小さな家と小さな吹き抜け
住まいのかたち | 2013.8.20
今回は、前回のコラム「小さな3階建ての家」に続き、小さな家、狭小住宅の3階建てという家のつくり方についてもう少し考えてようと思います。
どうせ都会に住むなら良い場所に、と思う人は多いことでしょう。しかし、都市部の土地は高いもの。現実に手に入れるのは難しいことですが、もし小さな土地にうまく家が建てられる場所があるならば、その可能性を考えるのは価値があるかもしれません。
今回提案する家は、土地の面積は前回と同じ28m²、建築面積は16.62m²という小さな家。
建物の大きさは2間(3.6m)×2間に0.45mだけ2方向に出して少しだけ広げて、その空間を活用しながら、上下階を吹き抜けでつなげることで快適になるように工夫してみました。
地下1階から地上3階までの上下階が吹き抜けでつながると、小さな部屋に奥行きがでてきます。光も風も抜けることで、明るさや通風も確保できるようになります。
地下1階は子供室、暗く湿度が高くなりそうなので、吹き抜けを3ヶ所つけて1階のキッチン・ダイニングとつないでいます。この吹き抜けの一部は3階まで続いています。
1階はキッチン・ダイニングです。この家にはあえてリビングはありませんが、このダイニングで家族のコミュニケーションをはかります。吹き抜けがすべての部屋につながっていることで、塔のようなかたちの家でありながら、いつもどこかで家族がつながっているのです。
2階には、お風呂、トイレ、洗濯機などの水まわりを集中させて、3階を寝室にしています。
また階段に面積を取られてしまうので、階段も部屋の一部となるように、階段と部屋との間に壁をつくらずに、開放的にしています。階段に腰かけて、本を読んだりお茶を飲んだりもできます。
地下1階、地上3階、小さな家ですが、吹き抜け空間をうまく使うことで、狭さを感じさせない空間を考えてみました。
10坪に満たない小さな土地に小さな家をつくる。たくさんの制約がありながらも、知恵を使ってなるべくものを持たずにシンプルに暮らすという提案です。
小さな家を大きく使う。工夫することで楽しい空間がつくれるなら、都会の中で一戸建ての家をもつことも夢ではないかもしれません。 いかがでしょうか。皆さまのご意見をお聞かせください。