「鎌倉の家」の間取りが決定しました

住まいのかたち | 2016.9.13

おかげさまで「2年無料で、鎌倉の『無印良品の家』に住む人募集」キャンペーンは、2016年8月31日をもって応募を締め切らせていただきました。33,002の住みたい宣言、そして最終応募数12,562組と、なんと3年前の家モニター第1弾企画「三鷹の『無印良品の家』に住む人募集」の5,533組の2倍以上の応募をいただきました。ほんとうにたくさんのご応募ありがとうございました。
ただいま、担当者がうれしい悲鳴を上げながら、みなさんの応募内容を1件1件丁寧に見させていただいています。
その審査結果が出る一足先に、いまこれをお読みいただいている皆さんのうちのどなたかに2年間住んでいただくことになる、鎌倉の「窓の家」の間取りが決定しました!ので、ここにご紹介します。


いかがでしょうか。
一見、「普通の家」に見えるかもしれませんが、実は全く「普通」ではありません。
まず、普通よりかなり「小さい」です。ここの敷地面積は126.01㎡(38.11坪)で、容積率が150%ですから、法律的には126.01×150%=189.01㎡の大きさまで建てることができるのに対して、この間取り案は、延床面積77.84㎡(23.54坪)です。なんと、許容面積の41.1%の大きさです。この小ささが、この家が普通でないことの1番目です。

もちろん、この小ささには理由があります。
建物を小さくした分、敷地に「余白」としての空間をつくることが狙いです。
こうすることで、「窓の家」のコンセプトである、お気に入りの絵のように外の光景を家の中に取り込むことのできる「窓」が活きてくるからです。
もちろん、敷地に余白・空間があることで、菜園や花壇、そして駐車場や趣味のスペースなど、家の中だけでは実現できない暮らしのかたちをつくれることもメリットとなります。

この「鎌倉の家」が普通でないことの2番目の理由は、配置計画です。
通常は、日当たりを考慮して、極力敷地の北側に寄せて家を配置するところを、この家は、家そのものを小さくした上で、敷地のほぼ中央に配置しています。つまり、敷地の余白を、南側だけに集中させるのではなく、西側にも北側にもつくっていることです。

とくに北側の駐車場とウッドデッキが特徴的ではないでしょうか。
海に歩いて行けるこの「鎌倉の家」、真夏でも直射日光の当たりにくい北側スペースは、とても重宝しそうです。このウッドデッキにシャワーを設置すれば、海から帰ったらまずここで自分たちやペットの砂を落とすことができます。また、例えばサーフボードやウエットスーツを洗って陰干しするのに絶好のスペースでもあり、そのお気に入りのサーフボードやアウトドアインテリアを、ダイニングキッチンの「窓」から眺めながら、その日の波を想い返したり、などと妄想が広がりますね。
さらにこのウッドデッキは、キッチンに直結していますから、車で買ってきた食材を運び込んだり、「日陰のウッドデッキでちょっとお茶」したりもスムーズです。

敷地の中央に小さな「窓の家」を配置することで、この北側のプライベートなウッドデッキのほかに、南、西側にもそれぞれ小さいながらもオープンな2つの庭も生まれています。
この3つの趣きのことなる敷地の余白を、ここで暮らす方が、どのように使っていただけるのか、いまから楽しみです。

さて、次に2階を見てみましょう。この家が普通でないことの3番目の理由は、小さい家なのに、2階の居室スペースをかなり割いて、大きな吹き抜けと、インナーバルコニーが設けられていることです。
居室はかなりコンパクトではありますが、夫婦二人のためであれば十分ですし、お子さまがいらっしゃる場合でも、「子どもに個室を与える」という発想に捉われなければ、問題なさそうです。
(家を永く使うためには、「間取りを最初からつくりこまない」という発想について、コラム「『間取り』で家の寿命は変わります」をご参照ください)

例えば、以下のように、家具で間仕切りをすることで、空間を活用できます。

この大きな吹き抜けとインナーバルコニーは、家に「床面積」以上の恩恵をもたらしてくれます。
大きな吹き抜けは、家中に明るく暖かな陽射しと、風通しを提供します。インナーバルコニーは、居室だけでなく洗面・脱衣室ともつながっているので、居室への開放感だけでなく、「浴室 → 外で涼む」や、「洗濯物 → 外出前でも天気を気にせず干す」というスムーズな動線と機能を実現しています。
もちろん、ベランダ菜園や、幼児用プールで水遊び、という使い方もできると思います。
居室は、吹き抜けとインナーバルコニーに囲まれて開放感あふれているので、実際のスペースよりはるかに広く感じることでしょう。

そうはいっても、実際の居室の広さは「普通の」家に比べるとかなりコンパクトなので、モノの持ち方をはじめとした暮らしのスタイルには工夫が必要かもしれません。
どのような家族構成の方がここで暮らすのかが決定される前に、このようなコンパクトな間取りを決定するやり方は、前回の「三鷹の家」と同様で、これには理由があります。
無印良品の家は、絶対的な広さではなく、間仕切りのないフレキシブルな空間こそが、いつでも、誰でもが「感じの良いくらし」を手に入れるための家の条件だと考えているからです。
どんな方が、どのようにこの家を使いこなしていただけるのでしょうか。スタッフ一同、いまから楽しみにしております。

この「鎌倉の家」の間取りについて、みなさんのご意見ご感想をぜひお聞かせください。