団地で住人祭を行う

団地再生物語 | 2012.11.27

何十年も住み続けてきた団地の暮らし。そのあいだに住人も変わり、また高齢の人も増えてきているのも実情です。
昔は自治会などの活動も活発に行われ、お祭りなどの季節の行事がたくさん行われてきたに違いありません。集会室なども、今はヨガやお茶会などのサークル活動が少しはあるのかも知れませんが、なかなか世代を超えての集まりにはなりにくいものです。普段からのコミュニケーションがないのも大きな理由のひとつでしょう。

そこで、MUJI×UR団地リノベーションプロジェクトでは、新千里西町団地で「住人祭」を行うことを企画しています。

「住人祭」とは、住人たちが集まって飲み物や食べ物を持ち合い、顔見知りになって楽しいひとときを過ごそうという趣旨のお祭り。趣味のサークルや同世代で集まるのではなく、地域のコミュニティー単位で行うのが特徴です。

1999年にフランス・パリで始まった住人祭は隣人祭りともよばれ、フランスでは「La fete des voisins」という年に一度の大きなイベントとなっています。今まで、無印良品の家でも何度かご紹介をしてきました。(住人祭について詳しくはこちら

「住人祭」は、フランスの若者が考えたお祭り。一年に一度住人が集まって、ただ一緒に食事をして過ごすというイベントで、好きな人嫌いな人はなく、住んでいる人同士、普段付き合いのない人が話をすることが目的。こうして一度でも顔を合わせておけば、そのあと会った時にもあいさつや会話がはずむものです。

料理やお酒を持ち寄って、ただただ話す。この日は子供達も手伝って一緒に食事をつくったり、音楽を用意して楽しい時間を過ごすのもいいでしょう。同じ時間を過ごすだけで、お互い親しみがわくものです。

もちろん、年に一回などと言わずに定期的に行ってもいいでしょう。日本には昔から行われていた季節の行事=節句もあります。こうした日本の伝統を子供達に教えたりすることも、年齢を超えての交流のきっかけになるかもしれません。

そのほか、本や服のバザーや交換会など、古い物を大切に使っていくことや、ものを通して人のコミュニケーションを生んでいくというのも楽しいですね。ものの交換会では、ただ置くだけでなく、本であれば読んだ感想や、服であれば着れなくなった理由なども書いておくと楽しいですね。その持ち主がどんな人か、想像できるとコミュニケーションの距離はずっと小さくなりそうです。

団地で行う「住人祭」では、いろいろなイベントが考えられそうですが、ポイントは食事やお酒などを持ち寄ることと、住んでいる人をわけへだてなく呼ぶこと。前もってみんなで声を掛け合って、多くの人に参加してもらうことです。
楽しいポスターやカードをつくって配るのもいいでしょう。住人のなかには絵の得意な人、音楽の好きな人、料理が好きな人、必ずいるものです。住人同士が話をはじめるきっかけづくりの「住人祭」というイベント、いかがでしょうか。一度みなさんの住んでいるところでも企画してみませんか。これから高齢化、少子化という日本の切実な課題は、まずは自分たちの住んでいる場所でのちょっとしたコミュンケーションの改善からのような気もします。皆さまのご意見をお待ちしています。