「テレワークのある暮らし」について
前回実施した「これからの暮らし」アンケート結果をみると、これからもテレワークをしたい方が63%を占めており、これからの働き方が変化する可能性がありそうです。そこで「テレワークのある暮らし」をテーマにして、一つの住戸を例にとって間取りを4種類作成し、みなさんのご意見をお聞きしました。
●回答総数:630名
●実施期間:2020年9月15日(火)~9月25日(金)
回答者のプロフィール
年代
世帯形態
こちらの間取りをベースにし、アンケート結果の内容をもとに、家でのテレワークのしかたを考えてみたいと思います。面積が約63m²で、夫婦2人での暮らしを想定しました。
[Aプラン]⾃然を意識した半屋外空間の離れで働くワークスタイル
日当たりが良く、2方向に窓がある気持ちの良い南側の離れをワークスペースとしました。屋外環境に近づけるために、芝生畳を敷いています。普段の生活と少し離れた環境の良い場所で仕事をすることが出来、ON・OFFの切り替えがしやすそうです。そこにハンモックを置けば、仕事の合間に休憩をすることができます。また、テーブルを片付け、テントをもってくればキャンプ気分を味わえる空間にも出来るかもしれません。
[Aプラン]の共感度
[Aプラン]へのコメント
離れという発想はとても良いなと思います。夜遅くに仕事をすることもあるので、家族に気を使うことなく、仕事に集中できそうです。(女性/40代/夫婦二人世帯)
4プランの中で一番いい。景色や環境がいい場所で仕事する方が気分もよくはかどる。ベランダにも植物がおけそうだし外を感じられる。生活スペースと離れているのも切替によさそう。芝生畳は使ったことがないけど掃除が難しそうなので床の方がいい。また、仕事の合間にヨガができるスペースがあると尚いい。(女性/30代/単身世帯)
擬似通勤っぽくON/OFFの気持ちの切り替えがしやすいのかなぁと思います。遊び心があるのも好きです。(女性/40代/親+子世帯)
「南側にある離れ」というところにグッときました 東側の窓からは朝日が差し込んでくるだろうし 日の出を眺めながらヨガしたり瞑想したりできるだろうし、仕事はかどりそうだし、心身の健康に良さそう(男性/60歳以上/夫婦二人世帯)
プライベートと完全分離ができているのが良いと思います。先々を考えると、寝室と水回りが近いのは良いと思います。(女性/50代/親+子世帯)
ゾーニングがしっかり出来ている事でオンオフの切替がしやすそう。仕事の資料を収納することスペース、ストレッチをするスペースも充分にある。仕事に集中するにはやや広いかも。洗濯機の様子も分かり、家事も並行して出来る。(女性/40代/夫婦二人世帯)
ON・OFFの切り替えは確かにしやすそうだし、芝生の離れが新しくて惹かれました。ただナチュラルな空間が仕事のイメージと結びつきにくく、ワークスペースというよりはリラックススペースとして使いたいかも…(女性/30代/親+子世帯)
リビングダイニング、キッチンが一体化している点や洗面やトイレなどが寝室と近いことなどは生活をする上で便利だと思う。屋外イメージのワークスペースはリラックスできそうで創造的な仕事には好影響を与えそうだが、ハンモックに寝転んでしまったら、そこから抜けるのは勇気とエネルギーがいるかもしれない(笑)(女性/50代/夫婦二人世帯)
専業主婦からすると、一番良い部屋を自分が全く立ち入る事が出来ないので不満。(女性/40代/親+子世帯)
主婦目線での感想です。仕事スペースがはっきり区切られていて仕事に集中できそうですけど、ここまで完全に居室と分けないと仕事できないなら職場に行って欲しい。 あと、これは経験談ですが、6畳のリビングにこの通りにテレビと椅子を設置すると距離が近過ぎて見るのが辛いと思います。(女性/40代/夫婦二人世帯)
芝生のようなワークスペースは魅力的。週末はベランピングみたいな事もできるし。 でも、ワークスペースへ行くのに、キッチンを通らなければならないところが嫌です。 仕事中にトイレへ行くときも、キッチンを通る。1人は仕事で1人は家事をしていたら、通ってほしくない。(女性/30代/夫婦二人世帯)
ハンモックや芝生は休憩というイメージが強い。テレワークで活動量が減っているのに休憩と仕事が同じ空間でうごかなくなりそう、かつ家族と切り離されていてあまり共感を感じませんでした。(女性/40代/親+子世帯)
コメント
共感度が一番高かったのがAプランでした。「非常に共感できる」と「共感できる」を合わせて61%でした。
