団地に縁側のある暮らし

団地再生物語 | 2018.10.16

以前実施した「インナーバルコニー」についてのアンケートでは、「10m²(6畳)のスペースを追加できるとして、どんな用途の空間を追加したいですか?」とお聞きしました。
その中でも少し触れましたが、今回は窓際に縁側(えんがわ)のある暮らしについて考えてみたいと思います。

縁側は昔から日本家屋にありましたが、時代とともに縁側が少なくなって、現代の住宅ではあまり見ることも少なくなりました。 
縁側は屋内と屋外の間にあり、半屋外空間として存在します。室内にいながら四季の変化を感じながら暮らせるスペースで重要な役割を果たしていました。
縁側には大きく分けて2種類あり、雨が入る「濡れ縁」と入らない「くれ縁」があります。どちらも屋根があることで雨をよけ、夏の強烈な日差しが室内に入るのを防ぎ、冬には暖かい日差しを室内に取り入れます。
縁側と室内は一般的に引き戸で仕切られます。仕切ることで屋外の温度の影響が室内まで届きづらくなり、夏暑すぎず、冬寒すぎない空間をつくりやすくなります。もちろん必要に応じて引き戸をあけることで、屋内と一体的に使うことができますし、日差しの入り方や風の入り方の調整ができます。

雨が入らない「くれ縁」であれば、屋外につながる引き戸を閉めることで屋内としての使い方ができます。
空間としては、春や秋といった中間期にちょうど良い温度になって過ごしやすい空間になりそうです。コーヒーを飲みながら読書をしたり、昼寝をしても良さそうです。また日差しが入るので、洗濯物を干す場所として活用もできます。また、引き戸を開ければ、風を受けながらバルコニーを庭と見立てて植物を置いて鑑賞することもできるでしょう。

団地に縁側のある暮らしを間取り図にしてみました。

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バルコニー際に縁側を設けています。寝室と縁側の間には半透明ふすまが入っています。寝室と縁側を分けて使うこともできるし、ふすまを開ければ一体的な空間として使えます。
暮らし方によって変えることができます。分けて使う場合はちょっとした書斎として使うこともできるでしょう。バルコニーの先が公園や空が見えるような良い景色であれば、縁側やバルコニーにテーブルやイスを出してくつろいだりしても良さそうです。もともとの6畳の広さは寝室だけに使う空間としては少し大きいかもしれません。縁側をしつらえることで、さまざまな使い方ができる空間になりそうです。

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MUJI×UR plan40の寝室とバルコニーに挟まれた空間

床材を一部変えて縁側として使い、曖昧に空間を仕切れることで、暮らしの幅が広がりそうです。
昔の日本家屋の良さを取り入れた縁側のある団地の暮らしはいかがでしょうか。みなさんのご意見をお聞かせください。