木の家 No.55
欲しかったのはシンプルな箱でした
木の家 | 2012.5.29
「家を建てるのはまだ早いのでは?」と、当初は親族から心配の声もあったというIさんご夫妻の家づくり。そんな周囲の心配をよそに完成した「木の家」は綿密に考えられた満足度の高い家でした。
「私は独身の頃から家が欲しくて、一人でモデルハウスを見て回ったこともありました」という奥様。
「早く家を持って、そこでの生活を長く楽しみたいと思っていたんです。私より先に結婚をして家を建てた友人の家に遊びに行ったときには、自分自身の家づくりの参考にと、しっかりと情報収集をしていました」。
そんな熱心な奥様とは対照的に「特に家へのこだわりは無かったですねぇ…」と語るのはご主人。家づくりに対してはかなり温度差のあったご夫婦は、奥様がリードして行く形で進んでいきました。
「はじめはいろいろなハウスメーカーを回っていたのですが、押しの強い営業に疲れてしまいました」(お二人)。
そんなときに何となく足を運んだ「無印良品の家」の入居者宅見学会で大きく意識が変わったといいます。
「いちばんは担当者の接し方に好感がもてました。しつこい感じが無くて、こちらからの質問には丁寧に答えてくれました。担当者から『今の時代、どこのメーカーも良い家をつくっています。その中で、自分たちにとって何が重要かを考えて選ぶと良いですよ』というアドバイスをもらい目から鱗が落ちる思いでした」と奥様。
「そして、自分が住宅に求めるものをよく考えたところ” シンプルな箱” だということが分かりました。その中に自分の好きなモノを飾っていくという暮らし方をしたかった。そういう意味でも『無印良品の家』はピッタリでした」(奥様)。
一方ご主人は、「白を基調としたシンプルなデザインが気に入りました。あとは担当者の人柄。直感的にこの人なら任せても” 大丈夫だな” と感じました」。
こうしてIさんご夫妻の気持ちは固まって行きますが、いくつか解決しなければならない問題もありました。
「土地探しに関しては、なかなか希望に合うところが見つからずに苦労しました」というIさん。最終的にご主人の実家が所有する田んぼの一角を利用して建てることになりました。「今考えると、周囲に家が建ち景色が変わってしまう心配もなくて良かったですね」(ご主人)
「はじめ、私たちの両親は家を建てることに賛成ではありませんでした。資金の心配や、もともと田んぼだった土地に家を建てることに対する地盤の不安など…。それで一度、家族全員がモデルハウスに集まって担当者から、住宅ローンのこと、土地の地盤のこと、建物の構造のことなどについて話をしてもらいました。ひとつひとつ不安が解決し、その後は誰も反対しなくなりましたね」。
「間取りに関しては私が提案して、主人がそれに修正を加えるようなかたちで進めて行きました」。「間取りの打ち合わせや、見学会に行くときには毎回ノートを持参して、気になる点や良かった点、家具の寸法に至るまでいろいろなことを書き留めていました」と大変勉強熱心な奥様。そのノートは今でも記念にと保存されていました。
そうして、約1年かけて計画した「木の家」が完成しました。
1階にはリビング、ダイニング、キッチンの他に、多目的に使用できる和室とご主人の書斎。「僕の唯一の希望は”自分の部屋”が欲しいということでした」というご主人。三畳ほどの部屋の中は、一人掛けのローソファを囲むようにテレビやパソコン、本などが配置され、まさにプライベート空間という感じです。「家にいるときの7割くらいの時間はここで過ごします」(ご主人)。「私はこの部屋のものは触りません。掃除にも入らないんです(笑)」(奥様)。
和室は来客のときや、将来子供が大きくなったときの遊び場として用意したとのこと。
そして一番のこだわりは、考え抜かれた家事動線。中でも特徴的なのが、洗面と浴室の水まわりをあえて2階にしたこと。
「洗濯をして、干して、たたんで、収納するまですべて2階だけで完結できるように考えました」。「1階に洗濯物を干すことが無いので美観も保てます」(奥様)。
「この家を建ててから生活が変わりました。今までテレビを良く見ていたのですが、今は音楽を聴く時間が増えました。家のどこで家事をしていてもよく聞こえて心地よいです」と奥様。
「友人や家族からも好評です。とくに吹き抜けとウッドデッキの気持ち良さは皆感心しますね」(お二人)。
そんなIさんのお住まい、シンプルながらも所々に自分の好きな小物や花などを飾るという暮らし方を実現していました。