木の家 No.80
「また来てもいいですか?」と言われると嬉しくなります
木の家 | 2015.5.5
愛知県田原市、三河田原駅から三河湾を右手に見ながら渥美半島を車で走ること約30分、住宅街に建つ木の家O邸。以前はよくサーフィンや釣りに出かけていたというご主人ですが、最近の趣味は庭いじり。
「食事することを忘れて没頭してしまうこともあります。将来は植物園のような庭にしたいんです」と語るように、室内外に一見ランダムに置かれた植物は、陽のあたり具合などを考えて入念に配置されています。
Oさんは、もともとインテリアに関心があり、雑誌などを見ては頭の中にイメージをストックしていたのだとか。「いつかは家を持ちたいと思っていましたが、新築購入は予算的にも難しそう。それなら中古の物件を探して、リノベーションするのが良いかなと考えていました」と話します。
「当時は家族4人アパートで暮らしていましたが、耐震強度に対する不安などがあり、なるべく早く安心できる住まいに引っ越したいなと思っていました」という奥様。
「ある日、キッチンで洗い物をしながら、隣にいた主人に『家建てない?』と聞いてみたんです。そうしたら、思いがけず『いいよ』という返事が返ってきました」(奥様)。
「でも根っこが生えて、海外旅行に行ったりできなくなっちゃいそうだね」と続けたご主人ですが、いま振り返ると、このときの何気ない会話から家づくりがスタートしたようです。
「当初は中古物件なども検討しましたが、なかなか都合の良い物件は見つかりませんでした。そんなときに頭に浮かんできたのが無印良品の家でした。以前、モデルハウスの前を車で通ったことがあり、銀色のクールな外観が印象に残っていました」(ご主人)。
早速、買い物のついでに近くのモデルハウス(浜松店)を見学することにしたOさんご夫妻。「第一印象で、これだと思いました。この開放感は他にない。以前雑誌で見たヨーロッパの住宅で、倉庫の中をパーテーションで区切って暮らすようなイメージが頭をよぎりました」というご主人。
奥様は「ただデザインが格好良いだけではなく、すべてにちゃんと意味がある、生活することと辻褄の合っている家だなと感じました」といいます。
「主人が相当気に入っている様子が、隣にいて伝わってきました(笑)」(奥様)。
家は気に入ったものの、不安だったのは資金のこと。
「費用を計算してみると、やっぱり結構かかる。住宅を購入することで生活を楽しめなくなったら意味が無いと思いました」(ご主人)。
「あのとき主人が『家を建てることはリスキーだぜ』と言ったのを覚えています(笑)」(奥様)。
「最終的には妻の実家からの援助に助けられました。資金はすべて自力でまかなうつもりでいたのですが、義父が家を持つことに賛成してくれて」(ご主人)。
「父は普段から家族思いの夫に惚れ込んでいたので、後押ししてくれました。でも無印良品の家のことは知らず、少し不安そうでしたけど(笑)」(奥様)。
「土地は自分たちの足で何か所も見て回りました。結局、一番近所の土地に決めたのですが、近くに住むおばあちゃんが『ここはええよ、おいで』と言ってくれたのが決め手でした」(奥様)。
「プランニングは慎重にしました。入居者宅見学会へも足を運び、先に建てた方の話を聞きました。その中で、例えば、濃い色の床はホコリが目立つとか、床暖房を入れると良いという意見は参考になりました」というご主人、「プランを考えていたのがちょうど真夏だったので、冬のことをイメージするのが大変でした」とも。
O邸の間取りは、1階にリビングダイニング、キッチン、水まわり。2階は寝室とお子様たちのスペース、ご主人の作業部屋があります。
「広いリビングにスケルトン階段は必ず実現したかったところです。玄関土間はDIYをするのに最適で、いま使っているダイニングテーブルも材料を買ってきてここで作りました」(ご主人)。
「土地の広さに対して家は小さめですが、このくらい控えめな方が良いかなと。ローンの返済も負担にならないように、入念に計画しました」と奥様。
「家ができていく過程はワクワクしましたね。一日に3回くらい見に来たこともあります(笑)」(ご主人)。
「近所の人は、頑丈そうな基礎に驚いていました」(奥様)。
「完成した家はイメージ通り。室内に入る光の感じがちょうど良く、植物もよく育っています」(ご主人)。
「床暖房を入れたのは正解でした。冬はエアコンの温度設定を23℃くらいにして、一枚上に着ると快適に過ごせます。夏は28℃くらいに設定してシーリングファンを併用しています。部屋の中の湿度が保たれているせいか、風邪を引かなくなりました」(奥様)。
「この家で暮らしはじめて、掃除をよくするようになりました」というのはご主人。「お風呂やシンクも掃除が楽。15分くらいでだいたい奇麗になります」(ご主人)。
「暮らし方に関しては、以前から家族が一部屋に集まっていることが多かったので、大きな変化はないですね。その点、子どもたちにとって負担がなくて良かったのかもしれません」(奥様)。
奥様は「子どもの友達が家に来ると、リビングでのびのびと遊んでいます。『また来てもいいですか?』と言われると嬉しくなります」とにこやかに語ってくれました。