木枠ベンチでゆるやかにつながる暮らし
団地再生物語 | 2019.12.17
2012年に大阪でスタートしたMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトは8年目を迎え、今年は首都圏・中部・関西・九州で合計4団地の新しい団地が登場し、5つの新プランが発表されました。合計で全国47団地56プランの展開となり、2020年1月下旬から入居の申込受付が開始されます(一部団地を除く)。
MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトは、団地の良さを見直し、優れた部分を上手に生かしながら、そこに無印良品が積み重ねてきた知恵や工夫をそっと掛け合わせて、これまでにない賃貸住宅をつくる活動です。賃貸に愛着を持って長く丁寧に住みつないでいくことが、これからの日本の暮らしのスタンダードになってほしいと考えています。
リノベーションで大切にした部分は変わりません。「壊しすぎず、つくりすぎない」。陽当り・風通しといった団地本来の良さを残しながら、本当に必要なものだけを加えていく。そして、賃貸住宅であっても、住む人が自分の暮らしに合わせて間取りを自由に編集できるような住まいを提案していきます。
今年度は、「風通しの良い一室空間」と「プラスもうひとつの空間」の新プランが登場。 大幸東団地(愛知県名古屋市)では、MUJI×UR Plan53「木枠ベンチでゆるやかにつながる暮らし。」、MUJI×UR Plan52「パントリーを持つ広々としたLDK。」と、2つの暮らしが実現しました。
MUJI×UR Plan53「木枠ベンチでゆるやかにつながる暮らし。」
もとの間取りは3DK、62.1m²のファミリータイプで、バルコニー側に和室が2室、逆側に和室が1室の間取りになっていました。中央にある部屋が光の入りにくい行灯部屋となっていることと、奥まって孤立したキッチンが課題でした。
今回のリノベーションでは、キッチンとその横にあるダイニングとの間の壁を開口して、ゆるやかに繋げました。開口部には4方に木枠をまわしています。木枠は座れる高さになっていて、和室をダイニングとして使えば、ベンチとして使うことが出来ます。
大きなダイニングテーブルを置けば、家族全員の食事の場だけでなく、仕事をしたり、宿題をしたりとさまざまな使い方が可能で、暮らしの中心として使うことができそうです。
キッチンと和室を仕切りたい場合はカーテンで仕切れるようになっており、和室を寝室として使っても良さそうです。
キッチンの背面壁に開口を開けることで、ダイニングとゆるやかに空間をつなげました。開口に木枠を設置することで、食卓のベンチとしても機能します。料理をしながらダイニングでの家族の様子をうかがうこともできます。
中央の部屋はリビングと繋げることで光が入り、リビングとは少し距離のあるセカンドリビングとして使っても良さそうです。
さらに、ふすまの開け閉めで暮らしを調整することもできます。セカンドリビングは、ダイニングとダンボールふすまで仕切られていますが、開けることもでき、光や風の通り道になります。また、リビングと寝室はダンボールふすまで分けられていますが、ふすまを開けることで繋げてつかうこともできます。
MUJI×UR Plan52「パントリーを持つ広々としたLDK。」
もとの間取りは3DK、62.1m²のファミリータイプで、MUJI×UR Plan53のもとの間取りとほぼ同じです。
バルコニー側に和室が2室、逆側に和室が1室ある間取りです。こちらも真ん中にある部屋が光の入りにくい行灯部屋になっていることと、奥まって孤立したキッチンが課題でしたが、先ほどとは違ったアプローチで解決を試みました。キッチンを真ん中の部屋に移動し、もともとキッチンのあった場所を充実した収納量を持つパントリーとしました。キッチンのすぐ横にあることで家事動線もスムーズになっています。
家の隅に押し込まれて設置されがちなキッチンを、暮らしの中心となるLDKに設置。キッチンは料理の場所だけでなく、住まい手が憩う場所になります。ダイニングキッチンとバルコニー側のリビングは一体的につながるようにしていて、光や風が通りやすくなっております。
リビングダイニングキッチンと寝室もダンボールふすまで分けられていますが、ふすまを開けることで繋げてつかうこともできます。
団地の暮らしを豊かにする新しい考え方はいかがでしょうか。
今回ご紹介した暮らし方だけでなく、ご自身の暮らし方によってさまざまな使い方が考えられそうです。
今回ご紹介したリノベーション住戸は、大幸東団地(愛知県名古屋市)にて、2020年1月下旬にモデルルーム公開、入居募集開始の予定です。入居の応募詳細情報は、2020年1月上旬に発表予定です。無印良品の家ホームページや無印良品の家 Facebookでもご案内しますので、ご期待ください。