共感できるご意見としては、テレワークスペースが独立しているので切り替えがしやすいということや、芝生を眺めながら休めるなどのご意見をいただきました。芝生にするのがいいのかは意見が分かれていました。離れを楽むか、実用的にするかによって使い方が変わりそうです。
[Bプラン]⽞関⼟間で繋がるワークスペースと⽞関が宅配BOXになる暮らし
玄関が宅配ボックスを兼ねています。宅配ボックスがない場合、置き配になることがあると思いますが、セキュリティが心配です。玄関と居室との間に鍵をしておくことで、玄関をその置き場として活用することができるかもしれません。あるいはワンタイムパスワードを使ったデジタルキーを玄関ドアにセッティングすることも考えられるでしょう。
ここでは玄関から土間が続くワークスペースを設けています。仕事の来客に対応することもできますし、広い土間であれば自転車を置いたり、アウトドア用品を置いたりすることもできそうです。
[Bプラン]の共感度
[Bプラン]へのコメント
宅配ボックス!団地でも実現できるのはうれしいです。(女性/40代/夫婦二人世帯)
玄関を宅配ボックスにしてしまう案がとてもいいです。セキュリティ対策面もすごく今風だなと思いました。土間をワークススペースにすることでプライベート空間を通さず仕事の来客対応ができるのも魅力的ですし、靴を履いた状態だと仕事モードに入りやすそうだなとも感じました。(女性/30代/親+子世帯)
キッチンが隣なので飲み物やおやつの差し入れがしやすいし、お手洗いにもリビングを通らずに行けたりと仕事モードを保ったまま勤務時間を過ごせそう。(女性/30代/親+子世帯)
感染対策で、インターネットでの買い物が増えているので、荷物を受け取りやすい配慮に魅力を感じます。(女性/40代/夫婦二人世帯)
玄関からワークスペースまでの動線が独立しているので、来客の多い自営業やフリーランスの人には最適な間取りだと思います。また、荷物の受け取りもすぐに対応できる場所なので、非常に魅力的な間取りです。(男性/50代/親+子世帯)
「玄関が宅配BOXになる」!!この発想斬新かつありがたいです。ぜひ! 施錠は後者の「ワンタイムパスワード方式」があり、かつ玄関側にも1枚通常のドアが欲しいです。玄関面積が半分になったとしても。その先は鍵が要らないように(自転車をしまうとすると、ちょっと不便かもしれませんが)。寝室からトイレが遠いなー!て思いました。特に冬場、夜間に1度はトイレに起きると思われるので(そうならないのは30代夫婦まで、40代に入ると避けられない)。洗濯場と干しスペースが独立しているのはステキ!!ですが洗面所からけっこう遠く、脱いだ物をどうしよう?て思います。洗面所にカゴ置いて溜めるのも何だか嫌だし、都度お風呂の後にカゴを洗濯場に持って行くか、さてどうしようか。(女性/40代/夫婦二人世帯)
フリーで仕事をするにはいいと思います。 家に人を上げずに自宅で打ち合わせできるのがいいです。玄関を宅配ボックスにするアイデアも面白いと思いました。(女性/40代/夫婦二人世帯)
これからの生活スタイルとして宅配ボックスがあるのはすごく安心です。 玄関近くのワークスペースに手洗いがあるのもとてもいいと思いました。(女性/40代/単身世帯)
海外のように二重ドアにすることで安全性は保てると思う。家という日常の空間と仕事が区切れて共感できるプラン。(女性/50代/夫婦二人世帯)
将来的に物置となったとしても活用しやすそう。(男性/30代/夫婦二人世帯)
広い土間は活用色々できそうでわくわくします。うちは、仕切りをつけ物置にしちゃっていますが、立って仕事(スタンディングデスク、タッチアップデスク)とかありかもしれません。冬は寒そうですが。(女性/40代/親+子世帯)
家族のプライベートゾーンが奥まって確保されるのでよい。仕事しながら来客対応できるのもよい。土間で靴を履くと、仕事場感が増すかもと思うが、冬場は冷えそうな気がするのが心配。(女性/50代/その他)
土間が広いのはいいと思う。土間にワークスペースがあるのも、来客があるような仕事の人は良いかも。でも、洗濯室内干しルームへ行く家事動線を土間(ワークスペース)で区切られているのは家事がしにくいと思う。寝室にも、土間かバルコニーを通らないと行けないのは気になる。お風呂入ってサッパリしたのに、外バルコニーか靴を履く土間を通るなんてちょっとね。(女性/30代/夫婦二人世帯)
テレワークの普及が進み、打ち合わせなど仕事の来客が少なくなってきているので、玄関とワークスペースが近い必要が無いと感じる。また、土足のワークスペースとキッチンが近いことも衛生面が気になる。ワークスペースに玄関の収納を足すこともできるが、それでも玄関が狭いと感じる。(女性/20代/親+子世帯)
