団地に残る貴重なもの
団地再生物語 | 2018.9.11
今回は、団地の住戸にある柱、敷居、鴨居についてご紹介したいと思います。
MUJI×UR団地リノベーションプロフェクトでは、すべてを壊すのではなく、使えるものは残すことを基本にしているので、歴史を感じさせるような素材は見直しをして、積極的に残しています。
その代表的なものが、柱、敷居、鴨居です。素材は木製で、年月を積み重ねることで日に焼けたりして飴色に変化している場合を多く見受けられます。
時間を経たものは、新しくつくることはできない貴重な素材です。
新しいものではできない素材を感じよく残すことで、団地を長く住みつなぐということを前向きに表現しています。
もちろん機能性もあります。
敷居は床にあり、溝があることでふすまを入れる部材として機能しています。また、隣の部屋同士で素材が違う場合、その空間を区切るための演出もしています。
天井や天井と床の中間には鴨居があります。
鴨居も、敷居と同様にふすまをいれるための溝があります。
敷居と鴨居がセットになり、上下でふすまを支えて空間を仕切ることができます。
天井にあるものを天鴨居、天井と床の中間にあるものを中鴨居といいます。
中鴨居によって上下が、ふすまと欄間(らんま)に分けられます。欄間をあけることで空間を仕切りながら風を通すことができます。
欄間(らんま)は透明にすることで、隣の空間の天井が見え、部屋が広く感じることもできます。
また、中鴨居に小物を飾ったり、あるいは洋服を引っ掛けたり、洗濯物を干したりすることも出来そうです。
そして木の柱は、部屋の隅にあり、敷居や鴨居がそこで止まるようになっていることが多いです。
また、敷居と鴨居に入れたふすまも柱にぶつかることで空間を仕切ります。
MUJI×UR団地リノベーションプロフェクトでは、敷居・鴨居に入れるふすまや欄間(らんま)を、その部屋の使い方や明るさなどによって使い分けています。
それぞれ透明(視線を通す)、半透明(視線は通さないが光を通す)、不透明(視線も光も通さない)の3種類の素材を使用しており、使わない場合を含めると4パターンになります。
それによって空間の雰囲気も大きく変わります。
敷居や鴨居は和室で使われます。必要に応じて空間を仕切ったりつなげたりする、日本ならではの考え方の大切な部材です。最近の住宅では使われることが少なくなってきましたが、そのような住まいが暮らしに柔軟に対応できるような考え方を引き継いでいきたいと考えております。
みなさんはどう考えるでしょうか。ぜひご意見をいただければと思います。