新しい空間と素材

団地再生物語 | 2015.1.20

前回のコラムでは、「つながる」をテーマにしたMUJI×UR団地リノベーションプロジェクトの新プランをご紹介しました。今回は、新しい空間と素材についてご紹介したいと思います。

新しい空間:浴室へのアプローチ
まだ洗濯機が普及していない時代の、コンパクトな団地の間取りは、脱衣所や洗濯機スペースを省略して、個室を2室確保しているケースが多いようです。
今回、MUJI×UR Plan 15MUJI×UR Plan 16(真砂第一・第二団地)では、Beforeのような2DKタイプの個室を、寝室の1室のみに変更。玄関から脱衣室なしに直接浴室に行くという間取りを、寝室→洗濯機スペース→浴室という動線に思い切って変えました。2DKタイプに住む方を単身者や夫婦二人と想定すると、ホテルのように、直接、寝室から浴室へ行ける動線の方が使いやすいと考えたわけです。

寝室の収納に衣類を収納すれば、入浴時の着替えや洗濯にとても近くて便利ですし、これなら玄関を開けたら脱衣スペースが丸見え、ということもありません。

玄関横に壁を立てて寝室から脱衣室に入れるよう工夫

壁の上部は開放し湿気がこもらないようにしています

新しい空間:ユーティリティスペース
MUJI×UR Plan 18(アーバニア千代田)では、「ユーティリティスペース」を提案しています。このユーティリティスペースとダイニングキッチンを家具で緩く仕切ることで、アイロンがけや室内干しなどの家事スペースとして、また従来のウォークインクローゼットとは異なる、明るいオープンな収納スペースとして、もちろん趣味や書斎コーナーとしても使える、多目的スペースが生まれます。
住まう方の暮らし方に合わせて空間の役割を変えられるプランです。

リビングだったスペースは、シェルフで仕切ることで、明るい家事スペースに

新しい素材:既存の床を活かす
団地は畳の部屋が多いのですが、廊下や台所といった空間にはフローリングが使われています。全面改装をする場合、このフローリングは張り替えるのが普通です。
これまでこのプロジェクトでも、「麦わらパネル」などに張り替えてきましたが、実際に工事をする際に感じていたのは、表面がかなり荒れてはいるものの、まだまだ使える状態にあるフローリングも多い、ということでした。

そこで今回新たに導入したものが、既存の床をそのままに、ウレタン再塗装を施す、というしつらえです。ウレタン塗装は、表面が平滑に仕上がり、耐久性も高いので、傷んだフローリングの表面を再利用するのに適しています。また塗装ですから、意図する空間イメージに合わせて、艶や、濃さを調節できるという利点があります。もともとのフローリングの木目がやや透けて見えるぐらいにすることで、白塗装でありながら、木の床の暖かみを活かすことができます。

今回はMUJI×UR Plan 10(千里青山台団地)、MUJI×UR Plan 12(落合団地)、MUJI×UR Plan 17(武里団地)、MUJI×UR Plan 18(アーバニア千代田)で採用し、このプロジェクトのコンセプトの一つである、「壊しすぎない」をまた1歩進化させることができました。

3年目を迎える「MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト」は、今年も新しい暮らしのスタンダードの普及に向けて少しずつ進化しています。
これらの部屋の入居募集は、2015年1月24日(土)に全国一斉に開始します。詳細情報は、無印良品の家ホームページ無印良品の家Facebookでもご紹介してまいります。ご興味あればぜひご覧いただき、ご意見・ご感想をお聞かせください。