいなお店はオシャレと思うや、倉庫代のコストが抑えられて良い、などのご意見もありました。実際にECサイトを運営している方からは、倉庫に加え、梱包作業場が意外に場所をとるので、このくらいの広さが自宅にあると理想、などのご意見もいただきました。
[Dプラン]夢が叶う:
プロ仕様機材で作品を作り、その場で多くの人に見てもらえる
「工房付きギャラリー」
Aプラン、Bプランのような副業タイプと、Cプランのような起業タイプとも違うDプランとして「工房付きギャラリー」はいかがでしょうか。たとえば、作家として活動している陶芸家や、家具作家、テキスタイルデザイナーや、カバン職人、靴職人など、自らの作家や職人のスキルを生かせるだけのスペースを必要としている人にとっては、「店舗付き住戸」は最も適しているのかもしれません。もちろん本業としてだけではなく、趣味の延長として工房を持つことも可能です。寝ても覚めても好きなことに没頭でき、さらに商店街に面していることで、すぐその場で多くの人に見てもらえることも、普通の住まいでは決してできないので、趣味の延長としてはとても贅沢なライフスタイルを送れるのではないでしょうか。
[Dプラン]の共感度
[Dプラン]へのコメント
(三重県/20代/専門サービス職系)
(大分県/20代/専業主婦・主夫)
(埼玉県/30代/クリエイティブ職系)
(熊本県/40代/専門サービス職系)
(群馬県/60代以上/経営者・管理職)
(宮崎県/50代/商工自営業・フリーランス・SOHO)
(香川県/50代/建築・土木関連技術職系)
(東京都/50代/一般事務・企画・経営関連職系)
(福岡県/50代/専業主婦・主夫)
(神奈川県/50代/建築・土木関連技術職系)
(広島県/60代以上/一般事務・企画・経営関連職系)
(東京都/60代以上/仕事はしていない)
(東京都/40代/その他)
(茨城県/40代/専業主婦・主夫)
4プランのなかで、いちばん共感度が高かったのがDプランでした。本業や副業までは行かず、あくまで趣味の場所として使いたいという想いがあり、通行人にもアピールできるのは理想的、というご意見をたくさんいただきました。また、一緒に作業をするワークショップやセミナーなど、工房を通じてのコミュニティが楽しそう、というご意見や、3Dプリンターやレーザーカッターなど、個人で買うにはハードルが高い工具もみんなでシェアできたら最高! などのご意見もありました。DIYが一般的になった昨今、工房などのものづくりを通じた小商いやコミュニティには大きな可能性を感じます。
今回も「商店街での暮らし」についてたくさんのご回答、ご意見をありがとうございました。
前回の郊外の団地施設でよく見られる「住宅付き店舗のくらし」において、アンケートでわかったことは、
・長年の夢をかなえることができる
・自分の趣味を生かして地域に貢献したい
・家族と一緒に過ごす時間を増やしたい
・定年に関係なく働きたい
でした。そして今回、そんな想いをかなえることができる物件として、4つのプランを考えてみました。それぞれのプランに対して、本当にたくさんのご意見をいただき、改めて「商店街での暮らし」の可能性を感じることができました。
その背景には、「コロナ禍」「テレワーク」「副業」「不労所得」「超高齢化社会」…などさまざまな要因によって、サラリーマンとして会社に通勤して働くだけでは満足できず、自分が本当にやりたいことは何か?「将来への不安」や定年後の「生きがい」に答えを出せる住まいとして「商店街での暮らし」が位置付けられているのだと感じました。
「不労所得」だけで考えると、株や投資信託への投資といった選択肢はありますが、「超高齢化社会」を迎えるいま、「生きがい」につながるのは自分の夢を叶えるための投資なのかもしれません。お店をつくるには当然、イニシャルでお金がかかります。それはまさに「いまなりたい自分への投資」にほかなりません。どんなライフスタイルで暮らしていくことが自分の生きがいになるのか、「商店街での暮らし」はその選択肢の一つとして考えてもよさそうです。
これまでの人生や財産のすべてをかけてお店を出店するのではなく、リスクを避けて、趣味や副業の延長線上に、自宅に住みながら小商いをすることで、地域に貢献したり、家族との時間を大切にしながら、生きがいを見出していく。そんなライフスタイルを「商店街での暮らし」が叶えてくれるのかもしれません。