玄関を宅配ボックスとして使うのはスペースの無駄が大きい。在宅勤務であれば外出は少なく、宅配ボックス自体を使う頻度は下がる。(男性/30代/その他)
コメント
「非常に共感できる」と「共感できる」を合わせて50%でした。
共感できるご意見としては、宅配ボックス兼用玄関は宅配物を外に置かれないことによるメリットなどで全体的に支持をいただきました。また、土間アトリエは自営業向きというご意見をいただきました。共感できないご意見としては、寝室1へ行く動線は、アトリエを通らないといけないというご指摘がありました。土間については便利、寒さ対策が心配などご意見が分かれました。土間での過ごし方は工夫が必要かもしれません。
[Cプラン]壁⼀⾯本棚の専⽤ワークスペースがある暮らし
壁が多く、陽が強く入らないスペースを利用して本棚を一面に並べました。仕事の資料の置場が確保できます。また、OFFのときには、読書したり、一人こもれるスペースとして活用することもできそうです。明るすぎないスペースなので、絵をかくような仕事につかうアトリエにも向いているかもしれません。
[Cプラン]の共感度
[Cプラン]へのコメント
読書好きの者もしては、オンオフどちらでも使えるスペースは魅力的です。ただ、リラックスタイムが増えそうな気がします。(女性/40代/親+子世帯)
ここに本を集めたら、他の部屋もスッキリ片付きそうでいい。納戸とワークスペースの機能を兼ね備えてる感じ。(女性/30代/親+子世帯)
隠れ家のような空間が良いです。(女性/40代/単身世帯)
仕事の書類やプリンターなどの場所確保が必須なので、本棚がたくさんある環境は最適だと思う。また、仕事の電話やテレビ会議もあるので、リビングにいる家族から物理的に離れている部屋というのも良い点だと思う。(女性/30代/夫婦二人世帯)
仕事に集中するときは、ある程度閉ざされた環境の方がよい。休憩時に日当たりのよいところに自分のタイミングで出ることができるので、メリハリがつく(職場で固定であれば、窓のない空間は共感できないが、家では別)。(女性/40代/夫婦二人世帯)
自分の家にするならこのタイプが使いやすそう。壁が多く資料が沢山置けるのは魅力的。また家族が寛いでいるスペースとも距離があるので落ち着いて仕事ができそう(女性/40代/夫婦二人世帯)
本や資料をたくさん必要とするので、壁一面が棚になっていたら便利だと思う。読書が趣味なので、仕事だけではない本を並べて自分の好きな空間を作れそう。(女性/40代/親+子世帯)
陽当たりの良くない部屋を図書スペースにするのはとてもいいと思います。現在は、ものを増やさないために本も買わないようにしていますが、本当はこういったスペースがほしいです。壁一面の本棚とか、憧れます。(女性/40代/夫婦二人世帯)
図書館好きの自分としては、図書スペース魅力的!でも、寝室への通路になっているので、こもれるスペースとは言い難いかな。(女性/30代/親+子世帯)
この感じの仕事部屋はすごく集中できます。私の仕事部屋も今はこれに似ています。10年以上リモートで仕事をしてきた実感です。ただ、寝室からトイレ浴室が遠いのがやっぱり気になります。(女性/40代/親+子世帯)
ワークスペースかバルコニーを経由しないと寝室に行けない。ワークスペース経由はオンオフの切り替えに悪いし、バルコニー経由は不審者みたい。(女性/30代/親+子世帯)
1人暮らしならいいと思う。 複数人で暮らすなら、洗濯室内干しルームへ行くのにワークスペースを通らなきゃいけないのは困る。 寝室へのアクセスもワークスペースで区切られてるので、ここにこもられたら寝室へはバルコニーから行くしかなくなる。(女性/30代/夫婦二人世帯)
ワークスペースを誰が使うのかによる。家事動線を考えると洗濯物等のときにワークスペースを毎回通るのは誰かが使用中だと通りづらいし、ワークスペースを利用してる人も集中しにくいと思う。ワークスペースという空間自体を設けるのは賛成(女性/30代/親+子世帯)
コメント
「非常に共感できる」と「共感できる」を合わせて55%でした。
共感できるご意見としては、資料がまとめられるなどテレワークとして理想的というご意見や、研究職の在宅勤務に向いているなどのご意見をいただきました。共感できないご意見としては、寝室への動線が1つしかなくワークスペースを通らないといけないというご指摘がありました。本や資料置き場をどうするかは課題をお持ちの方が多いようです。
