団地のシェア暮らしを考える
団地再生物語 | 2020.4.7
以前のコラム「団地の部屋をシェアして住む」では、団地の1部屋に3人で暮らすご提案をしました。
1部屋をシェアするとなると、個人の専有部分は寝る場所のみとなり、リビングやキッチン、お風呂、洗面所などは共用になります。また、壁で仕切られていたとしても、音は聞こえます。このお互いの距離感は、「家族」に近くなります。仲が良い人同士で暮らすのであれば問題ないですが、そうはいっても他人なのでお互い気をつかうことも多くなりそうです。
それに対して、1つの建物のなかを複数人でシェアする建物(ひと昔前の社宅、社員寮など)は、それぞれの寝室をコンクリートの壁で区切り、水まわりを共有しています(トイレやシャワールームが個別にある場合もあるでしょう)。そうなると、お互いの距離感は「家族」というよりも「仲間」に近くなりそうです。距離感は若干遠くなりますが、気づかいは少なくなります。
シェアして住むメリットは、家賃が安く抑えられるということもありますが、仲間ができるということもあるでしょう。場合によっては「家族に近いかたちになることもある」と聞きます。
その場合に、水まわりがどこまで共有なのかも大きなポイントの1つです。
コミュニケーションを考えると、大きなキッチンが共有できると良さそうです。食事の度にキッチンにやってきて料理をし、食べることになります。そこで顔をあわせることになり、交流が発生します。
お風呂は一般の住宅とは異なり、大浴場であれば、銭湯のように開放的な気分でつかることができるかもしれません。
集まって住むことでほかにもメリットがありそうです。
集まるテーマを決めたらどうでしょうか。例えば、「本」をテーマにして共用部のあらゆるところに本があり、自分の本を展示するコーナーがあり、さらにコミュニケーションのきっかけとなるシェアハウスもあります。
「音楽」をテーマにすれば、共用部に防音室や小さなコンサートホールのような部屋があったら良さそうです。あるいは「自転車」をテーマとし、自転車好きが集まれば、おおきな自転車置き場やメンテナンスの場が共用リビングにあって、コミュニケーションのきっかけになるかもしれません。
そのテーマの上級者だけが集まるのではなく、初心者が共存してもよいでしょう。いろいろと教えてもらうことで上達しますし、上級者も仲間ができることで楽しみも増えるでしょう。
団地では、家族が住むことが一般的ですが、場合によってはシェアができるようにリノベーションしていくこともあり得ます。そうなれば、一般的な家族と若い単身者がミックスされてあたらしいコミュニティが生まるかもしれません。団地の広い庭なども活動にあわせて使えれば可能性は広がります。
いかがでしょうか。シェアすることでいままでとは違った暮らしができる可能性がありそうです。
みなさんはどんなシェアをしたいですか。ぜひご意見をいただければと思います。