団地のスターハウスを活用できたら

団地再生物語 | 2019.5.21

一般的な団地は、5階建ての板状でシンプルなかたちの建物が、広い敷地に整然と並列に並べられていることが多く、これは陽当たりや風通し、住戸数を効率的に確保することを考えて、一番効率が良いかたちだからだと考えられます。
ただ、それが連続すると均一の団地景観となり、特長が出なくなります。また、高低差が大きい敷地には板状の建物はつくりづらいということもあります。
そこで、その均一の景観にアクセントをつけ、高低差のある敷地でも建てられる建物として考えられたのが、スターハウスでした。

スターハウスを真上から見るとY字型のかたちをしており、1フロアに3つの住戸が配置されています。そのかたちが星型に見えたことから、スターハウスという名前が付けられました。
建物の中心には階段室があり、その階段室を囲むように3つの住戸が配置されています。各住戸はすべて角部屋となり、3方向が外に面しているので、採光や通風に優れています。
日本住宅公団(現UR都市機構)は、昭和31年から39年にかけてスターハウスを建設しています。人気があったようですが、建築コストなどの問題から全国で約260棟の建設にとどまりました。現在では、建て替え事業により多くが解体されており、現存するスターハウスは30棟のみとなっています(平成31年3月末現在)

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現存数が少なくなってきているスターハウスですが、建設当時の団地設計やその空間を後世に伝える象徴的な建物として、活用法をあらためて考えてみたいと思います。

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スターハウスの間取りを見てみると、3つの住戸がお互い見合うかたちをしています。1階の3住戸の間には広い外部空間があることが大きな特長です。そうなると、スターハウスの1階部分を開いて店舗やコミュニティ施設としてリノベーションし、活用することも考えられそうです。

たとえば、団地や周辺地域の住人の集まるカフェや業務用洗濯機のあるランドリー、シェアオフィスや周辺に開かれたアトリエ・ギャラリーといったことも考えられそうです。駅から遠い団地の場合は、若い人向けにレンタル自転車ステーションもあるかもしれません。いろいろ考えられそうです。
また、建物に適度に囲まれている大きくてきれいな庭があれば、ウッドデッキなども組み合わせて内外部一体となった施設としてつくることができ、魅力的な空間になりそうです。魅力的な空間であれば人も集まりやすく、コミュニティ形成がしやすくなりそうです。

いかがでしょうか。成り立ちは団地の景観アクセントとして考えられられたスターハウスですが、団地の新たなコミュニティ空間のアクセントとして見直すことを考えてみました。
ぜひ、みなさんのご意見をいただければと思います。