東豊中第2団地 Aさんの家
MUJI×UR団地リノベーション | 2014.9.19
お二人は当初、少し広めの賃貸物件をさがしていましたが、Aさんが通勤中、電車から偶然MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトの広告を目にして興味を持ったとのこと。さっそく団地を見学に訪れ、その環境の良さに魅せられてしまったそうです。
千里青山台団地と東豊中第2団地の部屋を見学し、最終的な決め手となったのは、なんといっても部屋からの眺望の良さ。昼間の景色も良いけれど夜景も最高。飛行機が離着陸する様子を見るのがお気に入りというお二人。図書館やバス停が近いこともプラスだったようです。
Aさんのお仕事はプロダクトデザイナー。部屋には、選び抜かれた物がバランス良く配置されています。さりげなく置かれた空きビンやコルク、所々に置かれた植物も過度に装飾的ではなく、自然な佇まい。
「普通の賃貸マンションに住んでいたら、こんな感じにはならなかったと思います。この部屋だからこそ見せる収納や、物の配置を考えることができたと思います」というAさん。確かに、収納の収まりの良さは秀逸で、考え抜かれた様子が窺えます。押し入れの中の引き出しやクリアケースなどは、サイズの合う物を探すのに大変ご苦労されたのですが、自分たちの暮らしに合わせていろいろ考えるのが面白かったそうです。
Aさんは一つ物を買ったら一つ捨てるというルールを徹底しています。それは前回訪れた泉北茶山台のTさんとも共通するところで、部屋を奇麗に保つ秘訣のようです。
「モノが多いのでモデルハウスのような部屋にするのは無理。だから自分たちなりに工夫して、気持ちよく過ごせる空間作りをしました」。
キッチンの使い心地はいかがでしょうか?
「備え付けのテーブルが作業台として役立っています。高さもちょうど良い」(Kさん)。2口のコンロは、大きなお鍋などを置くには少し窮屈だけど、今のところそれほど不便はないとのこと。洗い終わった食器はステンレスのバットへ。余計な物が何一つ無いのはここも一緒。炊飯器は使わず琺瑯のお鍋でご飯を炊いているそうです。「お鍋の方が早く炊けるし美味しいですよ」とKさん。丁寧に使い込まれた調理器具やエスプレッソメーカーなどはオブジェのような存在感。
窓に面したキッチンは、明るくて眺めがよく、立つととにかく気持ちが良い場所でした。
洗濯機置き場がキッチンの横にあるのは、洗面室にあるよりもジメジメしなくて良いと肯定的。部屋の掃除は2本の帚(ほうき)のみというから、お二人の物を持たない暮らしぶりは徹底しています。玄関には下駄箱が無く、靴は靴箱に収納。
寝室の麻畳は「気持ちいい」と高評価。ベッド脇に置かれているスツールはAさんの卒業制作で、竹を粉砕して加工したものだそうです。これは、床材の「麦わらパネル」をつくる際の考え方と似ているということで、MUJI×URの設計担当者とも意気投合。
あえて室内の配線が見えるようになっていたり、「つくり込みすぎない」というコンセプトは、Aさんがデザイナーとしても共感する部分。すでにあるものを大切にしつつも、そこに新しさを加えて長く使えるようにするというところに価値を見いだしていただいているようです。
エアコンは大型のものを一台だけ設置し、ふすまを開け放して、サーキュレーターで家中に空気を送っています。ただ、風通しが良いのでエアコンをつける時間も多くはなく、以前住んでいたマンションよりも冷暖房費はさがっているそうです。
部屋の中を見渡すと照明が少ないことに気づきます。ダイニングに1つ小さな照明を買い足した程度で充分とのこと。逆に室内が暗いので外の夜景がとても綺麗に見えるそうです。
強いてこの部屋の難点をあげるとしたら、背の高いAさんは、よく欄間(らんま)や鴨居(かもい)に頭をぶつけてしまうこと。「最近は慣れてきたので、あまりぶつけなくなりました(笑)」(Aさん)。
以前から無印良品が好きで、よく利用しているというAさんとKさん。でも、一見したところ室内にそれほど無印良品の物が多く見えないのは、上手く暮らしの中に溶け込んでいるからなのでしょう。洗練されていながら、緩やかで心地よい空間は、お二人の人柄そのものといった感じです。
キッチンの換気扇に貼られたイラストが気になり、尋ねてみると、Kさんが旅行の前に描いた「着る服と持って行くもの」だとか。「小学生の頃から、明日着ていく服のコーディーネートを絵に描いていた」というKさん。この家の統一感や雰囲気作りにはKさんのセンスが大いに役立っていることも感じました。配線の間の絶妙な位置に貼られたピカソの自画像が、クールな室内に馴染んでいて印象的でした。
<基本データ>
<入居者より>
■ 満足しているところは?
「団地の共用空間の花壇や緑が好きです。昔からここに住んでいる方達の心遣いを感じます」(Kさん)
「ところどころにベンチがあるので、散歩がてらそこで朝食を食べたりしたいなと思います」(Aさん)
「食べること、飲むことに関する遊びができる、楽しい家です」(お二人)。
■ひとこと
「階段で毎日5階まで上がるのは辛いかなと思いましたが、慣れると全然平気。むしろ、この眺望にメリットを感じています」(Aさん)
MUJI×UR Plan 07 [Re+007]「東豊中第2団地」(大阪府豊中市)/47.54m²