今年中に家を買うための準備はありますか?

リノベーションなんでも相談室 | 2023.1.4

ご質問

2023年、今年こそはマンションを買ってリノベーションしようと考えています。年の初めからどのような準備をしていけばよいのでしょうか

あけましておめでとうございます。新年を迎え、気持ちを新たに住まいづくりに向き合う人も多いのではないでしょうか。今年中の引越しを目指すのであれば、リミットはちょうど1年ですから、十分な時間があるようで、あっという間に過ぎてしまいそうでもあります。いいスタートを切るために、まずはどのような準備をすればよいものなのでしょうか。

今回は、これまで100組以上のマンション購入とリノベーションをサポートしてきた、宅地建物取引士でファイナンシャルプランナーの”こっしー”が、年の初めに行いたい家づくりの準備について、解説してまいります。

1年間あれば、引越せる?

まずは、そもそも1年間で中古マンションを見つけて、買って、リノベーションをして、引越すということができるのか、という点について見ていきます。以前のコラム「今年度中に引っ越せますか?」でもご紹介した通り、中古マンションを購入してリノベーションするとなると、どんなに短くても6か月程度の時間が必要になります(図1)。

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図1. 売買契約から引越しまでのスケジュール

図1のように、リノベーションをする場合には設計・工事期間が必要になりますから、マンションを買ってもすぐ住むことができません。2023年の12月の引越しから逆算すると、9月中旬までにはリノベーション工事の着工、6月中旬までには詳細設計の開始、物件自体の契約は5月中には済ませておきたいということになります(図2)。結論としては、1年あれば事前準備からお引越しまで、問題なく実現できます。ただし、あまり余裕はないので事前準備が大切そうだということも見てとれますね。

図2. 年内お引越しからの逆算スケジュール

年の初めに、やるべき準備

物件探しを2月から本格始動できれば、年内引越しからの逆算でも、3ヶ月程度は物件探しの時間を確保することができます。マンション選びをお手伝いしている体感としては、希望エリアなどの条件によりますが、3ヶ月もあれば十分に理想の物件に出会うことは可能です。ところが、事前準備もなく、なんとなく物件探しを始めてしまうと、条件がコロコロ変わる、そもそも予算が合っていないなどの問題が生じ、いくら時間があっても足りない状態になってしまいます。ここからは、年の初めにやっておきたい準備について、考えていきましょう。

準備(1)家族間での話し合いをしてみる
住宅という大きな買い物をするのであれば、ともに暮らす家族や親御さんとの合意形成は欠かすことができません。当たり前のことだと思うかもしれませんが、住まいづくりの現場では、ご夫婦の一方は住宅購入意欲が高いものの、他方はそうでもないというケースもよくあります。関係者が複数いる場合は、ひとりが突っ走るのではなく、きちんとまわりの理解を得ることができないと物事は進んでいきません。年の初めというのは、改まった話ができるよい機会ですから、腹を割って話し合いをしてみましょう。

また、中古を買う、という点について親御さんからの反対意見が出ることもよくあります。日本の住宅政策においては長らく新築優遇が続いているため、一次取得者層の親世代では「家を買う=新築」が当たり前の価値観として刷り込まれている方は多いのかもしれません。中古物件の価値や見極め方など、本コラムの過去の投稿も参考にしていただき、親御さんとも話し合ってみてください。

準備(2)資金計画を立ててみる
会社員の場合、12月にその年の源泉徴収票が発行されることが一般的です。年初には前年分の収入がはっきりしている状態ですから、その数字をもとに住宅購入のための資金計画を立ててみるとよいでしょう(図3)。また、毎年12月には翌年度の税制改正大綱が閣議決定されますから、政治・経済の動向も踏まえた上で資金面での作戦を立ててみましょう。以前のコラム「予算の決め方がわかりません」でも触れたように、個別具体的な資金計画立案については、住宅・不動産分野に明るいファイナンシャルプランナーに相談するのがおすすめです

図3. FPとつくるキャッシュフロー表のイメージ

また、贈与税の優遇措置もあり、住宅購入の際に親御さんからの資金援助を受ける方も一定数存在します。準備(1)の内容とも重なりますが、援助が期待できるか否か、援助がある場合はどのくらいの金額なのかという点について、親御さんに改めて質問してみてください。「お金を出す分、口も出す」というケースもよくありますから、なるべく早めに相談してみましょう。

準備(3)候補の地域があれば、足を運んでみる
すでに候補の地域が決まっている場合は、時間を見つけて周辺を散策してみるのもおすすめです。住み慣れた土地とは異なるところで住宅購入をされる方が大半ですから、実際に足を運んでみて、自分の暮らしと合いそうな街なのかを判断してみるとよいでしょう。商店街のある街、大きな公園のある街、おしゃれなカフェがある街など、インターネット上の物件情報ではわからない街の顔がありますから、いくつか候補地をピックアップして、積極的にお出かけしてみてください。もちろん、具体的な物件探しをはじめてから、自分に合った意外な地域が見つかることもありますが、「リノベ前のマンションが見つかりません」でもご紹介したとおり、フットワークの軽さはよい物件と出会うためのカギでもあります。

今回は、年の初めに行いたい、住宅購入の事前準備について解説しました。住宅購入は、元来とても面倒なものですから、後回しにしたいという気持ちがついつい出てきてしまいます。面倒なことだからこそ、新年の勢いに乗って、いまできる準備を着々と進めてみてください。重い腰さえグッと上げれば、今年中の中古マンション購入・リノベーションは実現できないものではありませんから、ご安心ください。


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“こっしー”プロフィール

無印良品のリノベーションで働く、“こっしー”こと大越 翔は、自身の自宅も含めて100以上のリノベーションを担当。
宅地建物取引士やファイナンシャルプランナー、マンション管理士としての知見を生かしながら、さまざまな物件と向き合ってきました。
みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問にコラムを通じ、お答えします。

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