窓辺を魅力的な居場所にするちょっとしたアイデア

団地再生物語 | 2017.5.30

窓の近くを表わす「窓辺」という言葉があります。あまり意識されない場所かもしれません。
「窓辺」をあらためて見直してみると、屋外との境界線となる部分で、室内でも外を感じることのできる空間といえます。
窓辺は外の日差しが入るため明るく、窓を開ければ外の空気が入り風も通ります。当たり前ですが、外の風景を見ることができます。昔の日本家屋の縁側に近く、このように考えてみると、住まいの中でもとても気持ちのよい居場所としての空間をつくることができそうです。

一般的に窓の高さによって窓の種類がいくつかありますが、代表的なものに「掃き出し窓」と「腰窓」があります。「掃き出し窓」は、庭やベランダなどの外部に出入りができる窓であり、室内の埃やゴミをほうきで外に「掃き出せる」窓として名前が付けられたようです。
「腰窓」は、下端が立った人の腰の高さくらいになる窓のことで、室内にいる人が外に落ちないように考えられた高さになっています。窓の外に出ると危険な位置にある窓は、一般的に「腰窓」が使われます。

MUJI×UR Plan32 多聞台団地の「掃き出し窓」

MUJI×UR Plan14 アーベインルネス貝塚の「腰窓」

暮らしのインテリア視点で見てみると、「掃き出し窓」の窓辺には家具は置きにくくなります。それに対し、「腰窓」の前にはベッドや低い収納等を置くことができます。また、デスクを窓に向けて置くことができれば、外を見ながら勉強や仕事ができます。

MUJI×UR Plan29 アルビス五月ヶ丘

MUJI×UR Plan20 光が丘パークタウン

団地の窓を見てみると、「掃き出し窓」と「腰窓」の中間くらいの高さの窓があります。
この高さの窓がある部屋は、もともと和室だった部屋が多いので、おそらく床に座ったときに外を見やすくするために考えられたのだと思います。床座として使用する低いデスクを窓辺に置き、外を向いて書き物などの作業ができる空間です。

MUJI×UR Plan27 新多聞団地

MUJI×UR Plan06 桃山南団地

この窓辺は、奥行きが10cm程度しかないので40cm程度とし、腰をかける奥行きにすると良さそうです。

デスクとして使用する場合

腰掛けて使用する場合

腰をかけることができれば、外を見ながら本を読んだり、コーヒーを飲んだりと、気持ちの良い窓辺の空間ができそうです。団地であれば、豊かな自然環境を見ながらの暮らしが期待できます。また、そこをデスクと見立てれば作業台としても役立ちそうです。上部には、ちょっとした小物を置くスペースをしつらえれば、収納にも利用できます。

また、窓の方位によっても使い方が変わるかもしれません。北側にあれば柔らかい光の中で読書ができますし、風景も太陽に照らされて綺麗に見えることでしょう。南側にあれば冬に日差しがたっぷりと入り、暖かい環境で過ごせます。

ちょっとした工夫ですが、窓辺の仕掛けを考えることで、住まいの中で魅力的な居場所が増えそうです。みなさんは、こんな窓辺はいかがでしょうか。ぜひご意見をいただければと思います。