木の家 No.38

「木の家」は未完成の家。だけど理にかなっている

木の家 | 2010.10.26

「ぼくら自身まだ未完成なんですよ。将来家族が増えるかもしれないし、夫婦で新しい趣味を始めるかもしれない。この先、家族の形がどう変わるのか分からないのに、住宅展示場で見た家はどれも完成されていた」。Tさん夫婦は、家の購入を考え始めた当初は、集合住宅でも良いと考えていました。
住宅展示場の家には魅力を感じなかったけれど、とりあえず期待はしないで「無印良品の家」のモデルハウスを見学に行き、その考え方は一変してしまいます。「これしかないね。土地は何とかなる」とすぐに二人で話し合ったそうです。

「『木の家』は未完成の家。だけど理にかなっている。変えられる余裕があると思った」とご主人。もともと家族の空気とか温度を感じられる方が良いなと思っていたという奥様は、「他にそんなに家は見ていないけれど、私たちにとってこれ以上の理想的な家はないのでは。と思いました」。
「ホントはモデルハウスごと買いたかったよね。あのまんまで」(ご主人)。
「それはちょっと……。やっぱりうちの方が良いです」(奥様)。

■建物概要
ご住所:香川県高松市
竣工年月:2010年4月
延床面積:116.76㎡(35.31坪)
■ご家族構成
ご夫婦

夫婦ともに気に入ったという「木の家」で、特に共感できたところはどこでしょうか。
「マンションでは実現しえない空間の使い方。そして自由に使いこなせるところが魅力的ですね」(奥様)。
「何LDKの数字の多さで住宅の価値を比較するのではなく、空間を大胆に、贅沢に使えるのがいい」(ご主人)。
二人ともSE構法で実現できた大きな一室空間を自由に使う考え方に惹かれた様子です。
「家建てました。2LDKです。予算が足りなくて壁を立てられなかった。と冗談を言うのですが、建築に理解のある人は、吹き抜けのあるこの大空間を実現する大変さを分かっている」(ご主人)。
2階は仕切りがいっさいなく、ワンルームとしてまさに大胆に活用しています。
「これだけの大きなスペース、普通の家では見たことないですよね」と奥様。

実際に暮らしてみて感じた長所は、大きな開口部。「とにかく明るいのと、風が通るので自然のなかで生活している感覚になる。室内で季節の変化も感じられる。大きな庇も日本の気候風土に合わせて機能的によく考えられていることがわかりました。ここで暮らすまでは『木の家』を外観と構造でしか見ていなかった。でも生活してみると中もとても合理的にできていて、ますます好きになりました」(奥様)。
「空間がシンプルである分、家具や雑貨で遊ぶことができる。空間を自分たちに合わせることができるのがいい」(ご主人)。1階に設えられた畳敷きの部屋も見事に調和しています。「昔は和室なんて、って言ってましたけどね」とご主人。「私も和室なんてって思ってましたけど……実家は和室の続き間があって居心地がいいんですよ。やっぱり日本人だなって」(奥様)。最終的には「やっぱり和室欲しいよね」と意見が一致。「パンばかりではなくお米も食べたくなるんですよ(笑)」(ご主人)。
ここからどんな新しい暮らしが生まれてくるのかとても楽しみなTさんの「木の家」でした。

※掲載写真は取材時のものであり、現在はご採用いただけない仕様もございます