「自分の部屋がほしい」から始まった、10年目の間取り変更実例から考える“変えられる”暮らし
住まいのかたち | 2026.9.1
家を建てるとき、10年後の暮らしをはっきり想像することは、なかなか難しいものです。
子どもが小さいうちは、家族みんなで同じ空間を使うことが自然だったり、遊ぶ場所と収納の場所がゆるやかにつながっていたりします。しかし年月が経つにつれて、子どもは少しずつ自分の持ちものや、自分だけの場所を必要とするようになります。
「間取りを変える」と聞くと、壁を壊したり、何日も工事が入ったりするイメージを持つ方が多いかもしれません。しかし、無印良品の家では、その方法が大きく異なります。
本コラムでは、10年間暮らしてきたS様邸が、お子さまの成長をきっかけに間取りを見直した実例をご紹介します。
暮らしの変化に対応する可変性
無印良品の家では、大きな空間を自由に仕切ることで、暮らしの変化に柔軟に対応する可変性を備えています。間取りと収納は、暮らしとともに変化するもの。住まい手は、収納家具や建具で一室空間を自在に仕切り、さまざまな用途に対応させながら間取りを組み換えて暮らすことができます。基本の天井高が統一されているため、建具はレールさえあれば、1階、2階のどこにでも使用することが可能です。大きなリフォーム工事なしで柔軟に暮らしの変化に対応できることが、「無印良品の家」が永く使える理由なのです。

事例|「木の家」オーナーS様の場合
千葉県船橋市S様邸
ご夫婦+お子さま2人(現在11歳・9歳)
つくり込みすぎない家を選んだ理由
S様が家づくりを考え始めたとき、ご家族が大切にしていたのは、長く安心して暮らせることでした。
そのなかで無印良品の家に惹かれた理由のひとつが、「つくり込みすぎない自由度」でした。建てた時点で部屋の使い方を固定しすぎるのではなく、暮らし方の変化に合わせて、家具や収納を組み合わせながら使い方を変えられること。造り付けの収納を多く設けるよりも、暮らしに合わせて動かせる余白を残すことを重視していました。
当初から、将来的には子ども部屋をつくることも想定していました。また、二世帯での暮らし方や、世代の変化も含めて、家族構成が変わっても対応しやすい住まいにしたいという考えもありました。
無印良品の家の、構造と暮らしの部分を分けて考える発想は、そうした希望に合うものでした。構造はしっかりとつくりながら、内部の使い方には余白を残しておく。暮らし方は変わるものとして、家を計画していく考え方です。
収納部屋であり、子どもの遊び場だった洋室

最初のプランで大切にしたのは、家族が広く、柔軟に使えることでした。
お子さまが小さいうちは、個室を細かく分けるよりも、家族の目が届く場所で遊べることや、持ちものをまとめて収納できることが大切になります。そのため、将来的に子ども部屋になることを想定していた2つの洋室も、当初は洋室1をリビングから続くお子さまの遊び場として、洋室2を収納部屋として使われていました。

洋室1は、リビングからも目の届くお子さまの遊び場に

洋室2は、お子さまの成長に応じて増えた荷物の収納に使用
「自分の部屋がほしい」が、住まいを見直すきっかけに
約10年が経ち、住まいの使い方を見直すきっかけになったのは、お子さまの成長でした。
小学校中学年くらいになり、本人から、自分の部屋がほしいという話が出るようになりました。

無印良品の家からは、複数の家具配置案が提案されました。
A案は空間を完全に2部屋に分ける案です。個室としての独立性は高まりますが、ひとつの窓が収納によって塞がれてしまいます。
B案・C案は収納と収納の間に通路を設けることで、空間をゆるく区切りながらウォークインクローゼットをつくる案です。
提案されたプランをもとに、ご家族では家族会議を行いました。
お子さまを含めて4人で話し合うなかで、それぞれの希望も見えてきました。妹さんには、お姉さんと一緒に寝たいという気持ちがありました。一方で、お姉さんには、それぞれに自分のスペースを持ちたいという意向がありました。
完全に分ける案は、お互いのプライバシーを守ることができます。一方で、ゆるやかに分ける案は、それぞれのスペースも確保しながら、姉妹のつながりを残すことができます。現在の家族の距離感や、これからの成長を考えたときに、どこまで区切るのがよいのか。そのバランスを家族で確認していく時間になりました。
最終的には、B案で進めることに決まりました。

収納量は、今あるものを生かしながら考える
検討のなかで気になったことのひとつは、子どもにとってどのくらいの収納量が必要になるのか、まだ想像しきれない点でした。
子どもの持ちものは、年齢とともに変わっていくため、必要な収納量を最初から正確に決めることは難しいものです。
そのため、まずは今ある収納や家具を生かしながら考えることになりました。つくりつけの収納ではなく、無印良品のユニットシェルフを使用することで、必要になったら追加したり、置き方を変えたりできる余地を残しておく。ここでも、つくり込みすぎないことが、将来の変化への対応しやすさにつながっています。
「半日の作業」で、間取りを変える

いよいよ、空間の見直しを実現する段階です。無印良品の家での間取り変更は、思っているより身軽に進みます。
今回のケースでは、もともと別の場所にあった引き戸を外し、新しい間仕切り位置へ移動させる作業を行いました。
まず、既存の引き戸と上下のレールを取り外します。

外した跡はきれいに補修します
新しい間仕切り位置での作業を同時進行で進めます。壁の幅に合わせて新しい木枠を取り付け、そこに新しいレールをビス止めして、引き戸を吊り込みます。

レールがきれいに取り付けられました
今回は、建築時からこのような間取り変更を想定して設計していたため、レールを外して補修し、新しい枠をつけて扉を設置するまで、一連の作業は「半日」ほどで完了してしまいます。
仮に既存の建具を使わず、工場で製作した新しい建具を使って間仕切りを新設する他のご家庭のケースでも、大工さんや塗装屋さんなど数名の職人さんが手際よく作業を進め、基本的には「1日」で工事が終わります。
大掛かりなリフォームのために何日も生活を制限されることなく、案外身軽に空間をアップデートできる。これこそが、あらかじめ変化を想定して構造と内装を分けてつくる「スケルトン・インフィル」の発想がもたらす、無印良品の家の「可変性」なのです。

無事リビングと洋室の間に間仕切り扉が設置されました

子ども部屋は間仕切りを外してシェルフを設置

永く使える家は、変えられる家でもある
家は、建てた瞬間に完成するものではありません。子どもが成長する。持ちものが変わる。家族それぞれの過ごし方が変わる。そうした日々の変化に合わせて、住まいも少しずつかたちを変えていきます。
10年前、将来の子ども部屋として余白を残していた洋室は、収納部屋や遊び場として使われ、そして今、子どもたちのための場所へと変わろうとしています。
無印良品の家のコンセプト、「永く使える、変えられる」とは、単に丈夫で長持ちするということだけではありません。永く暮らすなかで変わっていく家族の暮らし方から、住まいのかたちを定期的に見直すこと。そして、より良い暮らしについて家族で話し合うきっかけになること。それこそが、私たちの考える「変えられる家」の役割です。



