木の家 No.22
中庭を通して伝わる親子の気配。シアタールームのある二世帯住宅
木の家 | 2009.1.20
施主のIさんは生活雑貨を手掛ける工業デザイナー。母親と暮らす二世帯住宅を考えるようになって、Iさんは理想の住まいを具体的に思い描いていました。「自分のプランがぴったり当てはまる家は、どんな家なんだろう。そんな視点で情報を探していました。それで、無印良品の家のほかメーカー数社に提案をお願いしたんです」。それがIさんの家づくりの始まりでした。
「敷地は限られているし、大きな空間を自分たちの使い勝手に合わせて仕切って使いたいと考えていました。容れ物があれば、あとは私たちでアレンジできる。その希望を伝えても、住宅メーカーの提案は○○部屋と既に用途が決められている部屋と収納が中心のプランで、そういう完成された間取りに違和感があった自分たちにとってはなかなか納得できなかった」。例えば最初は子供部屋として計画しても、子供が独立すると物置になってしまう家は多い。「でも無印良品の家は暮らしに合わせて使い勝手を自由に変えられる。余計なモノは付けない良さを価値観として提案してくれた。無印良品の家の担当者とは感覚が近く、どんどん良い方向に向かう感じがしたんです。無印良品の家は設計や設備の選定の自由度も高かった」と振り返るIさん夫妻。「家らしいイメージも大事にしたかったので、間取り優先でいびつな外観になるのも嫌でした」と、シンプルな木の家の外観も気に入っているそうです。
さて、息子夫婦が建てた「木の家」を初めて見た時のお母様の感想を伺ってみると、「第一印象は倉庫みたいだと思いました。こんな外装は思いもつかなくて違和感はありましたね」と戸惑いは否めなかったようです。でも実際に暮らしてみると、「前に住んでいた家はとても寒くて、高齢者には大きな家は手がかかって大変。『木の家』は暖房を入れるとすぐに温かくなりますし、コンパクトで使いやすいです」と高い快適性に納得。一方、奥様は対面キッチンの良さを実感。「マンションで暮らしていた頃は、キッチンでは家族に背中を向けて料理しなければならなかったのですが、新居では食卓やリビングの様子を見ながら料理ができる。背後の収納を引き戸で隠せるのも良いですね」。
二世帯住宅の計画については、お母様にもアイデアがありました。「全部を別々にするなら同居する意味はないですよね。でも、同居するならキッチンとお風呂と玄関は別々が良いというのが私の提案でした」。そのためI邸では水回りや光熱費は親子別々ですが、「中庭を通してお互いの様子が分かるのがこの家の良さ。この家には『木の家』の特長である吹き抜けはありませんが、中庭がこの家の吹き抜けなんです」とIさん。吹き抜けを介して家族の雰囲気が伝わる「木の家」は、二世帯住宅にも適っていると言えそうです。