マンションの建て替えについて教えてください

コラム | 2020.6.30

みなさんの住宅購入・中古マンション・リノベーションのさまざまな疑問・質問に、趣味=中古マンションの“こっしー”がお答えする「リノベーションなんでも相談室」のお時間です。

今回お答えするご質問は、こちら。
「中古マンションの購入を検討しているものの、購入してすぐに建て替えになってしまったらどうしようという心配があります。マンションの建て替えについて教えてください」。

前回のコラムでは「耐震補強」をテーマに、その流れや補強済みマンションの注意点についてまとめました。今回は、高経年マンションのもうひとつの再生方法である「建て替え」についてのご質問ですね。おっしゃる通り、リノベーションしてすぐに建て替えとなってしまっては悲しいですから、マンション購入を検討するからには、建て替えについての知識も少しは備えておくと良さそうです。今回はマンションの建て替えについて解説してまいります。

マンション建て替えの現状

平成30年末時点で、全国のマンションストック数は650万戸を超え、そのうち約104万戸が旧耐震基準で建てられたマンションです。6~7戸に1戸は旧耐震のマンションということですから、それなりの数がありますね。それに対し、同年4月時点で建て替えが行われたマンションは236棟、2万戸弱となっています。旧耐震のマンション数の2%程度という数字になりますから、建て替えはあまり進んでいないということがわかります。老朽化したマンションの建て替えを促すために、平成14年には区分所有法が改正され、更にはマンション建て替え円滑化法が制定されましたが、建て替えの実績はまだまだ多くはありません。

実現困難な、マンションの建て替え

それでは、なぜマンションの建て替えは思うように進まないのでしょうか? その答えは「合意形成ができないから」ということになります。マンションの建て替えを行う場合、区分所有者(不正確ですが、以降「住人」と表現します)の80%の賛成が必要となりますが、ここまでの賛成を集めることは、一部のマンションを除き非常に難しいことなのです。合意形成を難しくする理由は大きく3つに分類できます。まずは(1)建て替えにはお金がかかるということです。敷地に余裕のあるマンションでは、住人の金銭的な負担なく建て替えが行われるケースもあります。しかし、下図の通り、建て替え時の住人の負担額は近年では増加傾向にあります。そして(2)建て替えには労力がかかるということもあります。いざ建て替えをするとなると、仮住まいへ引っ越し、建て替え完了後にもう一度引っ越しをしてもとのマンションに戻る必要があります。とくに高齢者にとっては大きな負担となりそうです。最後に(3)住人の無関心も大きな問題となります。このままでも大丈夫だろう、そのうちどうにかなるだろう、誰かがやってくれるだろうと、真剣に向き合わない住人が増えてしまえば、80%の合意など集まるはずがありません。建て替えを実現するためには、住人同士の数年単位での根気強いコミュニケーションが必要になるのです。

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中古マンション選びで抑えるべきポイントは?

これらを踏まえて、中古マンション選びではどの様な点に気を付けるべきか考えてみましょう。ここまでで解説した通り、そもそもマンションの建て替えは難しいということが前提となりますから、長持ちするマンションを選ぶ必要があります。マンションを長持ちさせるためには、定期的な大規模修繕や共用部の給排水管の更新、エレベーターの改修などきちんと手入れを続けていくことが必要です。これらの工事には多くの費用が必要になりますから、マンションの財政状況や過去の修繕の実績、今後の修繕計画などを確認して判断材料としましょう。マンションの住人が主体となって維持管理に取り組んでいるかという点も、長期的に見ると大切なポイントです。

また、旧耐震基準のマンションで、建て替えの話が出ていないものであれば、耐震補強を行っているのか、あるいは行う計画があるのかを確認しましょう。老朽化したマンションの再生方法は「耐震補強(+定期的な修繕)」か「建て替え」の2つがメインとなり、通常はその両方での検討が進められます。検討の結果どちらに進むかはマンションごとに異なりますが、マンション再生が議題にもあがらないような、無関心マンションはちょっと心配になるかもしれません。

今回は、マンションの建て替えについてお答えしました。過去には負担ゼロ(むしろプラス)の建て替えもありましたが、今となってはそれほどの余裕があるケースは珍しくなりました。建て替えが進まず、マンションの高経年化が進むとなれば、健全な状態を保った良いマンションとそうでもないマンションの二極化が明確になる未来が予想できますね。無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、中古マンションの選び方からご相談いただけますので、ご興味を持たれた方は、リノベーション講座や相談会にお越しください。

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