木の家 No.21
街並みの向こうに沈む夕日が楽しめるサンセットハウス
木の家 | 2009.2.3
西側に設けたリビングの大開口からは、隣家の大きな柳の緑越しに、新大阪駅を発着する新幹線の高架線が見渡せます。深い緑色の外観。S邸のオレンジ色のドアを開けると、白く塗装した構造柱とシカモア材フローリングを合わせた明るい室内が印象的です。
Sさん夫婦の新居の計画は3年前の秋にさかのぼります。「家づくりの情報は、メーカーから建築家まで間口を広げインターネットで集めました。その中で無印良品に家があることを知ったんです」とSさん。どこに家づくりをお願いするか。奥様は「住宅を専門に手掛ける大手のほうが安心できる」と信頼感を重視。そこでメーカー数社に絞り込みスタートしました。「無印良品は雑貨のイメージがあり、家づくりは大丈夫かなと思いましたが、調べると専門知識を持ったアドバイザーもいて、性能や保証もしっかりしていることが分かりました」。ちなみにSさんは無印良品ファンというわけではなく「『木の家』は”無印良品”の家というよりも、”プロダクト”として面白い」と思っていたそうです。
Sさんが比較して、無印良品の家に決めた理由の一つは価格の明快さ。「他社との決定的な違いは、無印良品の家は価格を分かりやすく提示していること。無印良品の家は見積もりが明瞭で金額と仕様や設備がちゃんとリンクしていました。また、他社は契約優先で基本的な家づくりの話ができなかったことも不満でした。その点、無印良品の家の対応や進め方には好感が持てました」とSさん。敷地は南と東側に3階建ての住宅が建ち、西に面して開いていました。「この敷地で、間取りを含めて、どこからどういう景色が見えるか。眺望、採光と通風については一生懸命考えました」。西側の窓からは街並の向こうに沈む夕日が楽しめます。命名サンセットハウス。「でも仕事が忙しいので夕方の家はまだ満喫できていないですね」。
さて、完成した「木の家」の感想はいかがでしょうか。「キッチンもお風呂も部屋も、無駄がないのですべてが使いやすい。もともと掃除好きでしたがより掃除が好きになった」と奥様。Sさんは「デザインは気に入っていますが、最高というわけではない。でもレベルが揃っている。際立った個所はないけれど、だからこそ、私たちの食器や花器の個性でうまく暮らしをつくる楽しみがある。無印良品の家にはライブハウスをつくってもらった感じ。演奏するのは自分たち」。「値段などで妥協するなら買わないでおこう。安いから買うのは止めよう」がSさん夫婦のモノ選びの眼差し。完成したのはあくまで容れ物で、これから時間をかけて本当の住まいが築かれていくのだと思いました。