団地の「あしもと」を考える
団地再生物語 | 2013.2.19
古い大型の団地の1階にお店が並んでいる風景をよく見かけます。かつては日用品など、団地の住人に便利だっただろうと思うのですが、今は大型スーパーなどができて、それも陰を潜めています。シャッターもおりたたまになっていたりして、少し寂しい気もします。
家に帰ったときに、団地の1階に素敵なカフェやお店が並んでいたり、休みの日にはマーケットになっていたりしたら楽しいだろうな、とも思います。
この団地再生物語で、「団地の一階でお店を開く」というコラムを書きましたが、もしこんな場所があったら、すぐにでもやってみたいと思う人もいるのではないでしょうか。
でもどうせお店を開くなら、まわりの環境も整備したいもの。ウッドデッキを敷いたり、パラソルを置いたり、植栽や照明なども整えて人が集まるような場所にできないものかと思います。
お店だけでなく、住人たちが使えるオープンスペースやシェアできるオフィス、みんなで料理をするコミュニティダイニングなどもいいでしょう。古い団地の集会所や広場、公園などもあわせて一緒に計画をし直すともっと楽しい空間になるでしょう。
植栽や空地を見直して、みんなで使える菜園をつくったり、外でランチなどができる居心地のいいパーゴラ(日陰棚)をつくったりと、アイデアはいろいろありそうです。
団地を再生することは、家の中だけでなく敷地全体を考えていくこと、つまり「あしもと」の環境を見直していくことが必要に思います。
何もかも新しくつくるのでなく、あるものをうまく活用してもっと楽しい空間を演出していくこと、時代の思い出を重ねながら、住みつないでいくことができるように思います。
住宅は今まで「住むところ」「仕事から帰ってくるところ」そうしたイメージが強かったのですが、働き方も家族構成も大きく変わる今、団地は住むところも、働くところも、遊ぶところも、一緒になって「暮らす場所」へと変わっていけるのではないかとも思います。
コミュニティの必要性が問われる時代ですが、それは住まいが暮らしの舞台であること、そこにさまざまな人と人との関わりがあることが大切なように思います。
なじみのカフェがあり、人と人とがよく顔を合わせ、会話をする。一緒に食事をつくり、一緒に遊び、一緒に子育てし、一緒に何かをする。そうした日常の関わりがコミュニティをつくるのだともいえます。
団地の「あしもと」を見直す。このことはそうした、暮らし方を考えるきっかけになるかもしれません。
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