[Dプラン]ふすまの開け閉めでON・OFFできる押入ワークスペースのある暮らし
部屋一室を専用ワークスペースにするのではなく、リビングダイニングや寝室の押入を利用してワークスペースをつくりました。畳一枚分の広さが逆にちょうどよい、仕事に集中できる空間となりそうです。また押入をワークスペースとしたことで、ふすまの開け閉めで、仕事とプライベートをON・OFFすることができます。プライベート空間のなかでテレワークを行う生活において、仕事と日常を上手に切り替えられる暮らしができそうです。
[Dプラン]の共感度
[Dプラン]へのコメント
この発想は自分にはなかったのでビックリしたが、意外とこういう方が仕事に集中出来て良いのかも!友達を呼んだりする場合もこの間取りならダイニングやリビングでくつろいでもらえるし寝室は見られずに済んで良い。(女性/40代/親+子世帯)
浴室と洗濯機が離れているので、洗濯がし難いように思いますがクローゼットが隣に直結しているのですぐにしまえて良い。ワークスペースも2箇所あり、集中してやりたい時とそうでもない時とで使い分けられるのもとても良いと思います。(女性/30代/親+子世帯)
個人的にはこの狭さが魅力的。 とても集中できそう。会議があっても部屋の綺麗さを気にせず済みそう(女性/40代/親+子世帯)
夫と2人でテレワークする事も多く、全く違う業種で棲み分けが必要と感じている。 ワークスペースが二箇所あるのはとても魅力です。(女性/40代/親+子世帯)
本当にこもって仕事する時だけのスペースはこれくらいの広さで良い。他の家族のスペースを占領しないでほしいから。(女性/40代/親+子世帯)
他のプランは収納が少ないので広いWICは良い。仕事をしている時はプライベートのパートナーがいると集中しづらいので別々になっていてフスマを閉めると仕事感が見えなくなるのも良い。一番理想的。(女性/30代/親+子世帯)
夫婦二人が在宅している場合は、それぞれの距離が離れていて、自分の仕事に集中できるのがいい。ワークスペースはデスク一つ分あればOKという人であればこの広さで十分だと思う。(女性/40代/親+子世帯)
オンオフを押し入れの明け閉めでつけるのは非常に良いと思います。普段はダイニングで人の雰囲気を感じながら、電話会議や集中力を要する作業は寝室、とシーンに合わせて場所を選べるのもよい。(女性/40代/親+子世帯)
押入れワークスペースというアイディアは自宅でも取り入れていて、狭小住宅ではうまくスペースを活用したやり方だと思います。男は特にこういった秘密基地的なものが非常に好きだと思います。(男性/30代/単身世帯)
お子さんがいらっしゃる親御さんや、両親ともに在宅ワークのご家庭にはよさそうですね。ただ、1日の大半を仕事に費やす平日等に、ずっと押し入れは厳しそうです。(女性/30代/夫婦二人世帯)
インターネットカフェの個室のようですね。ノートPC1台で仕事ができる、まさにテレワーク向きですね。少し窮屈さを感じるかも。(女性/40代/単身世帯)
快適な作業環境とはとてもいえない。たまの持ち帰り仕事程度ならこれでもいいけど、テレワークでこの窮屈感は気が滅入る。(女性/40代/親+子世帯)
自営業やフリーランスの人よりは、会社勤めの人がテレワークする形態の人向けのスペースだと思います。リビングダイニングの押入れを利用すると、家事や子育てをしている人向けになるのではないでしょうか。寝室の押入れを利用すると、夏季はどうしても襖を開ける必要があり、ON/OFFの切り替えは難しいのではないでしょうか。(男性/50代/親+子世帯)
コメント
「非常に共感できる」と「共感できる」を合わせて48%でした。
共感できるご意見としては、別々に仕事のできる場所があるや気分や状況に合わせて場所を変えられるというご意見がありました。共感できないご意見としては、窮屈に感じる、寝室の隣はメリハリがなくなるというご意見がありました。コンパクトなスペースが籠れるから良いということと、狭いというご意見がわかれました。ワークスタイルによって使い方に工夫が必要そうです。
まとめ
コロナ禍で、働き方が変わりそうです。限られたスペースの中で効率的かつ魅力的な住まいにすることを考えてみました。今後は、住まいで必要とされることに「働く」という機能が追加されるかもしれません。また、外出しにくい状況が続けば、「楽しむ」という機能も考えていく必要がありそうです。家づくりについてさらにみなさんと一緒に考えていきたいと思います。
今回も、たくさんのご意見をいただきありがとうございました。いただいたご意見を今後の暮らし方の研究に生かしていきたいと思います。